第4話 思惑(脚本)
〇居酒屋の座敷席
白川 芙優「なんというか、ずいぶんと・・・」
赤城 恭哉「庶民的でいいでしょ?」
青砥 香津美「あたしは、こういうお店も好きですよ」
白川 芙優「そう? まあいいわ」
赤城 恭哉「ふう・・・生き返った」
赤城 恭哉「それで、わざわざ集まった理由はなんです?」
白川 芙優「今後は3人で動くようにとのお達しよ」
赤城 恭哉「そりゃあ両手に花で、僕は嬉しいですけど」
赤城 恭哉「当てはあるんですか?」
赤城 恭哉「ゲエンナのハンターは神出鬼没だ」
赤城 恭哉「敵対するとなると、これほど厄介な相手もいない」
白川 芙優「確かに、機先を制すのは難しいでしょうね」
青砥 香津美「相手の出方次第、ですか?」
白川 芙優「ええ・・・そうなるわね」
赤城 恭哉「五十鈴は? どうするんです?」
白川 芙優「三つ巴の乱戦は避けたい」
白川 芙優「今はまずゲエンナ。扶桑様の御意向に添う意味でもね」
赤城 恭哉「黒崎先生の仇討ちですか・・・」
青砥 香津美「五色衆の補充はしないんですか?」
白川 芙優「それは、ハンターを倒した後」
赤城 恭哉「五十鈴もそうだけど、ゲエンナと事を構えるとなると」
赤城 恭哉「特殊情報分析室も黙ってないのでは?」
白川 芙優「それは当面、大丈夫」
青砥 香津美「根回しは済んでるんですね?」
赤城 恭哉「と、なれば。早々に片付けたい」
赤城 恭哉「まあ、なんとかするしかない、ですね」
赤城 恭哉「これも五色衆の役目」
青砥 香津美「黄瀬さんは?」
白川 芙優「まだ復帰は無理ね」
青砥 香津美「黄瀬も補充はしないんですね?」
赤城 恭哉「青砥さんは怖いなあ」
青砥 香津美「そうですか? 役目を全うできないなら」
青砥 香津美「その席から降りるべきだと思いますけど」
赤城 恭哉「まあ、そうなんですけどね」
赤城 恭哉「これまでの功労なんかは考慮に入れてもいいのでは?」
白川 芙優「なんにせよ、それは扶桑様がお決めになることよ」
赤城 恭哉「そりゃそうだ」
赤城 恭哉「我らは我らの役目を果たすのみ」
青砥 香津美「・・・いっそ今すぐ襲ってきませんかね。ハンター」
赤城 恭哉「青砥さんは怖いなあ」
青砥 香津美「手間が省けるじゃないですか」
〇ラーメン屋のカウンター
ジェイコブ・ネルソン「しかし、本当にラーメンでよかったのか?」
御園 恵玲奈「ラーメンおいしいじゃない」
ジェイコブ・ネルソン「それは否定しないが・・・」
店員「へい、お待ち!」
御園 恵玲奈「食べないの? のびるわよ」
ジェイコブ・ネルソン「ああ・・・」
「ずずず・・・」
ジェイコブ・ネルソン「・・・真祖があれほど強いとはな」
御園 恵玲奈「そうね。さすがに別格扱いなだけはあるわね」
ジェイコブ・ネルソン「あれは人間の手に負える存在じゃない」
御園 恵玲奈「随分と弱気ね。らしくない」
ジェイコブ・ネルソン「・・・そうだな。今のは忘れてくれ」
店員「いらっしゃい」
雨宮 恭平「紹興酒を」
店員「はいよ」
御園 恵玲奈「食べないの?」
雨宮 恭平「ああ、済ませてきた」
御園 恵玲奈「ここのラーメンおいしいのに」
雨宮 恭平「知ってる」
御園 恵玲奈「来たことあった?」
雨宮 恭平「ああ、以前の職場が近いんでね」
御園 恵玲奈「そう。普通の仕事ってどんな感じ?」
雨宮 恭平「普通の仕事なんてないさ」
雨宮 恭平「仕事はどれも特別な要素を持ってるもんだ」
御園 恵玲奈「そういうもの?」
雨宮 恭平「恵玲奈も一度、就職してみるといい」
御園 恵玲奈「わたしにハンター以外の職が勤まると思う?」
雨宮 恭平「その気があるなら、一緒に探してもいい」
御園 恵玲奈「・・・考えてみる」
雨宮 恭平「さて、今の私たちが負っている仕事の話だが」
雨宮 恭平「標的の変更だ」
ジェイコブ・ネルソン「パラノーマル・ブラッドから手を引くのか?」
雨宮 恭平「一旦ね。上は、扶桑を潰す好機と捉えたようだ」
ジェイコブ・ネルソン「やっと、ジャパニーズ・アークリッチを退治する気になったと?」
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水面下で着々と色んな計画が進められていっているのでしょうか
エレナのラーメンをすするシーンですが本当に狙い通り日常のシーンがでるだけで近くのラーメン屋にハンターが来ているというイメージが浮かびました!
こうゆう細かい演出とても良いですね
各陣営の思惑が示されることで、物語の中に緊張状態が走りますね🫡
そして、これまで出てきたいずれのキャラも、思想・信念・嗜好などの「個性」が描き出されているので、会話シーンからも「ニンゲン臭さ」が漂っていてより親しみを感じてしまいます😊 「怪奇」という遠心力と「ニンゲン臭さ」の求心力が共存するこの空気感、好きです🥰