エピソード43(脚本)
〇貴族の部屋
「ラルドゥス」
「おい、ラルドゥス!」
執事ラルドゥス「はい、ヤマト様」
ヤマト「まだ「姫」は目覚めないのか?」
執事ラルドゥス「すみません、 ワタクシは何も出来ないのです」
執事ラルドゥス「【大魔道士】様のお力がないと・・・」
ヤマト「またそれかよ! みんなして! 大魔道士様、大魔道士様ってよ!」
フミト「おいヤマト、そう焦るな。 姫が手元にいるだけでも いいじゃないか!」
ヤマト「だけどさ。 俺らのフィアンセが 目覚めないとあっては 誰が大マッチョ国を継ぐのか・・・」
フミト「マッチョ国の元となった ハレの国とアメの国は」
フミト「それぞれの王女達のお陰で 虹の国として 一つになったんだ」
ヤマト「それくらい習ったさ」
ヤマト「王女達は虹の国の跡継ぎの為に 赤と緑のドラゴンに頼んで 世継ぎを授けてもらったんだろう?」
フミト「ふたつの龍の卵を授かったんだよ」
ヤマト「皇子と皇女、 双子のハーフドラゴン」
フミト「分かれていた国は一つになって マッチョ国として 繁栄したじゃないか」
ヤマト「だから! 俺はそれが嫌なんだよ!」
ヤマト「マッチョが大きな顔を しているのがさ!」
ヤマト「俺たちは元々 国の魔道士の血筋だろう?」
フミト「あぁ、今でもそうだろう?」
ヤマト「このままマッチョに牛耳られてて 兄貴は納得するのかよ!」
ヤマト「皇子は不在にしているそうじゃないか。 いま皇女が目覚めて皇位につけば 王にもなれる、」
ヤマト「皇女が選んだ方が 次の国王だからな!」
執事ラルドゥス「・・・」
ヤマト「俺は、俺たちの国を取り戻すんだ」
フミト「おい!」
バタン!
フミト「やれやれ。 困ったもんだ」
フミト「ラルドゥスは 俺たちが王になる方が良いと思う?」
執事ラルドゥス「ワタクシには わかりかねます・・・」
〇睡蓮の花園
コイコちゃん「えいっ」
ポ ポ ポ ポ ポチャン
陰陽師ユズル「石切りあそびですか。 お上手ですね」
コイコちゃん「ねぇユズルさん、 おとぎ話って信じます?」
陰陽師ユズル「突然なんですか? 僕は信じますけどね」
陰陽師ユズル「僕の陰陽師の力も 人によっては ファンタジーだろうし」
陰陽師ユズル「コイコちゃんも 鯉の妖精じゃないですか」
コイコちゃん「えっ! 恋の妖精だなんて ヤダー!恥ずかしい!」
陰陽師ユズル「その恋じゃないのですが・・・ まぁいいか・・・」
ザッパーン
サメ女「ハロー!元気!?コイちゃん!? また遊びに来ちゃった!」
サメ女「あら!誰!イケメン! コイコちゃん隅に置けなーい!」
コイコちゃん「サメコちゃん 恥ずかしいよ!」
陰陽師ユズル「コチラどなたです?」
コイコちゃん「お友達のサメコちゃん! サメの妖精さん! 時々、海から遊びに来るの!」
サメ女「よろしくー!?」
サメ女「ねぇねぇ、 この間のお話の続き聞かせてよ!」
陰陽師ユズル「この間の話?」
コイコちゃん「うん、この湖ができた頃の話。 ハレとアメの国があって 喧嘩してたけど」
コイコちゃん「二人の王女が仲良くなって ひとつになったお話」
コイコちゃん「その後ね・・・ 二人は女の子同士だから お世継ぎが生まれないの・・・」
コイコちゃん「だって国を継ぐ人がいないと困るでしょ? それもまた争いになってしまうし」
コイコちゃん「そのお世継ぎの問題で 山に住むドラゴンに相談したら 二匹の龍が【卵】を授けてくれたの」
陰陽師ユズル「龍が?」
そう、龍の卵
コイコちゃん「赤と緑の龍が授ける魔法の卵。 異種族間でも、多性別でも 縁が結ばれるの」
サメ女「へー! 龍のこどもなの?」
コイコちゃん「龍の不思議なチカラで 二人の愛を卵に閉じ込めたの。 だからそれは、二人の愛の結晶」
コイコちゃん「でも卵はドラゴンのものだから 種別としてはハーフドラゴンになるの。 ハーフドラゴンの王子と王女が 生まれたわ」
コイコちゃん「でも二人は ヒトの愛から生まれたので 人の形をしているの」
コイコちゃん「私と同じようにね・・・ ワタシは鯉とヒトのハーフだから 足だけ魚なんだけどね」
サメ女「あら! でもワタシは 元はニンゲンだったらしいよ!? なぜサメになれたのかしら?」
陰陽師ユズル「不思議ですね。 なにか強力な力があったのかも しれませんね」
コイコちゃん「コイコもね、ユズルさんと 龍の卵を授けてもらいにいくの・・・」
陰陽師ユズル「な、なにを言うんですか!」
サメ女「わぁー!やったあー! おめでとう!㊗!」
サメ女「どんな子どもが生まれるのかな! 楽しみ!」
〇源泉
目覚めし蒼き龍よ・・・
グルルルルル
誰だ
我を呼び覚ますものは!
