弟愛(ぶらこん)な騎士団長殿

セーイチ

エリシアの憂い(脚本)

弟愛(ぶらこん)な騎士団長殿

セーイチ

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〇養護施設の庭
ガロ「おはようございまっす、団長殿」
エリシア「ああ、おはよう」
ガロ「・・・って、アレ?」
ガロ「アリエイル様じゃないっすか」
アリエイル「おはようございます、ガロさん」
ガロ「おはようございます、何やってんすか?こんな所で」
エリシア「いや、アリエイルが稽古を見たいと言うのでな・・・」
アリエイル「はい、見学させて頂こうと思って」
ガロ「へぇ~そうなんすか~立派なモンっすね」
ガロ「ってか見るだけじゃなくて稽古に参加すれば良いじゃないっすか」
アリエイル「お姉様に、まだ早いと言われてしまいましたので・・・」
ガロ「まだ早いって剣の稽古が?」
ガロ「アリエイル様って6歳っすよね?」
アリエイル「はい、二月ほど前に6歳になりました」
ガロ「なら良いじゃないっすか」
ガロ「ここに居る奴らも、アリエイル様くらいの頃にはもう木剣握ってましたよ」
アリエイル「・・・お姉様?」
エリシア「・・・だ、だめだ、アリエイルには・・・その・・・ちょっとだけ早い・・・」
ガロ「そんなこと言って、団長殿なんて物心つく前から真剣握ってたって言ってたじゃ・・・」
ガロ「ぐぅほっ!」
エリシア「余計なことは言わんで良い」
アリエイル「(じ~)」
エリシア「・・・うっ」
エリシア(あぁああ・・・アリィが私に抗議の眼差しを向けているぅ・・・)
エリシア(でも嫌じゃない・・・)
エリシア(なぜだ、反抗されているのに胸がドキドキする・・・)
エリシア(なに・・・なんなのこの気持ちぃいいい!)
ガロ「いや~意外と過保護なんっすね団長殿は」
エリシア「お前タフだな・・・」
ガロ「アリエイル様が心配なのは分かりますけど、本人が望んでいるならやらせてみるのも良いんじゃないっすか?」
ガロ「6歳で稽古を始めるなんて普通っすよ」
エリシア「い、一般論は関係ない、コレは我が家の教育方針で・・・」
アリエイル「(じ~)」
エリシア(あぁ、アリィの眼差しが一段と険しく・・・)
エリシア(アリィを怒らせたくない・・・でももっと睨んで欲しい・・・)
エリシア(わ、私はどうすれば・・・)
レオナルド「取り合えず素振りでもやって頂いたらどうですか?」
エリシア「・・・副長」
レオナルド「アリエイル様、今まで剣の稽古をしたことは?」
アリエイル「すみません、実は木剣を握った事も無くて」
レオナルド「謝る必要はありませんよ、剣の道は人それぞれ」
レオナルド「いつ初めて、いつ手放すのも個人の自由です」
レオナルド「そうですよね、団長殿?」
ガロ「あぁそうだ、団長殿自身が以前仰っていましたよねぇ」
エリシア「うぅ・・・こしゃくな・・・」
アリエイル「お姉様・・・」
エリシア「・・・ぬぬぬ」
エリシア「・・・仕方ない、木剣での素振りくらいは許可しよう」
アリエイル「ありがとうございます!お姉様!」
エリシア「きゅっ!」
エリシア(あぁ、やっぱりアリィは笑顔が一番だ・・・)
ガロ「じゃあ俺が見るっすよ、どうせ暇だし」
エリシア「貴様、自分の稽古はどうした」
ガロ「だって基礎トレは終わっちゃいましたし」
ガロ「実戦稽古で俺の相手になるの団長殿か副長殿しかいないんで」
エリシア「だったら部下の指導でもしていれば良かろう」
ガロ「まぁまぁ、良いじゃないっすか」
ガロ「ささ、取り合えず始めましょうかアリエイル様」
アリエイル「はい!宜しくお願いします!」
レオナルド「ガロに任せておけば大丈夫ですよ、ああ見えて面倒見は良いですから」
エリシア「・・・そんな事は知っている」
エリシア「かつては私も面倒を見られた側だからな」
レオナルド「そうでしたね」
ガロ「じゃあまずは形とか気にせず、思いっきり振ってみましょうか」
アリエイル「え?良いんですか?こう構え方とか、握り方とか・・・」
ガロ「それは追々修正しましょう」
ガロ「まずは今のアリエイル様を見せて下さい」
アリエイル「わ、わかりました・・・」
アリエイル「・・・」
アリエイル「やっ!」
ガロ「!?」
レオナルド「!?」
エリシア「・・・」
レオナルド「団長殿、アリエイル様は本当に初めて剣を握ったのですか?」
エリシア「私が知る限りな」
アリエイル「ど、どうですか?ガロさん」
ガロ「素晴らしいっす初めてとは思えないっすね」
アリエイル「あ、ありがとうございます!」
ガロ「でも今の振り方だと体を痛めるかもっすね」
ガロ「もっとココをこうして、肩の力を抜いて・・・」
レオナルド「・・・」
エリシア「分かっただろう、私の懸念が」
エリシア「アリエイルは、将来間違いなく私やお父様を超える」
エリシア「だからこそ慎重を期したのだ」
レオナルド「申し訳ございません、出過ぎたマネを致しました」
エリシア「いや、良い」
エリシア「コレも必然だったのかも知れん」
エリシア「しかし私には庶務もある、悪いが私の目が届かない時は副長も気に掛けてやってくれ」
レオナルド「はい、お任せください」
エリシア「頼んだ」
エリシア「アリエイル、私は城内での仕事に行かねばならない」
エリシア「ちゃんとガロや副長達の言うことを聞くのだぞ」
アリエイル「はい、行ってらっしゃいませ」
エリシア「・・・ガロ、頼んだぞ」
ガロ「心得てまっす」

