パラノーマル・ブラッド

糸本もとい

第3話 狩人(脚本)

パラノーマル・ブラッド

糸本もとい

今すぐ読む

パラノーマル・ブラッド
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇Bunkamura
黒崎 東吾「追っ手はないようですね・・・しかし」
黒崎 東吾「なんとも腑甲斐無い結果となってしまいました・・・」
御園 恵玲奈「本当ね」
黒崎 東吾「なっ・・・! 私が気配に気付けないなんて・・・!」
ジェイコブ・ネルソン「期待外れだったよミスター黒崎」
黒崎 東吾「あなた方は・・・!」
御園 恵玲奈「ゲエンナのハンターよ」
黒崎 東吾「ゲエンナ・・・!」
黒崎 東吾「怪奇を否定する、あなた方が私になんの用ですか」
ジェイコブ・ネルソン「ワタシたちは静観するつもりだった」
ジェイコブ・ネルソン「イスズとフソー、どちらかが潰れるならとね」
黒崎 東吾「・・・あなた方の標的は吸血鬼ではないんですか?」
御園 恵玲奈「ええ、ヴァンパイアは標的よ。でもね」
御園 恵玲奈「ジャパニーズ・アークリッチである扶桑も標的よ。当然でしょ?」
黒崎 東吾「扶桑様の功績を知った上での言葉ですか?」
御園 恵玲奈「どんな役割を担っていてもアンデッドはアンデッドだわ」
黒崎 東吾「・・・なぜ、今なのですか?」
ジェイコブ・ネルソン「眷属が目覚めた。しかも、まだ20歳の若者だ」
ジェイコブ・ネルソン「精神的に安定しているとは言い切れない」
ジェイコブ・ネルソン「そして、その目覚めのきっかけはフソーが作った」
ジェイコブ・ネルソン「ワタシたちは静観する時間を終えたと判断したんだよ」
ジェイコブ・ネルソン「均衡というものは崩れ始めると、加速して瓦解するものだからね」
黒崎 東吾「・・・私をどうするおつもりですかな」
ジェイコブ・ネルソン「あなたはフソーの側近で怪奇側だが、ギリギリ人間だ」
ジェイコブ・ネルソン「フソーの情報を提供してくれるなら見逃してもいい」
黒崎 東吾「それは出来ぬ相談ですな」
ジェイコブ・ネルソン「そうか。残念だよ、ミスター黒崎」
ジェイコブ・ネルソン「ハッ!!」
黒崎 東吾「急急如りっ・・・!」
黒崎 東吾「ぐあ・・・!」
御園 恵玲奈「さて、扶桑はどう出るかしらね」
ジェイコブ・ネルソン「忙しくなるのは間違いないだろうな」
御園 恵玲奈「それは歓迎よ。退屈だったもの」
ジェイコブ・ネルソン「ワタシも、エレナの刀捌きがそろそろ見たいと思っていた」
御園 恵玲奈「見世物じゃないわよ? わたしの業は」
ジェイコブ・ネルソン「まあ、そう言わずに。さて、退散しよう」
御園 恵玲奈「そうね」

〇屋敷の書斎
白川 芙優「黒崎の納骨を済ませてきました」
扶桑 雅彦「そうか・・・ご苦労だった」
白川 芙優「どうされますか?」
扶桑 雅彦「黒崎を殺めたのはゲエンナで間違いないんだな」
白川 芙優「はい。最期の式神による伝言ですので、間違いありません」
扶桑 雅彦「青砥と赤城は動けるか?」
白川 芙優「もちろんです」
扶桑 雅彦「以後は三人で動け。委細は任せる」
白川 芙優「かしこまりました」
扶桑 雅彦「狩人を気取る者を、必ず狩れ」
白川 芙優「はい。必ずや」

〇車内
日野 寛樹「わざわざ車を出してもらって、なんだか、すみません」
五十鈴 乃笑「なに言ってるの? 一人で出歩くつもりだったの?」
日野 寛樹「いや、部屋まで服を取りにいくだけだしさ」
日野 寛樹「松濤から代々木上原なんて、すぐなんだし」
五十鈴 乃笑「危機感が足りないわね」
柿平 篤臣「お嬢様の仰る通りです」
柿平 篤臣「ハンターが動いた今、日中とはいえ単独行動は危険です」
日野 寛樹「はい・・・」
五十鈴 乃笑「そもそも服なんて着た切り雀でいいじゃない」
日野 寛樹「いや、ずっと同じ革ジャンってのも・・・」
五十鈴 乃笑「わたしは気にしないけど?」
日野 寛樹「そう? まあ、もうマンションに着いちゃうしさ」
五十鈴 乃笑「まったく・・・変なところだけ見栄っ張りなんだから」
柿平 篤臣「到着しました」
日野 寛樹「ありがとうございます」
日野 寛樹「じゃあ、取ってくるよ」
五十鈴 乃笑「わたしも行くわよ」
日野 寛樹「いや、すぐに戻るから」
五十鈴 乃笑「なに? わたしに見られたくない物でもあるの?」
日野 寛樹「そんなのないけど・・・」
五十鈴 乃笑「あるのね?」
日野 寛樹「ないって」
五十鈴 乃笑「まあ、男の子の独り暮らしだもの」
五十鈴 乃笑「一つや二つ見られたくない物もあるんでしょうけど」
日野 寛樹「ないってば。じゃあ、すぐ戻るから」
五十鈴 乃笑「逃げたわね」