〇奇妙な屋台
龍は赤と緑、そして蒼の龍
3つが重なり合って
光の龍になるのです。
店主「へー」
謎占い師さん「へー じゃないですよ店主・・・」
店主「なあに?」
謎占い師さん「戻ってきたからいいものの・・・」
店主「そうなのよね〜 コチラに戻ってくるのに 集めたパワーを全部使い果たしたから また1から集めなきゃ!」
謎占い師さん「まったく・・・」
謎マッチョさん「店主お帰りなさい!」
謎マッチョさん「これ商店街のみんなからです。 子どもたちからも!」
店主「そんなに気を使わなくていいのに〜 悪いわね〜」
店主「みんなに お返ししなくちゃねぇ」
店主「えいっ」
謎占い師さん「また変なものを・・・」
店主「お返ししておいて〜」
謎マッチョさん「ラジャ」
謎占い師さん「やれやれ。 魔王に囚われた時には どうしようかと 思ったものですが」
店主「あぁ、あれね〜」
〇牢獄
秘宝と交換で、姫を返すって
魔王が言うものだから
店主「魔王城まで、ついて行ったら 魔法のきかない部屋に 閉じ込められちゃって〜」
謎占い師さん「姫は何処にいたのです?」
店主「姫は既にいなかったわ。 移送されていたのね」
店主「仕方無いから 魔法を使わずに細工で 牢を開けたの」
謎マッチョさん「器用ですね」
店主「まあね〜 マッチョさんなら 檻を壊すんじゃない?」
謎マッチョさん「そうかもしれませんね」
店主「とにかく、力を吸い取る エナジードレインエリアだったので 眠くて眠くて」
店主「仕方無いからが 隠し持ってたコレで・・・」
エナジードリンク〜
謎占い師さん「なんで持ってるんですか」
店主「体力は一時回復するけど 魔力は回復しないの〜」
〇奇妙な屋台
店主「しかも後で疲れるのよね。 でも寝たらいけないと思って とりあえずエリアから脱出して」
店主「回復エリアで みんなのパワーが来たのよ! おかげで帰ってこれたわ〜 本当にありがとう〜」
謎マッチョさん「よかったです!」
店主「それにしても、魔王を倒しても エナジードレインの魔法が 消えないのだから」
店主「敵対する他の魔道士たちが 悪い魔法をかけてるかもしれないのね」
店主「姫はガードの魔法がかかってるから 他から手出しはできないと思うけど 早くパワーを送ってあげないとね」
〇貴族の部屋
ヤマト「彼女と子どもさえできれば 国は俺のだ」
ヤマト「寝ている隙に 姫を俺のものに・・・」
バチバチッ
ヤマト「うわっいてぇ」
いけませんよ
ヤマト「兄貴・・・」
フミト「だから、いったでしょう? 手出ししてはいけないって」
ヤマト「ちっ」
フミト「龍の一族は守られているのですよ。 だから魔法の使えないエリアを みんなで作ったのに」
ヤマト「なんとかする方法は ないのかよ」
フミト「彼女だけは魔法の封印も きかなかったのですよ。 魔力はもう無いはずなんですけどね」
フミト「自然にパワーが回復するのを 待つしかないでしょうね」
ヤマト「しょうがないな 結局は皇子が鍵を握っているのか」
ヤマト「前の偽皇子と違って アイツしぶといしな・・・」
〇溶岩池のある洞窟
赤リトルドラゴン「じゃあ、僕 卵を届けてくるね!」
赤ドラゴン「あぁ気をつけていくんだぞ」
赤リトルドラゴン「ようし!」
〇睡蓮の花園
陰陽師リュウジ「フフッ ユズルさんも 隅に置けませんねぇ」
陰陽師ユズル「・・・」
陰陽師リュウジ「いいんですよ。 我ら陰陽師五行衆に 跡継ぎができるわけですから」
陰陽師ユズル「まだ力を持って生まれるかは わからないけど・・・ 大事に育てたい」
陰陽師マモル「よい心がけです。 我々で守っていきましょう」
陰陽師ユズル「ありがとうございます」
陰陽師リュウジ「さ、お茶にしましょうか」
〇木の上
赤リトルドラゴン「はぁ、はぁ、はぁ、 重い・・・」
