雪代セリ①(脚本)
〇コミケの展示スペース
──最初に彼と知り合ったのは高校3年の初夏の日──
私は趣味のコミケが隣町でやっていたので好きな漫画の同人誌漁りをしていた。
大学受験も半年なのに今の私にはどうでも良かった
青春は今しかない
そう言い聞かせて現実から逃げていた。
友達と楽しい一時も今の時間も
──あの場所で彼に出会うまでは──
雪代 セリ「えっと、すみません。カルマ先生の丸ごと焼きプリンの同人誌って置いてますかぁ〜」
雪代 セリ(ふ〜。恥ずかしいな・・・けど大好きなんだよねあの先生の漫画。同人でも良いから続き見たいな)
「あぁ〜。マニアックだねー確かあっちのブースで見かけたよ〜」
20代後半のネタに走りきったコスプレをしているお兄さん。教えてくれてありがとう
前の方のいた男の人と目があった・・・
こっちだよ!って訴えているようで私は販売の人だと思った
雪代 セリ(んー・・・私の知ってる人?訴えてくる感じだし)
雪代 セリ「・・・ あの、こちらに焼きプリンの作品ありますか?出来れば6巻の倉庫編のやつがあればと・・・」
外村 秀匡「・・・・・・」
雪代 セリ「えとっ・・・違う辺りでも構わないんですが」
外村 秀匡「いや俺、販売の人じゃないよ。 てか焼きプリンの本自体置いてなかったと思う」
なんてこったい・・・私オタク気質だけど、焼きプリン以外の漫画あまり知らないよ
雪代 セリ(て言うか、訴える様に私を見てきたの勘違いだった!自意識過剰で恥ずかしい私)
外村 秀匡「もしかして○○市の西高の人?」
雪代 セリ「あっ・・・はい。何で分かったです・・・の?」
外村 秀匡「いや、そのバッグさそっちの女子高生よく持ってるの見かけるし、当てずっぽうだけど西高に多いからさ」
確かに、紺色で持ち手だけピンクのバック、ウチの子達ほとんど持ってる
外村 秀匡「俺△△市だけど、こっちでは誰も持ってないからさ」
えぇー!全国の女子高生必須アイテムじゃないの?コレ!やだ田舎者じゃん。
外村 秀匡「あー。違ってたらごめんなさい。卒業しても使う人いるし年上だったら失礼しました」
雪代 セリ「私、高3ですが」
外村 秀匡「おぉーマジかー!俺も高3だよ! 西高はダチもいるんだよ。山本知ってる?顔が三角でコナンの元太みたいな」
雪代 セリ「ん〜。分からないです・・・すみません」
外村 秀匡「そっかぁ〜結構目立つヤツだよ。男なのに金のピアス付けてババァかよって馬鹿にされてる(笑)」
雪代 セリ「あはは!今度見かけたら友達が話してたよって伝えとくね。んとんと」
外村 秀匡「俺は外村(とのむら) トノって呼ばれてるわ。最近会ってないから寂しがって怒ってたぞって言っておいて(笑)」
外村 秀匡「もし良かったら一緒にあっちのブースでコスプレ見ない?俺あんま分からないけど見てるだけで楽しいよ」
雪代 セリ「あっ。うん是非是非♫」
雪代 セリ(てか私、男の人とこんなに話した事ないよ〜なんか気さくだし話しやすそー♫)
(一緒に見たコスプレはネタに走った人。ガチ勢で本物が飛び出して来たようなクオリティの人。)
(コミュ症気味な私がオープンな気持ちになって写真お願いしたり。OKしてくれる人達も気さくで)
(青いカラコンしてるコスプレイヤーさんは見たことあるキャラだな名前知らんけど)
雪代 セリ(私も漫画の世界の脇役になったみたいで楽しいじゃんコレ!今度あのキャラのアニメ観ようかな)
雪代 セリ「素敵」
青い瞳がキレイで吸い込まれそう・・・
外村 秀匡「なかなか楽しいよね!つか2時間近く経ってる。あっという間だね」
雪代 セリ「うそー。やばっ!そろそろ帰らなきゃ」
雪代 セリ「一緒に見てくれてありがとうございました。またどっかの会場で会えたらよろしくね♫」
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