〇整頓された部屋
御園 恵玲奈「来たわね」
ジェイコブ・ネルソン「ヴァンパイアを相手にするのは久しぶりだ」
御園 恵玲奈「柄にもなく緊張してるの?」
ジェイコブ・ネルソン「この感覚は嫌いじゃない」
御園 恵玲奈「そう」
日野 寛樹「誰だ!」
御園 恵玲奈「はじめまして。日野寛樹さん」
日野 寛樹「扶桑・・・いや、ハンターか?」
ジェイコブ・ネルソン「そう。ゲエンナに属するハンターだよ。ミスター日野」
ジェイコブ・ネルソン「勝手に部屋に上がった無礼は詫びておこう」
日野 寛樹「・・・俺を狩りに来たのか?」
御園 恵玲奈「そうよ。見ての通り、待ち伏せてね」
日野 寛樹「卑怯な手を使うんだな」
御園 恵玲奈「そう? わたしたちはハンターよ? 待ち伏せは基本じゃない?」
日野 寛樹「・・・こうやって吸血鬼を狩ってきたのか」
御園 恵玲奈「そうね。手段は似たり寄ったりかも」
御園 恵玲奈「ただ、吸血鬼なんて大物は滅多に相手にしないけど」
日野 寛樹「・・・俺はでかい獲物って訳か」
御園 恵玲奈「ええ。まあ、今回は更に大きな獲物が控えてるんだけど」
日野 寛樹「・・・ノエミのことか?」
御園 恵玲奈「わたしも真祖を相手にするのは初めてなの。愉しみだわ」
日野 寛樹「ノエミには指一本触れさせない!」
御園 恵玲奈「それは眷属として? 恋人として?」
日野 寛樹「形なんてどうでもいい!」
日野 寛樹「俺がノエミを守るのに理由なんか必要ない!」
ジェイコブ・ネルソン「よく言ったミスター日野。さて、会話も切り上げ時だ」
ジェイコブ・ネルソン「ハッ!!」
日野 寛樹「うおおぉぉ!!」
日野 寛樹「ぐっ・・・!」
ジェイコブ・ネルソン「その程度か!」
五十鈴 乃笑「ヒロキ!!」
日野 寛樹「ノエミ・・・! 来ちゃダメだ!」
ジェイコブ・ネルソン「真祖か・・・!」
五十鈴 乃笑「跪け! 三下!」
ジェイコブ・ネルソン「ぐはっ・・・!!」
御園 恵玲奈「ハッ!!」
「フンッ!」
御園 恵玲奈「わたしの斬撃を避けた・・・!?」
五十鈴 乃笑「跪けと言っている!」
ジェイコブ・ネルソン「撤退だ! エレナ!」
御園 恵玲奈「くっ・・・!」
日野 寛樹「はぁ・・・はぁ・・・」
五十鈴 乃笑「ヒロキ、大丈夫?」
日野 寛樹「うん・・・俺は大丈夫だよ」
五十鈴 乃笑「間に合ってよかった・・・」
日野 寛樹「ゴメン・・・逆に助けられちゃったな」
五十鈴 乃笑「そんなことどうでもいいの。ヒロキが無事でよかった・・・」
日野 寛樹「うん・・・」

次のエピソード:第4話 思惑

コメント

  • ノエミちゃんとひろき君の車内の会話、なりたてのカップルみたいで可愛かったです
    戦いはヒートアップ、エフェクト使いがわかりやすく白熱していました

  • キャラの名字、トラックだったのかーー!
    ジェイコブが片仮名でしゃべったことで気付きを得ました。いすゞと三菱ふそうの潰し合い、眷属はHINO…。
    さておきまして、ハンターというまた別の勢力が台頭してきましたね。色んな勢力の思惑はストーリーの流れを予測不能にしますね。続きも楽しみです。

    ※一話再確認しました。寛樹の好意は元から…!眷属になって悪化しそう!その辺りも楽しみです。

  • 戦うシーンが白熱してて良かったです。
    新たな勢力に今後の展開が楽しみです。

コメントをもっと見る(6件)

ページTOPへ