〇暖炉のある小屋
マルク「おう、シルヴィアか 依頼はもう終わったのか？」
シルヴィア「終わったというか・・・」
マルク「おい？どうしたんだよ？」
シルヴィア「目標の盗賊狼は軽く片付けられたけど・・・ その後、そいつが「俺を弟子にしてくれ！」ってしつこくて・・・」
シルヴィア「結局また殴ってそのまま帰ってきたってわけ・・・」
マルク「おいおい・・・ それじゃあ、あの盗賊はそのまま置いてきたって事か？」
マルク「そんなんじゃ報酬出せないぞ？」
シルヴィア「別にいいわよ、報酬なんか・・・」
マルク「そ、そうか・・・」
ガルア「見つけたぞ・・・！ 鎧女!! いや・・・鎧女さん!!!」
ガルア「どうか・・・俺を!! 俺を弟子にしてくれ!!!してください!!!」
マルク「こ、コイツが噂の弟子入りしたい盗賊か・・・？」
シルヴィア「そうよ・・・ まさかついてくるなんて・・・」
ガルア「掃除に洗濯・・・あと自信はないけど料理もやります!! なんで・・・お願いします!!!」
シルヴィア「アンタ、ほんとしつこいわね!!」
シルヴィア「それに私は鎧女なんて名前じゃない！ シルヴィアって名前がちゃんとあるの！」
ガルア「じゃあ、シルヴィアさん!! 俺を弟子にしてください!!!!」
シルヴィア「あーもう!! だからー!!」
賞金稼ぎ「おい、あの人狼・・・賞金首になってたやつじゃねえか？」
賞金稼ぎ「言われてみれば確かに・・・ 身につけてるモンも報告にあった通りだぜ・・・」
賞金稼ぎ「こいつぁ絶好のチャンスかもしれねぇなぁ・・・」
シルヴィア「もう一回言うけど、私は弟子なんか取る気はないから!!」
ガルア「・・・？」
シルヴィア「ちょっと！ 話聞いてる？」
ガルア「いや・・・ この酒場、急に殺気立ってきたなって・・・」
マルク「お、おい！お前ら・・・！」
賞金稼ぎ「まさか賞金首がノコノコとここに入ってくるとはな・・・」
賞金稼ぎ「「飛んで火に入る夏の虫」とは、まさにこの事・・・」
賞金稼ぎ「さァて、一狩りいきますか！」
マルク「おいおいお前ら・・・ まさかここで暴れるつもりか？」
ガルア「フン！ 面白そうだな・・・」
シルヴィア「アンタ・・・もしかして・・・」
ガルア「俺は逃げも隠れもせん!!! 全員まとめてかかってこぉぉぉい!!!!!」
シルヴィア「ちょっ！ ちょっと待って!!」
マルク「とりあえず逃げるぞ！シルヴィア！」

〇暖炉のある小屋
　　数時間後・・・
ガルア「全く・・・ どいつもこいつも歯応えのないやつばかりだったな・・・」
マルク「あーあ・・・ 俺の店をこんなにめちゃくちゃにしやがって・・・」
ガルア「あ！シルヴィアさん！ 今終わりまし──」
シルヴィア「こういう事は外でやれ!!!」
ガルア「グッ・・・グゥ・・・」
シルヴィア「全く・・・ このバカ狼・・・！」
マルク「シルヴィア、これちゃんと弁償してくれるよな？」
シルヴィア「ハァ？ なんで私が・・・？ この店で暴れ回ったのはこのバカ狼と他のヤツらでしょ？」
マルク「何言ってるんだ!! お前があの時、ちゃんとコイツを退治しなかったからこんなことになったんだろうが!!!」
マルク「とにかく、この件の尻拭いはちゃんとやってもらうからな!!!!」
シルヴィア「そ、そんな事言われたって──」
ガルア「店長さん・・・ この件は俺が悪いんです・・・ シルヴィアさんを責めないでください・・・」
シルヴィア「バカ狼・・・！」
ガルア「金ならここにあるんで!! どうか許してやってください!!!」
マルク「全ッッッッッ然足りないよこんなの!!! それにこれ、他人から奪ったお金だろうが!!!!」
ガルア「ダメ・・・ですか？」
マルク「ダメに決まってるだろうが!!! もういい!!お前らは出禁だァ!!!!」
シルヴィア「えぇぇぇぇぇぇ!!!!??? 私もなの!?!?!?」
マルク「そうだそうだ!! ほら、さっさと出てってくれ!!!!」

〇西洋の街並み
ガルア「・・・追い出されちゃいましたね」
シルヴィア「全く・・・誰のせいだと思ってるのよ」
ガルア「その・・・弟子入りの件は・・・」
シルヴィア「ハァ!? あるわけないでしょ!!!」
ガルア「ガハッ・・・！」
シルヴィア「・・・明日からどうしよう」
ガルア「ハァ・・・ハァ・・・ 俺は絶対に諦めませんよ、シルヴィアさん・・・」