救命王子

山本律磨

呪(脚本)

救命王子

山本律磨

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救命王子
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〇海辺
海斗「では次にこの人形を使ってやってみますね」
海斗「まずこうやって首を持ち気道を確保します」
海斗「そして空気が漏れないように注意しながら人口呼吸を行います」
海斗「・・・」
海斗「・・・」
海斗「・・・」
夏樹「萌えるな」
海斗「じゃあ次は島木さんやってみましょうか」
島木「え~?上手くできるかな~?」
晴香(帰ろ・・・)
田町「海斗さん!」
海斗「どうした!何かあったか?」
田町「ああいや・・・ええとですね・・・」
島木「・・・」
島木「俺達、外しましょうか?」
海斗「急ぎか?」
田町「いえ・・・」
海斗「後でいいか?」
田町「は、はい・・・」
海斗「じゃあ講習を続けます」
田町「・・・」

〇歌舞伎町
  救命王子の隠された真実!これがチーマー時代の岩波海斗!
  飲む打つ買うの乱行日常!彼は手の付けられない夜のプリンスだった!

〇テントの中
大倉「何だよこの記事!」
海斗「落ち着け大倉」
大倉「意味わかんねえし。なんで海人さんがこんな事暴かれなきゃいけないんすか」
大倉「俺らただのライフセーバーっすよ!こういうのプライバシーの侵害じゃないっすか!」
田町「ただ、海人さんはうちの会社の広告塔みたいなもんだし。こりゃ厄介な記事ですよ」
大倉「社長は何て言ってるんですか」
海斗「気にするなって言ってくれたよ」
田町「社長命令だ。大倉、俺達も気にするな」
大倉「分かってますよ。それくらい」
海斗「すまない。二人とも・・・」
大倉「気にしてないつってるでしょ」
大倉「何謝ってんすか?こんな昔の話、どうでもいいじゃないっすか」
大倉「別にわざわざ謝る事ねえし。それともあれっすか?芸能人気取りっすか?」
田町「大倉!」
大倉「神妙な顔とかしてんじゃねえよ!何が広告塔だよ!知らねえっつうの!」
大倉「てかさ、ちょっと気持ちいいんじゃないっすか?こういう記事書かれて」
大倉「黒スーツ着て謝罪動画上げちゃいますか?」
大倉「『誰だよオメ~』みたいな?」
田町「・・・おい」
田町「お前、何言ってるか分かってんのか?」
大倉「あ?」
田町「そんなに海斗さんが羨ましいなら、もっと鍛えたらどうだ」
田町「その性根も含めてな」
大倉「何だとオイ!」
海斗「やめろ二人とも!」
海斗「これは俺の問題だ。俺がしでかした・・・」
大倉「だからそういう気取った言い方がいちいちムカつくんだよ!」
田町「まだ言うかお前!」
海斗「違うんだ」
大倉「ああ?」

〇歌舞伎町
  『この男は・・・人を助け続けないといけないんだ』
  『生きて、助け続けないといけないんだ』
  『もっともっと助けないと』
  『もっともっと。もっともっともっと』

〇テントの中
海斗「助けて・・・助けて・・・助けて・・・」
海斗「俺の手で・・・俺の手で・・・俺の手で!」
海斗「助けないと助けないと・・・助けないと!」
大倉「は、放せよ!」
大倉「あ・・・」
海斗「・・・」
大倉「すみません突き飛ばして。大丈夫っすか?」
海斗「謝るのはこっちだ。取り乱してすまん」
海斗「頭、冷やしてくるよ」
大倉「・・・何があったんすかね」
田町「さあな・・・」
大倉「田町さん」
田町「うん?」
大倉「サーセン」
田町「俺への謝り方は適当だな」

〇タワーマンション
  『あ~、この雑誌に載ってる人~』
  『今話題の救命王子でしょ~』

〇豪華なベッドルーム
コールガール「昔こんなだったんだ~ガラ悪~い」
  『こいつはずっとこうだった・・・』
  『いまだってきっとそうだろう・・・』
コールガール「え?知り合いなの?」
直哉「ああ、こいつも俺達と同じ人種だ」
直哉「自分が・・・自分一人が気持ちよけりゃそれでいい人間なんだよ」
コールガール「え~私はちがうよ~」
コールガール「相手もきもちくしたげるタイプよ~」
直哉「だったらもっと楽しませてくれよ」
直哉「拾え」
コールガール「わあ~お!」

〇豪華なベッドルーム
コールガール「あはははは!あはははは!」
直哉「馬鹿!手を使うなよ!」
直哉「口で拾え!這いまわれよオラ!」
コールガール「キャンキャン!キャンキャ~ン!」
直哉「ははは!楽しませろ!もっと楽しませろ!」

〇海辺
  『ははははは!ははははははははは!』
  続く

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