エピソード7 池田育人の場合 後編その2(脚本)
〇教室
池内先生「それじゃ、今日は終わりだ」
池内先生「学級委員の佐藤、号令たのむ」
佐藤留美子(学生時代)「ハイ!」
佐藤留美子(学生時代)「起立、礼!」
池内先生「うん、今日も良い号令だった。 佐藤また頼むな」
池内先生「それと、今日は引き続き放課後に 進路相談を実施する」
池内先生「確か今日は佐藤の順番だったな。 後で指導室に来るように」
佐藤留美子(学生時代)「あっ・・・ハイ」
〇学校の部室
佐藤留美子(学生時代)「先生私は将来教師になりたいです!」
池内先生「成る程・・・、それはどうしてだ?」
佐藤留美子(学生時代)「私、こう見えて前に出て目立ちたいし、 真面目に仕事したり、人に教えたりすることが好きなんです」
池内先生「はは、学級委員長の佐藤らしいな」
佐藤留美子(学生時代)「あ! あと他にもなりたいものがあるんです」
池内先生「ほう、教師の他にもあるのか。 なんだ?」
佐藤留美子(学生時代)「それは・・・、」
佐藤留美子(学生時代)「先生のお嫁さん♡」
池内先生「おいおい・・・」
佐藤留美子(学生時代)「先生ぇ・・・♡」
池内先生「はぁ・・・しょうがないな」
〇清潔な廊下
当時、私は担任の教師と
恋愛をしていた。
けれど・・・
〇体育館の舞台
「えー、今日は先生お二人がご結婚なされたので、皆さんにご紹介します」
女性教師「突然ですがこの度、池内先生と結婚して夫婦になりました」
池内先生「夫婦揃って今後も教師を続けながら、 幸せな家庭を作ります」
池内先生「なお、今回結婚したことで自分は 違う学校に転勤になりますが」
池内先生「向こうの学校でも、この学園で過ごした事は、決して忘れません」
佐藤留美子(学生時代)「嘘・・・」
私は担任教師に遊ばれていただけだった。
けれど、バカな私は、
その担任教師への思いを
何年も引きづって
佐藤留美子「・・・」
年数が経過し、
他に恋愛もせず。
教師となっていた。
そして・・・
〇体育館の舞台
池田育人「始めまして、池田育人といいます」
池田育人「こう見えてまだ教師になったばかりっす。 よろしくお願いします」
──どことなく、あの担任教師と雰囲気が
似てる池田先生がこの学園にやってきた。
こうして、過去に囚われた私の思いが、
再び動き始めて、池田先生に惹かれていった。
〇清潔な廊下
放課後
佐藤留美子(はぁ・・・今日は流石に疲れた)
佐藤留美子(学校中に私と池田先生の交際のことで持ち切りだったわ)
佐藤留美子(まったく学園長ったら、全然混乱を収めれて無いじゃない。本当に大丈夫かしら)
「随分と汚いやり方したっすね、 佐藤先生・・・」
宇津木サトコ「先生の例の動画見たっすよ。 いやぁキツいっす」
宇津木サトコ「あんなわざとらしい酔い方して、」
宇津木サトコ「確かネットで出回ってたアレでしたっけ?」
宇津木サトコ「『若い子になんて負けない! 酔っ払ったふりして合コンで男を落とす30代女子のテクニック』」
宇津木サトコ「──とか言うネタ」
佐藤留美子「なっ!?」
宇津木サトコ「あぁ・・・やっぱり。 まさかほんとにやる人がいたんすね」
佐藤留美子「くっ・・・」
佐藤留美子(この子は確か池田先生のクラスの子)
宇津木サトコ「ほんと大人って汚いっすね。 そうまでして男を落としたいんですか?」
佐藤留美子「・・・」
佐藤留美子(図星で恥ずかしい。だけどこれ以上、 こんな小娘に好き勝手言わせるもんですか)
佐藤留美子「フッ・・・、優等生ぽいけど、 やっぱりまだまだ”子供”ね」
宇津木サトコ「はぁ!?」
佐藤留美子「ここじゃ目立つし、ちょうどそこの生徒指導室が空いてるから、言いたい事があるなら聞いてあげるわ」
宇津木サトコ(なっ!? 急に開き直りやがった)
宇津木サトコ(こいつもしかして、意外と手強いのか?)
佐藤留美子(フフフ、子供が一丁前に大人に歯向かった事を後悔させてあげるわ)
〇学校の部室
佐藤留美子「それで? 優等生ちゃんは何がお望みかしら?」
宇津木サトコ「私は優等生ちゃんじゃなくて宇津木サトコっす。先生の癖に生徒の名前を掌握してないんすか?」
佐藤留美子「そう、宇津木さんね・・・」
まずはお互いに軽い言葉のジャブの打ち合いだ。
宇津木サトコ(とりあえず、今日の目的は佐藤先生を言葉で追い詰めて、池田先生と交際しづらくさせる)
宇津木サトコ(そして徐々に池田先生に相応しく無いと自覚させて、破局させてやる)
そんな風に思っていたサトコだが、
戦いはそんなに悠長ではない。
すぐに佐藤の強烈なストレート(言葉)が、サトコに炸裂した。
佐藤留美子「あなた『池田先生に恋してる』でしょ」
宇津木サトコ「は、ハァ!? なんすか急に。 別にそんなわけないし!」
佐藤留美子「そうやって必死隠すところがまだ”子供”ね」
宇津木サトコ「うっ・・・」
佐藤留美子「池田先生は生徒思いの人だがら、 きっと勘違いしちゃってるのね、」
宇津木サトコ「勘違い? そんな訳──」
佐藤留美子「──忠告しておくけど、」
佐藤留美子「子供は大人と恋愛なんてできないわよ」
佐藤留美子「所詮は子供だと舐められて、 適当に遊び相手にされるだけ」
宇津木サトコ「そんな事無い! 池田先生は生徒といつも対等っすから!」
宇津木サトコ「しかも私、こう見えてけっこう池田先生に頼りにされてますから」
佐藤留美子「へぇ・・・そうなの」
佐藤留美子「けどあなた、池田先生から求められた事はないでしょ」
宇津木サトコ「ハァ!? 求められるって・・・その、えっと・・・」
佐藤留美子「男と女の仲になるってことよ。 けど池田先生はそんな事を当然生徒である貴方には求めない」
宇津木サトコ「う・・・」
佐藤留美子「だけどあの日の晩、 彼は私がキスをしたら求めて来たわ」
佐藤留美子「どう? これが結果よ」
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思っていた以上にヤバイヤバイ!早く続きを読まなくては…!
こっからの展開が予想出来ないってゆーか、怖い…でも読みたい!