道理でお姉ちゃん

猫山登

読切(脚本)

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〇公園の入り口

〇公園の砂場
片瀬芽衣「あのね、ここが芽衣のお部屋で、ここがママのお部屋で、ここがパパのお部屋なの」
岸田康太「ふーん。じゃあ、ここは?」
  康太が残りの部屋を指さす。
片瀬芽衣「えへへ」
片瀬芽衣「ここはねぇ、優ちゃんのお部屋」
岸田康太「優ちゃん?」
片瀬芽衣「今度ね、産まれてくるの」
片瀬芽衣「泣いたらね、すぐに芽衣が助けてあげるんだよ」
岸田康太「ふーん」
岸田康太「ねえ、僕の部屋も作ってよ」
片瀬芽衣「だめー」
片瀬芽衣「だって芽衣が優ちゃんの面倒見るんだもん」
岸田康太「・・・・・・」
岸田康太「えいっ」
片瀬芽衣「わ!」
岸田康太「へへん。おうち壊れたー」
片瀬芽衣「うわあああん」
片瀬由美子「どうしたの芽衣」
片瀬芽衣「康太君のバァカー」
  泣きながら康太に砂を投げつける芽衣。
片瀬由美子「コラ芽衣! 女の子がそんなことしないの!」
片瀬芽衣「・・・だって、康太君が、芽衣のおうち踏んだんだもん・・・」
岸田康太「べー」
  あかんべーをする康太。
岸田美幸「あらごめんね芽衣ちゃん」
岸田美幸「康太! 帰ったら覚えておきなさい」
岸田康太「ひえぇ・・・」
岸田美幸「ほんとごめんなさいねえ」
片瀬由美子「いいのよ岸田さん。芽衣」
片瀬由美子「もっとしっかりしなきゃお姉ちゃんになれないよ」
片瀬芽衣「・・・うん」
  涙を拭き、しきりに泣くのをこらえる芽衣。

〇一戸建て
  片瀬家

〇明るいリビング
片瀬純一郎「ここにとんでもなく固いヤツがいる」
片瀬由美子「最近、肩凝りがひどいのよねー」
片瀬純一郎「みるみる大きくなってるもんね、お腹」
片瀬由美子「ホントよ。食べても食べてもお腹減るの」
  脇腹の肉をつまむ由美子。
片瀬由美子「一緒に脂肪も吸収して欲しいくらいだわ」
片瀬純一郎「ご苦労お察し致します」
片瀬由美子「妊婦は大変よ。 あなたに代わってもらいたいわ」
  純一郎、由美子の肩をグリグリする。
片瀬由美子「そこー。そこそこ。そこいいわ」
片瀬純一郎「残念ながら俺は凝りをほぐすことくらいしかできないみたい」
片瀬純一郎「他にできそうなことあったら、何でもリクエストくださいませ」
  絵本を持った芽衣が二人の元へやってくる。
片瀬由美子「あなた、さっそく出番よ」
片瀬芽衣「ママー。モンタン読んで」
片瀬純一郎「よーし。パパがモンタン読むぞー」
片瀬芽衣「パパじゃやだ」
片瀬純一郎「え?」
片瀬芽衣「パパじゃやだ!」
片瀬純一郎「ほら。わがまま言っちゃだめなんだぞー。 読んであげるから貸してごらん」
片瀬芽衣「やだ!」
片瀬純一郎「ママは今、いっぱいお休みしなきゃいけないんだ」
片瀬純一郎「わかるかな?」
片瀬芽衣「ママに読んでもらうの!」
片瀬純一郎「芽衣はもうすぐお姉ちゃんになるんだぞ」
片瀬芽衣「・・・・・・」
片瀬純一郎「わがままばっかり言ってると、弟に笑われちゃうよ」
片瀬芽衣「・・・・・・」
片瀬芽衣「芽衣、弟なんていらないもん」
片瀬芽衣「お姉ちゃんになんてならいもん!」
片瀬由美子「芽衣! 怒るわよ」
片瀬芽衣「うわぁぁぁぁん」
  絵本を床に投げ捨てる芽衣。
片瀬芽衣「ママのバカぁ。パパのバカぁ」

〇幼稚園

〇幼稚園の教室
日向明子「はーいみんな。 来週の日曜日は何の日かわかるかなー?」
  ははのひー!
  園児たちが一斉に答える。
日向明子「正解」
日向明子「ということで、今日は、お母さんに日頃の感謝を伝えるお手紙を書きましょう」
片瀬芽衣「・・・・・・」
  くばられた便箋を浮かない顔でじっと見つめる芽衣。

〇スーパーマーケット


〇幼稚園の教室
片瀬芽衣「・・・・・・」
  子どもたちが手紙を書いている中、芽衣だけが手が進んでいない。
日向明子「どうしたの芽衣ちゃん。 お母さんに伝えたいこと、何かないかな?」
片瀬芽衣「・・・・・・」
日向明子「お母さんと、何かあったのかな?」
  激しく首を横に振る芽衣。
日向明子「・・・・・・」
日向明子「そうだ!」
日向明子「じゃあ、お手紙でごめんなさいって書いてみよっか?」
片瀬芽衣「・・・うん」
保母さん「芽衣ちゃん!」
保母さん「お母さんが今、救急車で病院に運ばれてるみたいなの」
片瀬芽衣「え!」
日向明子「あれ? 予定日まだ先ですよね?」
保母さん「お父さんがここに向かってるから、すぐに出られるように準備しておいて」

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