ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.2 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #2(脚本)

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〇近未来の廊下
  銃を構えた3人の警備員に向かって、僕はファイティングポーズをとった。
ナイトウォッチ「さて、イッツ・ショータイム! ってね」
根須戸智是「弾道予測、表示するね」
  ちーちゃんの指が、空中に浮かんだ無数のウィンドゥを操作した。
  直後、警備員たちの3つの銃口から3本の赤いラインが僕に向かって伸びる。
  AR端末が表示した、弾道予測線だ。
警備員「Freez! ウゴクナ!」
ナイトウォッチ「OK!」
  僕は一気に距離を詰める。
  警備員たちが一斉に発砲する。
  けど、弾道は予測済み。当たらない。
ナイトウォッチ「はっずれ~~!」
  警備員たちの真ん中に飛びこむ。
  これなら、うかつに銃を使えない。
警備員「F***!!」
ナイトウォッチ「下品な言葉! ご両親にかわって教育的指導!」
  僕の拳が警備員の顔面を強打する。
警備員「Aug!? uu・・・」
  昏倒する警備員。
ナイトウォッチ「グッナイ・ボーイ!」
根須戸智是「しゅーちゃん、うしろ!」
  僕の後ろで、残った2人の警備員が銃を構えていた。
ナイトウォッチ「うわ、そっくり。三つ子かな? キャラカブってるって、言われない?」
警備員「F*** you!!」
ナイトウォッチ「ごめん。僕ノンケ!」
  とっさの回し蹴りで、警備員たちの銃を弾き飛ばす。
警備員「S***!」
  即座に、格闘の構えをとる警備員たち。
ナイトウォッチ「オーマイガ! よく訓練されてる!」
ナイトウォッチ「ちーちゃん、スタン!」
根須戸智是「OK! スタン、いけるよ!」
  僕の拳にバチバチと青白い電光が閃く。
  僕はそのまま、警備員たちにパンチを繰り出した。
  拳から、激しい電撃がほとばしる!
警備員「Aiieeee!!」
  電気ショックで一発KO!
根須戸智是「さすが! でも急いで!」
ナイトウォッチ「えーーっ。 ちょっとくらい休ませてくれても・・・!?」
  そのとき、遠くから10名を超える警備員が走ってくるのが見えた。
ナイトウォッチ「うひゃあっ! やばい」
  僕は一目散に逃げだした。

〇殺人現場
ナイトウォッチ「はー。危なかったぁ」
根須戸智是「大丈夫。逃げ切れた」
根須戸智是「にしても、しゅーちゃん、最近ちょっとたるんでない?」
ナイトウォッチ「う・・・そ、それはちーちゃんが、いっつも楽勝って言うから!」
根須戸智是「ははーん。全部私のせいだって? 直前にぼけ~~っと、日記書いてた人が?」
ナイトウォッチ「それは・・・その。あの──」
  きゃあ~~っ!
ナイトウォッチ「・・・か弱い女性の悲鳴!」
根須戸智是「・・・今夜は引きあげない? 嫌な予感がする」
ナイトウォッチ「僕にヒーローやれって言ったの、君だぜ? いいから」
根須戸智是「・・・はいはい。りょーかい」

〇屋上の隅
  雑居ビルの屋上。
  そこでは女性がチンピラに絡まれていた。
チンピラ「もう逃げられねぇぜ。へへへ。 観念するんだな」
  チンピラの肩を僕の手がトントンと叩く。
チンピラ「・・・ん? なんだ」
ナイトウォッチ「こんばんわ! 通りすがりのヒーローです」
ナイトウォッチ「デートのお邪魔かな? ラストに眺めのいい場所は、定番だよね」
チンピラ「ンだ! てめぇは!」
ナイトウォッチ「だから、ヒーロー」
女性「ひぃい! あんた。な、なにっ!?」
ナイトウォッチ「うわっ。傷つく」
根須戸智是「気を抜かない!」
ナイトウォッチ「わかってるってば!」
チンピラ「黙れ! この野郎!」
  チンピラが殴りかかってくる。
  けど、そんなのに当たる僕じゃない。
ナイトウォッチ「あっぶな!」
ナイトウォッチ「ねぇ、話し合いで解決しない? 今日はハードでさ」
チンピラ「うるせぇ、ぶっとばしてやる!」
ナイトウォッチ「あーもう!」
  僕の拳が、チンピラのアゴにクリーンヒット。
チンピラ「ふぐ!? ううう・・・」
  チンピラは意識を刈り取られ、昏倒する。
ナイトウォッチ「だから話し合おうって」
  ちーちゃんがウィンドウを操作する。
  すると、チンピラがつけているサングラス型のAR端末が淡く光った。
根須戸智是「端末をハッキング。 バイタルは・・・OK。ちゃんと気絶してる」
ナイトウォッチ「お姉さん。もう安心です」
ナイトウォッチ「この正義のヒーロー、ナイトウォッチが──」
女性「きゃあっ! 近寄らないで!!」
ナイトウォッチ「なぜ・・・」
根須戸智是「目の前でチンピラと不審者のケンカが始まったら、私だって怖いわよ」
ナイトウォッチ「マジか」
根須戸智是「マジで。・・・あ。ちょっと待って」
  ちーちゃんの操作するウィンドウが赤く光り、警告音を発した。
根須戸智是「このチンピラ! "ここで人を襲う"ように、ゼニスに雇われてる!」
ナイトウォッチ「は? え? それって?」
根須戸智是「イッツ・ア・トラップ! って奴!」
  そのとき物陰から、白い装甲服の兵士たちがぞろぞろと現れた。
  その胸には「ZENITH」のマーク。
ナイトウォッチ「ゼニスの私兵!」
根須戸智是「あいつら、電子機器の電源切ってる!」
根須戸智是「気づけなかった! 逃走経路を、今・・・」
  ゼニス兵たちは間髪入れず、銃を乱射した。
  無数の銃弾が、僕の身体に着弾する。
ナイトウォッチ「ぎゃうっ!?」
  激しい衝撃と激痛!
  僕はよろけ、錆びた手すりに激突した。
  手すりはその衝撃で、ぽっきり折れる。
  支えを失った僕の身体は、そのままバランスを崩して──
根須戸智是「!?」
  ──屋上から真っ逆さまに、落下した。
ナイトウォッチ「うわぁああ~~っ!?」
根須戸智是「しゅーちゃん!!」
  真下には、暗い路地裏と固いコンクリート。
  ・・・まず、助からない。

ナイトウォッチ「やあみんな。仮面のヒーローは好きかい? ついでに、大ピンチのヒーローも」
ナイトウォッチ「・・・ならよかった」
久常紫雲「これは僕、久常紫雲(くじょうしうん)が扮するヒーロー、ナイトウォッチの物語」
久常紫雲「でもまずは、彼女のこと。 ちーちゃんこと、根須戸智是(ねすとちぜ)」
久常紫雲「8年前の彼女との出逢いと別れ」
久常紫雲「そして1週間前の再会から、すべては始まったんだ」

次のエピソード:Ep.3 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #3

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