コンカフェ嬢の流儀

ぽんたろう

第1話『推し斬りタケゾー来店』(脚本)

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〇メイド喫茶
月「おかえりなさいませ、ご主人様」
月「こちらの席へどうぞ」
客「はい!」
月「今日は平日だから暇だなぁ」
あみーな「月(ルナ)ちゃん、お仕事慣れてきた?」
月「あ、店長」
月「はい! お陰様で大分慣れてきました!」
あみーな「良かった」
あみーな「月ちゃんにもそろそろ 推してくれる人が出来るといいね」
月「はい! 頑張ります!」
推し斬りタケゾー「こんちはー」
あみーな「あ、タケゾーさん」
あみーな「おかえりなさいませご主人様」
月「おかえりなさいませご主人様!」
月「こちらの席へどうぞ」
あみーな「あ、ちょっと待って、月ちゃん」
月「えっ? 何でしょう?」
あみーな「タケゾーさんは常連さんで お気に入りの席があるの」
月「そうだったんですね」
推し斬りタケゾー「さすが店長」
あみーな「今日は空いてるので どうぞ、こちらへ」
月「常連さんだったんですね」
あみーな「そうだよ」
あみーな「月ちゃん、いるときに来たのは 初めてだからね」
月「誰か推しがいるんですか?」
あみーな「月ちゃん、ちょっといい?」
月「はい」
あみーな「ちょっとこっちへ」
月「ん?」

〇広い厨房
月「裏に来てどうかしたんですか?」
あみーな「タケゾーさんについてなんだけど」
月「あの常連さんがどうかしたんですか?」
あみーな「実はね、あのタケゾーさん」
あみーな「推しを作らないの」
月「そういう人もいますよね」
あみーな「そうじゃないの」
あみーな「あの人が推しにした子は みんなこの界隈から卒業しちゃうの」
あみーな「しかも、1週間以内に」
月「えっ!?」
あみーな「これまで、他のコンカフェも含めて 99人の推しが卒業していったわ」
月「もしかして、タケゾーさんが 推しに何かしてるとか?」
あみーな「いえ、タケゾーさんは この界隈でも紳士であることで有名よ」
あみーな「キャストには皆んな平等に接するし 誰にでもキャスドリを入れてくれる」
あみーな「優しい人」
月「どうして、そんな良い人が」
あみーな「推しはみんな、学業、家庭の事情、謎のばっくれ、店舗の閉店、色々あるけど」
あみーな「何故か1週間で消えていく」
月「悲し過ぎる」
あみーな「おかげで、タケゾーさんのことを 『死神』と呼んだり、『推し斬りタケゾー』と呼ぶ人もいるわ」
月「酷い」
あみーな「タケゾーさんも、この悲しみを繰り返さないためにも、もう推しを作らないって宣言したの」
月「99人まで、ある意味タフですね」
あみーな「だからね、決してタケゾーさんの 推しになっちゃダメだからね」
月「そんなの悲し過ぎます」
あみーな「でも仕方ないの」
月「じゃあ、私がタケゾーさんの推しにしてもらってこの呪縛からタケゾーさんを解放させて見せます!」
あみーな「ダメよ! 危険過ぎる!」
あみーな「そう言って、消えていった子を 何人も見てきたわ」
あみーな「月ちゃんには まだ明るい未来が待ってるわ!」
月「ご主人様を笑顔にするのが キャストですよ!」
あみーな「月ちゃん」

〇メイド喫茶
推し斬りタケゾー「何か飲む?キャスドリ入れて良いよ」
月「いいんですか? ありがとうございます!」
推し斬りタケゾー「素敵な笑顔だね」
月「よく言われます」
推し斬りタケゾー「くっ」
月「どうかしました?」
推し斬りタケゾー「いや古傷が痛むんだ」
推し斬りタケゾー「君のような素敵なキャストを見ていると 過去の思い出が蘇ってくる」
推し斬りタケゾー「もう悲しみは繰り返したくないんだ」
月「私を推しにしてくれませんか」
推し斬りタケゾー「えっ?」
推し斬りタケゾー「君も知ってるんだろ? 俺が死神って呼ばれてるって」
月「はい」
月「まだ私を推しにしてくれる人が いないんですよ」
推し斬りタケゾー「君はまだ新人だ 犠牲になる必要はない」
月「私はいなくなりません!」
推し斬りタケゾー「このトキメキは、久しぶりの感覚」
推し斬りタケゾー「いや、ダメだ!」
推し斬りタケゾー「何考えているんだ! 俺は!」
推し斬りタケゾー「こんな素敵な子を不幸にするわけには・・・」
月「だったら、私を推して幸せにしてください」
月「私は消えません」
推し斬りタケゾー「信じていいのかい?」
月「はい!」
推し斬りタケゾー「分かったよ!」
推し斬りタケゾー「ツーショットチェキを撮ろう」
月「喜んで!」
あみーな「良かったね、月ちゃん」
あみーな「タケゾーさんに、ツーショットチェキを指名されたってことは推しにしてもらったてことだからね」
あみーな「だけど、このまま1週間 何もなければいいけど」

