三井奈々の学園生活

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奈々の登校(脚本)

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〇広い和室
  これは戦後、日本で財閥が解体されなかった世界
  日本は高度経済成長、バブル、失われた30年・・・と史実日本とほぼ同じ道を辿り、財閥はホールディングス化する所も出てきた。
  そんな日本の中で、2020年代になっても財閥としての結束を重視する財閥があった。
  三井財閥、日本にあまたある財閥で最も昔から変わらない財閥である。
  そんな三井の1人娘である三井奈々は高校1年生として今日、入学式に出席する。
三井奈々「おはよう一乃♪」
小石川一乃「おはよう、奈々ちゃん」
  奈々は朝起きるとすぐに広間にやってくる。
  小石川一乃は奈々の専属メイドとして仕える高校1年生だが、奈々とは敬語も要らない親密な関係となっている。
  この子も三井銀行頭取の1人娘でれっきとしたお嬢様だ。
小石川一乃「それじゃあ着替えましょうか」
三井奈々「うん」
  奈々も一乃もそれぞれ自分で着替え始めた。
小石川一乃「奈々ちゃん!それはダメよ!」
三井奈々「あっ・・・・・・今日から学校だものね、香水はダメか〜今日は珍しくペンハリガンの気分だったのに」
小石川一乃「またお高い香水を買ったのね」
小石川一乃「奈々ちゃんはファッションにはとんと無頓着の癖にモデルガンと香水だけは見境なく買い漁るんだから」
  一乃は奈々に抱きついて匂いを嗅ぐ。
小石川一乃「奈々ちゃんは奈々ちゃん本来の香りが1番いいわ」
三井奈々「ちょっと!そんなことしてないで食堂にいこう?」
「今日はパンかな♪ご飯かな♪」

〇城の会議室
  奈々と一乃はルンルン気分で食堂へ向かうと、そこには青筋を立てた料理長が居た
料理長「おはようございます、ねぼすけ共、料理は3時間前に出来上がって食卓に並び冷えきっております」
料理長「再加熱はしませんので固まってしまった脂までしっかりお召し上がりください」
  食卓の上にはいつもより少し品数が多く豪華な料理が並んでいた
(料理長ガチおこじゃん・・・・・・ これもしかして高校入学祝いの特別料理? やらかしちゃったなぁ)
「ごめんなさい! しっかりいただきます!」
  冷えきった料理を1口食べると奈々と一乃の顔は笑顔になった
三井奈々「冷えててもちゃんと美味しいのね」
小石川一乃「料理長、もしかして冷めること前提で料理作ってます?」
料理長「黙れバカ舌ども」
(本心なのに〜)
  実際は2人の言うとおり
  冷めても美味しく食べられるものを中心に献立を考えていた料理長だった
  しかし3時間も遅刻しておきながら
  優雅に朝食をとるお嬢様方に本気でイラついている料理長はそれを認めたくなかった
料理長「で、優雅に朝食をとるバカ共は入学式にでるのは諦めたんだな」
料理長「時計見ろよ」
「行ってきます!」
料理長「小学校入学の時もあんな感じだったな・・・・・・」
料理長「にしても・・・・・・ 遅れると分かっても全ての料理を食べるまで出発しない食い意地はいい所のお嬢様としてはどうなんだろうな」
  机の上に並んでいた料理は、デザートのメロンのタルトまで全部綺麗に奈々たちの胃袋に収まっていた。

〇風流な庭園
三井奈々「一乃〜なんで起こしてくれなかったの?」
小石川一乃「私も奈々ちゃんの3分前に起きたばっかりだったし〜」
  裏庭をくぐり抜け、木でできた柵を押し開ける。するとそこは私立桜蒼学園高等部の敷地内だ
  三井本家ともなると送り迎えのリムジンすらいらない、学校の方が近くにたってしまうのだった。

〇学園内のベンチ
  私立桜蒼学園は三井100%の出資で作られた学校法人で幼小中高一貫の教育を受けられる
  ここに通う生徒は三井財閥系企業のエリートの子供ばかり、という訳ではなく地元の頭のいい学校として多くの子供が通ってくる
  偏差値も65と高いがエリート校と呼ぶには微妙で、東大に毎年1~2人進学するくらいである
  奈々も一乃もお茶の水女子大学附属高等学校の滑り止めとしてここを受験し、結果としてこの高校に通っている
三井奈々「私もリムジンに乗って『ご機嫌麗しゅう皆様』とかやってみたかったわ」
小石川一乃「奈々・・・・・・リムジンも専属運転手もいるんだからやってみればいいじゃない」
三井奈々「嫌よ! 『通学30秒の隣の家の子がリムジン登校してきてる』って話題になるわ」
三井奈々「ひとりでやるのはただの金持ちアピじゃない!一乃も一緒にやるならやろうかしら」
  もちろん一乃もリムジンも専属運転手もいる
小石川一乃「そんなことするわけないでしょ バカみたい」
三井奈々「酷い!?」
  そんな話をしているうちに学校の昇降口についた

〇学校の昇降口
  そんな会話をしながら校舎に入るとそこには先生が待機していた。先生は奈々を見かけると優しく語りかける
広芝早苗「朝起きれないほどお子ちゃまな奈々ちゃんは高等部に相応しくないですよ、初等部からやり直したらいかがですか?」
三井奈々「うわっ、おはようございます広芝先生・・・・・・」
小石川一乃「おはようございます、広芝先生、今日も麗しゅうございます」
  待機していた先生は中等部のときの2人の担任だった広芝早苗先生だった
  広芝先生は今日2人が遅刻して入学式をすっぽかすのは予想通りだった
  万が一遅れてでも参加出来そうなら案内してあげようと朝から下駄箱前に待機していた
広芝早苗「もうお昼ご飯の時間なんですけどね? ブランチでも召し上がってらっしゃいましたか」
  広芝先生が歩き出すと一乃はすぐ後をついて行く。奈々は言い訳を考えるのに夢中で靴を履き替えて無かったためとり残された
三井奈々「え? あっ、待って〜」
広芝早苗「高校生になっても遅刻癖が治りませんか」
小石川一乃「もうこれは私たちの個性ということで・・・・・・」
広芝早苗「反省室行きですね」
  一乃は姿勢を正して頭を下げた。
  許される訳がなかった
  次に続く

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