〇貴族の部屋
エリシア「結局、夜までかかってしまったか・・・」
エリシア「アリィは寝てしまっただろうな」
エリシア「アリィの顔を見て一日を終えたかったが、起こすのも可哀そうだし・・・」
エリシア「しかたない、私も就寝するか・・・」
エリシア「よし、明日は朝一でアリィと・・・」
エリシア「ん?」
エリシア「足音?」
エリシア「何か変だ、まるで忍ぶような足音に感じた」
エリシア「それも、アリィの部屋から聞こえた様な・・・」
エリシア「!!!?」

〇城の客室
エリシア「アリエイル!!」
エリシア「!?」
エリシア「貴様は!!」
仮面の男「ノックもせずに入室とはマナーが成ってないな、エリシア・バベル」
エリシア「アリィ!!!!」
エリシア「貴様ぁ、アリィをどうするつもりだ!」
仮面の男「騎士団長殿には関係無い・・・」
仮面の男「さらばだ」
エリシア「窓から!?」
エリシア「くっ!」
エリシア「逃がすかぁ!」

〇城壁
「待てぇ!アリィを返せぇ!」
仮面の男「しつこいな・・・」
仮面の男「荷物があっては術で移動もできんし・・・致し方ないな・・・」
エリシア「・・・観念したか?さっさとアリィを離せ」
仮面の男「それはできんな」
仮面の男「アリエイル・バベルは俺達が貰い受ける」
エリシア「!?」
エリシア「もらい・・・うける・・・だとぉ・・・」
エリシア「貴様、まさか・・・」
仮面の男「フッ・・・」
エリシア「いくらアリィが可愛いからと言って、無理やりそんなことを・・・」
仮面の男「?」
エリシア(貰う!?何を?受けってドッチが!?)
エリシア(ドッチがドッチのナニを貰ってナニを受けるんだぁあああ!)
エリシア「絶対に許さん!!」
エリシア「アリィの貞操は私が守る!!」
仮面の男「・・・」
仮面の男「・・・何を言っているんだ?お前は・・・」
エリシア「・・・」
エリシア(違ったらしい)
エリシア「ええい!目的が何であれアリィは渡さん!その汚い手をさっさと離せ!」
仮面の男「それはできんな、アリエイル・バベルには我が国までお越しいただく」
エリシア「・・・どういうことだ?」
仮面の男「新たなる偶像とする為に」
エリシア「・・・?」
仮面の男「ここまで来てとぼけるなよ」
エリシア「何のことだ?」
仮面の男「「まもりがみ」なのだろう?」
仮面の男「このアリエイル・バベルが」
エリシア「・・・何を言っている」
仮面の男「ずいぶんと苦労した」
仮面の男「次代の「まもりがみ」が誕生していたことは把握していたが・・・」
仮面の男「歴史を見ても「まもりがみ」殆どの場合、教団で保護され祀り上げられる」
仮面の男「まさか、かつての英雄の子として育てられていたとは思いもよらなかった」
仮面の男「遠回りさせられたものだ・・・」
エリシア「まさか学校の件も、盗賊団の誘拐も初めからアリエイルを狙って・・・」
仮面の男「アレはただの人海戦術さ」
仮面の男「お前達が勝手にその網にかかってくれただけの話」
エリシア「人海戦術?」
仮面の男「「まもりがみ」のおおよその年齢は分かっていたからな」
仮面の男「それをターゲットに動いていただけさ」
仮面の男「無法者を王都へ招き入れたのも、遠回しに「まもりがみ」を探させるため」
仮面の男「この王都だけではない、それこそ世界中に網を張っていた」
仮面の男「そして、ようやく発見した」
エリシア「・・・」
仮面の男「核心を持ったのは、まさしく学校での件だがな」
仮面の男「国を護る要であるエリシア騎士団長様がわざわざ護衛につき」
仮面の男「俺を燻りだすために国宝まで持ち出し」
仮面の男「あまつさえ、それ以上に価値のある宝珠を身につけさせているのだ」
仮面の男「たかだか弟ごときを護るために」
エリシア「・・・たかだか?」
仮面の男「何かある・・・そう思ったよ・・・」
仮面の男「そして悟った、この国の国教を司る「守り神」を守護する為なのだと」
仮面の男「その為にエリシア・バベル、お前は「まもりがみ」を弟と偽って守護しているのだとな!」
エリシア「・・・」
仮面の男「な・・・」
エリシア「ごとき?偽り?」
仮面の男「ぐ!」
エリシア「アリエイル・バベルは、間違いなく私の愛する世界一大切な弟だ」
エリシア「例えどのような事実があろうとも・・・」
エリシア「それだけは絶対に変わりはしない!!」
仮面の男「・・・ただの棒きれでこの切れ味・・・何ともでたらめだな・・・」
エリシア「終わりだ!」
仮面の男「ぐ・・・流石に一筋縄ではいかぬか」
仮面の男「今夜は俺の負けだ・・・」
仮面の男「だがアリエイル・バベルはまだ幼い、コレからいかようにも変わる」
仮面の男「我が国の守護神「魔護神」となることも可能であろう」
仮面の男「楽しみにしているが良い、アリエイル・バベルは必ず我が国が頂く」
仮面の男「我が国の象徴「魔護神」となって貰う為にな!」
エリシア「・・・」
エリシア「アリィ・・・」

次のエピソード:エリシアの過去

コメント

  • アリィ君に関する衝撃の事実が発覚し、物語も加速度的に進みそうな空気が漂う中、

    ……エリシアさま、どんどんとアカン性癖を吐露されてww

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