編集者とカフェで(脚本)
〇レトロ喫茶
次の日──
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「き、緊張する・・・・・・」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「緑のノースリーブの服を着ているって 書いてあったな──」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「あそこに座ってる人かな」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)(綺麗な人!!)
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「こんにちは、初めまして。 藤坂です。 今日はお世話になります」
亜沙夏(あさか)「初めまして、藤坂さん。 どうぞお座りになって」
亜沙夏(あさか)「私が編集者の亜沙夏よ。 早速で悪いんだけど、 神隠しのある村をご存じかしら?」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「ネット上で話題になっている村ですよね。 隠村ではすでに5人の行方不明者を 出ているとか」
亜沙夏(あさか)「そう。 知っていて案件に応募してくれたのね。 よかったわ」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「神隠しに遭っている人もいますが 無事に帰ってきている人も いるんですよね」
亜沙夏(あさか)「何人か戻って来た証言は確かにあるわ。 けれど、何の証言も得られないの」
亜沙夏(あさか)「隠村から帰ってきた人は みんな口を揃えてこう言うの」
亜沙夏(あさか)「何もなかった」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「逆に怖いですね。 あれだけの人数がいなくなっていると いうのに、何もないなんて・・・」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「本当に突然人が いなくなったような気がします」
亜沙夏(あさか)「今からそんなに怖がっていたら 先が思いやられるわ」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「いえ、僕にまかせてください! 亜沙夏さんのためならば」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「どんなに恐ろしいところだって 取材します!」
亜沙夏(あさか)「あら、頼もしいわね。 では、本当に取材をお願いできるかしら」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「もちろんです!」
亜沙夏(あさか)「交渉成立ね」
亜沙夏(あさか)「じゃ、募集要項に書いていたように 先にお金を渡すわ」
亜沙夏(あさか)「残りの金額は、取材後に振り込むから」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「本当ですか!」
亜沙夏(あさか)「もちろん。 無事に私と取材を終えて レポートを書いてくれたらきっちり払うわ」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「ええ!!」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「2人きりで取材を!!」
亜沙夏(あさか)「何を考えているのかわからないけれど あたなが思っているほど 楽しいもじゃないわ」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「1人より2人のほうが 楽しいに決まってますよ」
亜沙夏(あさか)「神隠しに遭ったとしても?」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「確かに、神隠しに遭わないとは 限りませんね。 5人も神隠しに遭ってるくらいですから」
亜沙夏(あさか)「そう、そこは保証できないの・・・」
亜沙夏(あさか)「隠村で何も掴めなくても 3日間は取材をしてもらうわ」
亜沙夏(あさか)「不安になったかしら? 今ならまだ引き返せるわ」
亜沙夏(あさか)「どうする? 10万追加報酬してもいいけれど」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「絶対受けます!!」
亜沙夏(あさか)「あはは── 藤坂君は現金ね」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「そうですかね。 勇気があると言ってくださいよ」
亜沙夏(あさか)「嫌いじゃないわ」
亜沙夏(あさか)「それじゃ、3日後に隠村での 取材をするから駅で待ち合わせね」
藤坂 萩(ふじさか しゅう)「では、楽しみにしてます」
こうして、俺は神隠しのある村
隠村へ取材に行くこととなった──
生還した人間が口々に「何もない」って。
逆に怖い?いやいや、シンプルに罠だって!
もちろんここで彼を帰宅させるわけないのですが。ストーリーが短いことでゆっくり恐怖の階段を下っている気分になります。
当座のお金と美人からの依頼、こりゃ藤坂さんも乗り気になりますねww しかも亜沙夏も一緒となるとww
……かなりの確率で大変な目に遭うのでしょうけど