神様からの三行半

金平 旺大

第18話(脚本)

神様からの三行半

金平 旺大

今すぐ読む

神様からの三行半
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇神社の本殿
  ・・・一週間後
淡雪「コマさーん」
コマ「やっと帰ってきましたか。 もうすぐタケハ様も帰ってくるはずですよ」
淡雪「コマさん、 手伝ってください」
淡雪「この神社に三種の神器の鏡がありますよね?」
コマ「突然なんですか? あると思いますよ。 ただ、神主であるタケハ様の 許しがないと、それは・・」
淡雪「そんなこと言っている暇はないんです」
コマ「もうすぐタケハ様が帰ってきますから、 それから頼んでみましょう」
淡雪「それじゃ、間に合わないかもしれない。 この夕日が、光があるうちに鏡をかざさないといけないの」
コマ「かざすってどこに?」
淡雪「説明している時間はないわ。 早く・・」
タケハ「あれぇ、 淡雪さん、出迎えてくれて 嬉しいなあ」
淡雪「すみません、今忙しいんで、 あとにしてもらっていいですか」
タケハ「・・淡雪さん? 僕ですよ。お札も充分に作ったんで もうあの神社に戻らなくていいんですよ」
淡雪「コマさん、お願いします。 鏡を、私に貸してください」
コマ「・・・」
淡雪「お願いします、コマさん」
コマ「淡雪さん、 そろそろ後ろを見ては いかがでしょうか」
淡雪「えっ?」
淡雪「・・・うわ、出た」
タケハ「完全にお化け扱いですね。 あまり歓迎されてないような 気がするんですけど・・」
淡雪「ど、どこがですか」
タケハ「表情が・・」
コマ「あの、淡雪さんがお堂に飾られてある鏡を 使いたいと言っているんですけど、 大丈夫でしょうか」
タケハ「あの鏡はあの世とこの世を分けるもの。 真実を照らすものとも言われていて、 僕ですら触ったことがないんです」
淡雪「それを使いたいんです」
タケハ「なぜですか。 理由を教えて下さい」
淡雪「それは・・ 多分、使えばわかります」
タケハ「・・そんな理由では使わせることは できませんね」
淡雪「お願いです。 ・・一生のお願いです」
タケハ「・・一生の、お願い?」
淡雪「はい、 お願いします」
タケハ「・・・では、 僕の一生のお願いも聞いてもらえますか」
淡雪「どうしたんですか、 急に膝をついたりして・・」
タケハ「僕と結婚してください」
淡雪「いや、そんな急に・・ そんな指輪も受け取れません」
タケハ「この前、コマが持っている指輪を 見てから、ずっと考えていたんだ」
タケハ「僕の一生のお願いだ。 叶えてくれたら、 鏡でも何でも好きなだけ使っていい」
淡雪「・・え、・・いや、・・でも」
コマ「タケハ様、 急にそんなことを言って困らせるのは いかがなものでしょう。 もう少し関係を深めてから・・」
タケハ「ダメだ。 もし神様が帰ってきたら、 淡雪はいなくなってしまう」
タケハ「その前に・・ 誰かに先を越される前に、 僕は結婚するんだ」

〇神社の本殿
淡雪「・・・日が沈んでしまいました・・」
タケハ「別にいいじゃないですか。 それよりも、僕の求婚を受けてくれるんですか?」
淡雪「そ、それは・・・・・」
コマ「!!! お堂の上に黒い渦が・・ あの時の禍々しい雰囲気」
コマ「あの妖怪が出てくるのか」
淡雪「キャーーー」
コマ「攻撃が見えなかった。 淡雪さん、大丈夫ですか」
タケハ「な、なにが起こったんだ」
ヒルコ「タケハ、 あなたは私のことが 好きだったんだじゃないの?」
タケハ「誰だ? ・・・その声、 ・・・ヒルコ姉ちゃん・・ どうして、ここに?」
ヒルコ「「どうしてここに?」 なんて口の利き方」
ヒルコ「せっかくあの人を家から追い出して、 お父様を独り占めできると思っていたのに・・」
ヒルコ「私を精神病だと言って、 病院に連れて行こうとするから・・」
ヒルコ「二人とも死ぬ羽目になって、 ・・・お父様から裏切られた今、 もう、タケハしかいないのよ」
ヒルコ「・・だから、 タケハをずっと見守ってきたのに、 どうして・・・そんな女に・・」
ヒルコ「それも、 よりによって私の誕生日に・・・ 許さない」
タケハ「ちょ、、 ちょっと待ってくれ、姉ちゃん」
タケハ「確かに学生時代は 姉ちゃんのことが好きだったけど、 それは・・何か違うと思うんだ」
タケハ「僕は淡雪を好きになって、 結婚・・」
ヒルコ「うるさーい」
ヒルコ「それなら、 この女の魂を奪い取って、 私がこの女になってやる」
タケハ「淡雪! あぶない」
タケハ「グワーーーー」
コマ「タケハ様ーーーーー」
ヒルコ「チッ、 タケハに当たってしまった。 魂が・・・半分だけ? 私の身体に取り込まれた」
コマ「タケハ様。 ・・まだ息がある。 死んではいないが、 目がうつろで、どこかおかしい」
コマ「魂を奪ったというのは 本当のことなのか・・」
ヒルコ「これがタケハの魂・・・」
ヒルコ「はぁー、 ねじ曲がってて気持ちいい──」
ヒルコ「お父様と私が死んで、 ツクヨミ兄さんが家からいなくなったことで、どんどんねじ曲がっていったのね」
ヒルコ「素敵 やっぱり私たち相性がいいのね」
ヒルコ「そうだ。 タケハの魂を全部奪って、 私の中で共存できれば、もう他には何もいらないわ」
ヒルコ「そうと決まれば・・」
ツクヨミ「させるかーーー」
ヒルコ「・・・攻撃を無効化した?」
ツクヨミ「へへっ、 お札を一枚くすねてて正解だったぜ」
コマ「ツクヨミ様、 なぜここに」
ツクヨミ「そんなことはあとで説明する。 今はやらなきゃいけないことが あるんだろ」
コマ「この人はヒルコ様ですよ」
ツクヨミ「何? ・・でも、ヒルコが死んだ。 死んだ人間に情けをかけても 仕方ないだろ」
ツクヨミ「誰を守るべきかは 一目瞭然だ」
コマ「それでは、 力を・・、いや、身体を貸してください」
ツクヨミ「?? それはどういう意味だ」
コマ「こういうことです」

次のエピソード:第17話

成分キーワード

ページTOPへ