私と先輩の幽霊と

夢見夜

先輩との再会(脚本)

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〇渋谷駅前
  私は舞鈴。大学の2年生。趣味はゲームで、将来の夢はグラフィックデザイナー。
  今日は次の課題で作るもののアイデア探しを兼ねてウインドウショッピングに来ていたところ、見覚えのある人を発見した。
舞鈴「あ!先輩!先輩じゃないっすか!久しぶりですね!」
先輩「おまえは・・・?」
舞鈴「え!?先輩、可愛い後輩の名前忘れちゃったんですか!?」
先輩「あ、ああ。覚えてる。覚えてるはずなんだけど・・・」
舞鈴「舞鈴ですよ!ま・り・ん!」
先輩「あ、ああ!舞鈴ちゃん!舞鈴ちゃんか!久しぶりだな!元気だったか?」
舞鈴「はい!見ての通りめっちゃ元気っすよ! 先輩は今何してるんすか?いい加減彼女できました?」
先輩「それが・・・死んじゃって・・・」
舞鈴「そっかー!死んでたんすねー!」
舞鈴「って、死んだ!?先輩死んだ?マジで?」
先輩「うん。マジで」
舞鈴「あ!ほんとだよく見たらめっちゃ身体透けてるじゃないっすか!ウケる〜!」
先輩「いやウケてる場合じゃないでょ俺死んでるんだぞ! っていうかなんで俺のこと見えてるの!?」
舞鈴「あれ?言ってませんでしたっけ? 私実は結構霊感が強いって話」
先輩「あ、あれ本当のことだったんだ」
舞鈴「えっ、いままで信じてもらえてなかったんすか!?」
舞鈴「待って、私もしかして今虚無と話す超痛い人になってませんか?」
先輩「なってるね。俺みんなに見えてないから」
舞鈴「じゃあ立ち話もなんですし、とりあえずウチ来ます?近いし」
先輩「お、いいね。近いし」

〇アパートのダイニング
先輩「お邪魔しまーす おー、めっちゃ久々」
舞鈴「半年ちょいくらいぶりですかね?」
先輩「あー、そうだな。俺が死んだのがそのちょっと前くらいだし」
舞鈴「そういえば、なんで死んじゃったんですか先輩」
先輩「うーん、エナドリ飲んで3徹くらい作業して・・・気づいたらこうなってた」
舞鈴「うわっ、過労死じゃん」
先輩「多分そうだな。 ほら、俺頼まれたこと断れないじゃん?」
舞鈴「社畜の末路じゃん!」
先輩「まあ、とにかくそんな感じで死んじゃって、半年くらい彷徨ってたワケ」
舞鈴「それにしては存在感強いですね先輩 大体の幽霊半年もしたらもっと薄くなってるはずなのに」
先輩「え?そうなの?」
舞鈴「はい。だから先輩はなんか現世によっぽど強い未練があるんだと思うんですけど、なんか心当たりないですか?」
先輩「いや全然ない。そもそもさっきまで俺が何者なのかもよく覚えてなかったし」
舞鈴「うわぁー、厄介な幽霊になってるわー」
先輩「えっ、俺なんかやばい?」
舞鈴「はい。ほっとくと悪霊になって暴れ散らかしますね」
先輩「ええ!?なんかよくわからんけどやばいじゃん!どうすりゃいいの!?」
舞鈴「いやー、どうすりゃいいって言われましてもねえ。私霊感あるって言っても見る専なんで」
先輩「見る専とかあるんだ」
舞鈴「お祓いとかそういうのは専門家の人に頼むとして・・・でもほっとくわけにもいかないしなぁ」
舞鈴「よし、先輩、とりあえずウチに住みましょう!街中で人に危害加えるようになる前に!」
先輩「なんかその言い方いやだな・・・」
先輩「てか住んでいいの?」
舞鈴「うーん、ペットNGだけど先輩みんなには見えないしセーフじゃないっすかね?」
先輩「ペット枠なの俺!?」
舞鈴「ちゃんとお世話しますから!」
先輩「いやお世話とかいらないから!」
先輩「まあ、ずっと1人で彷徨うのも飽きたし、舞鈴ちゃんがいいなら俺はいいんだけどさぁ」
舞鈴「ん?なんか心配ごとでもあります? あー、この部屋事故物件みたくなっちゃうかもとか?」
先輩「いや、そうじゃなくてさ 女の子のひとり暮らしの家に俺みたいなのが転がり込むのはこう、どうなのさ」
舞鈴「いや、先輩散々ウチ泊まっといて何言ってるんすか」
先輩「まあ、それもそっか」
舞鈴「よし、そうと決まれば、とりあえずゲームでもやりますかー」
先輩「いや、俺肉体ないからコントローラー握れないわ」
舞鈴「あー・・・そっか」
舞鈴「なんか超能力的なので物浮かせたりできないんすか?」
先輩「いや、やったことないな」
舞鈴「じゃあとりあえずこのゲーム機浮かせてみましょ!こう、ぐわっ!って感じで」
先輩「ぐわっ? えー、こう言う感じ?」
舞鈴「お!なんかそれっぽい!いけそう!」
  しかしなにもおこらない!
先輩「無理だわ」
舞鈴「いや、諦めるのはまだ早いですよ先輩!」