赤リトルドラゴン「運ぶってのは 大変だなぁ・・・」
赤リトルドラゴン「あっ」
ツルッ
赤リトルドラゴン「しまった!」
卵「ビシッ」
卵「ビシビシッッ」
赤リトルドラゴン「うわ〜! どうしよう〜!?」
卵「ビシビシビシ〜」
〇睡蓮の花園
コイコちゃん「・・・」
陰陽師ユズル「どうした?」
コイコちゃん「こないの」
陰陽師ユズル「こない?」
コイコちゃん「卵がこないの」
コイコちゃん「きょう届くはずなの」
陰陽師ユズル「きっと忙しくて 遅れているんじゃないのか? 天気も悪かったし」
陰陽師ユズル「焦らないで待とう、 僕たちの子どもじゃないか?」
陰陽師ユズル「幸せは遅れてやってくるって 言うだろう?」
コイコちゃん「うん」
陰陽師ユズル「さ、コイコもお茶しよう」
〇木の上
赤ちゃん「ぶー」
赤リトルドラゴン「わー生まれちゃった どうしよう〜」
赤リトルドラゴン「い、いないいない ばあ〜」
赤ちゃん「アヒャヒャヒャ!」
赤リトルドラゴン「わ、笑った!」
赤リトルドラゴン「って、はぁ〜」
赤リトルドラゴン「どうしようっても 運ぶしか無いよなぁ・・・」
赤リトルドラゴン「困ったなぁ はじめに見たものを 親だと思うんだろ?」
赤ちゃん「ばぶー!」
赤リトルドラゴン「俺が親になっちまうじゃんか・・・」
赤ちゃん「アヒャヒャヒャ!」
〇奇妙な屋台
謎占い師さん「店主!あれ見てくださいよ!」
店主「あら!」
赤リトルドラゴン「うんしょ!うんしょ! ひー」
赤ちゃん「アヒャヒャヒャ!」
謎占い師さん「あれは 赤ドラゴンの遣いですよね!? コウノトリのように運んでくるという・・・」
謎占い師さん「リトルドラゴンが卵じゃなくて 赤ちゃんを運んでますよ!」
店主「しょうがないわねぇ」
店主「えいっ」
赤リトルドラゴン「わー飛ばされるー」
赤ちゃん「アーヒャヒャヒャ!」
〇睡蓮の花園
ヒュー
コイコちゃん「えっ」
赤ちゃん「ヒヤッ」
赤ちゃん「フェッ エエエエエエーン!」
コイコちゃん「あらあら泣かないでー」
陰陽師ユズル「赤ちゃんが降ってきた・・・」
コイコちゃん「ほらほら、よしよし」
陰陽師ユズル「ど、どうしよう・・・」
コイコちゃん「もう〜しょうがないわねぇ!」
コイコちゃん「ね〜んね〜んよ〜う」
赤ちゃん「アヒャヒャ・・・ スヤァ」
コイコちゃん「ねぇ〜」
陰陽師ユズル「すごいな・・・」
コイコちゃん「ほらユズルさんも抱っこして!」
陰陽師ユズル「こ、怖い・・・ でもかわいい・・・」
〇木の上
赤リトルドラゴン「あーアッブナイところだった・・・ 帰るか・・・」
赤リトルドラゴン「じゃあなボウヤ」
〇奇妙な屋台
店主「そう、赤ちゃんが生まれたの〜」
陰陽師リュウジ「そうなんですよ。 ユズルさんとても喜んでまして」
陰陽師リュウジ「コチラが龍の玉だそうで 店主に渡してほしいと頼まれまして」
陰陽師リュウジ「では、また来ますね」
店主「良かったわね〜 またいらしてね〜」
店主(早く助けてあげたい・・・ ワタシの妹・・・)
店主「サテ店じまいしなきゃ」
卵のイラスト使用ありがとうございます!
ストーリー、王道ファンタジーといった濃厚さで楽しませていただきました!
今後、生まれた子がどうなるかとっても気になります!
これからもがんばってください。応援しています。
おお、赤ちゃんが!? 結果的に、コウノトリでもなくドラゴンでもなく店主さんが運んだ新たなる命!ステキですね~
そして、店主さんの本音も垣間見える展開、やはり新鮮ですねー
ヤマトの「マッチョが大きな顔をしているのが嫌」というセリフに笑ってしまいました。スレンダーなイケメン兄弟とマッチョは理屈抜きで相容れないものがあるのかも。サメコちゃんはやっぱりサメ肌なんだろうか。