〇教室
月「さて、放課後だし帰ろうかな」
田村「あ、陽奈」
月「田村ちゃん、どうかした?」
田村「放課後は一緒に 小テストの勉強するんでしょ?」
月「そうだっけ」
田村「相変わらず忘れっぽいな」
月「ううぅ、忘れてた」
田村「ほらほら、成績落とさないのが バイトさせてもらう約束だったんでしょ」
月「そうだけど」
田村「一緒に頑張ろ?」
田村「うちは一応進学校だから 文武両道じゃないとね」
月「うん!」

〇メイド喫茶
推し斬りタケゾー「月ちゃんは?」
あみーな「ごめんなさい、テストの勉強で 少しおやすみいただいているんですよ」
推し斬りタケゾー「そっか、頑張ってるんだね」
あみーな(頑張ってね、月ちゃん)

〇教室
月「ううー分からない」
田村「確かに難しいね」
田村「でも、どうにかしないと」
月「このままでは 本当にバイト続けられないかも」
月「・・・・・・」
月「諦めちゃダメよ」
月「まだ諦めるには早い」
月「ここで諦めたら楽しいバイトと お別れしないといけないし」
月「タケゾーさんのことを裏切ることになる」
月「頑張るぞ!」
田村「うん」

〇メイド喫茶
推し斬りタケゾー「あれから1週間か」
あみーな「本当ならもう来てる時間なんですけど」
推し斬りタケゾー「バックれるような子には見えないけど」
「・・・・・・」
月「ず、ずみまぜん!」
「月ちゃん!」
月「まだギリギリセーフですよね」
あみーな「あ、うん」
月「スマホ家に忘れるわ 電車が遅れるわで連絡もできませんでした!」
月「すみませんでした!」
あみーな「間に合ったんだからいいよ」
あみーな「ほら、早く着替えてきて」
月「はーい!」
あみーな「テスト上手くいったみたいですね」
推し斬りタケゾー「どうやら、ジンクスを覆してくれたのか」
あみーな「本当に良かった」
推し斬りタケゾー「こんなに嬉しいことはないよ」
推し斬りタケゾー「あの子なら、もしかしたら」
推し斬りタケゾー「この混沌としたコンカフェ業界を 変えられるかもしれない」
あみーな「そうかもしれませんね」
月「何の話をしてるんですか? 仲間に入れてくださいよ!」
あみーな「月ちゃんが」
あみーな「間に合って良かったって話してたの」
推し斬りタケゾー「そうそう」
月「ありがとうございます!」

〇メイド喫茶
  次回予告
  危機を乗り越えて
  初めての推しを獲得出来た月だったが
  再びピンチが到来する
  忍び寄る初めてのモンスター客
  月はこのピンチを乗り越えることができるのか!?
  次回『モンスター石井来店』
月「次回もあなたに、萌え萌えてん!」
月「語感悪いな」

次のエピソード:第2話『モンスター石井来店』

コメント

  • すごくステキなお話ですね✨
    華やかなコンカフェの世界の陰にある、闇やジンクスや努力や情熱といった要素が存分に見られて、胸がいっぱいになります😊 可愛いキャラいっぱいの、可愛いだけでない物語、イイですねー🥰

  • 推し斬りタケゾーに大爆笑ですよ!
    コンカフェというまのを初めて知りました😧そしてホラー要素すらある一週間で卒業してしまう謎👍

    なんだか不幸体質になるというか、凄く気になります!

  • すっごい可愛く清々しいお話ですね!読んでいて笑顔になります!
    あれ、タケゾーさん(本名:佐々木さん)って……異世界でご活躍されていらっしゃった気がww

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