〇アパートのダイニング
  2時間後・・・
先輩「やっぱ無理だわ」
舞鈴「無理ですね」
先輩「ごめんな付き合わせちゃって」
舞鈴「いえいえ私から言い出したことなので」
舞鈴「ってもうこんな時間ですか。お腹空いてきましたね。先輩なんか食べたいものあります?」
先輩「そうだなぁ、ピザとか思いっきり食べたいかも。ゲームしながらよくつまんでたじゃん」
舞鈴「了解でーす!じゃあ久々にデリバリーしちゃいますかー!」
先輩「って俺肉体ないから食べられないじゃん!」
舞鈴「あっそうだった!」
舞鈴「まあでもピザの気分になっちゃったし、とりあえず私の分だけ頼もうっと」
先輩「え?まさか食べてるところ俺に見せつける気?」
舞鈴「はい」
先輩「うわぁ」
舞鈴「さーて、届くまでゲームでもしますか 先輩はそこで見ててください、私のエイム力の上達を!」

〇アパートのダイニング
  30分後・・・
先輩「いや今のはあっちの敵先倒した方が良かっただろ」
舞鈴「勝ったんだからいいじゃないですか!」
ピザ屋「ピザお届けに参りましたー!」
舞鈴「あ、はーい!」
ピザ屋「Mサイズのハーフアンドハーフのポテトドリンクセットでお間違いないですか?」
舞鈴「はい、ありがとうございまーす 支払い電子マネーでいいですか?」
ピザ屋「大丈夫です! ありがとうございました!」
舞鈴「ありがとうございましたー」
舞鈴「さーて食べますかー!久々のピザはいいですねー」
先輩「いいなぁ」
舞鈴「あっ!なんか久々のピザってごろよくないですか?」
先輩「いいなぁ」
舞鈴「ぱく! んー!チーズが美味しいー!」
先輩「いいなぁ」
舞鈴「なんですか先輩さっきから恨めしそうな目でこちらを見て」
先輩「恨めしいっていうか羨ましいっていうか」
舞鈴「あー、先輩ピザ持とうとしても透けちゃうから食べられないのかー!残念ですねー」
先輩「チクショー! もうこれ悪霊になるわ俺・・・」
舞鈴「えっそんなにですか?」
先輩「そんなに!」

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コメント

  • 幽霊という非日常的存在との日常系コメディ、これは読んでいて楽しくなりますね!あれ、生前の先輩と舞鈴ちゃんとの関係って……

  • 死んでる先輩が舞鈴と再会してからどんどん生き生きしてきて、人生(?)を楽しみだしていくのが面白かったです。憑依された後「狭いから出ていって」という発想もすごいですね。

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