弟愛(ぶらこん)な騎士団長殿

セーイチ

エリシアの授業(脚本)

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〇貴族の部屋
アリエイル「潜入調査・・・ですか?」
エリシア「ああ、王勅命のな」
エリシア「王都内の主要施設に、我が騎士団から数名の調査員を送り込む」
アリエイル「それで、お姉様が国立学校に」
エリシア「うむ、私は一応教員免許を持っているのでな」
エリシア「それに生徒達と一番年齢が近いし、何かとやりやすいだろう」
エリシア(まぁアリィの傍に居たいからというのもなくはないけど・・・)
エリシア(いや、別にラッキーとは思ってないよ?)
エリシア(いくら弟愛に溢れた私でも公私混同はしないから)
エリシア「・・・」
エリシア(本当だよ?)
アリエイル「しかし、何ゆえメイド姿なのですか?」
エリシア「「王家に仕える現役メイド」の設定だからな」

〇養護施設の庭
ガロ「貴族の跡取りに物事を教えるには良い設定なんじゃないっすか?」

〇貴族の部屋
エリシア「・・・と、ガロに言われた」
エリシア「ニヤケ面だったのが少々気に食わんが、まぁ一理なくもない」
アリエイル「ガロさんが・・・」
エリシア「どうかしたのか?」
アリエイル「・・・お姉様」
アリエイル「とっても可愛らしいです」
エリシア「ぐぅふぉう!」
エリシア(そ、それはコッチの・・・コッチのセリフなんだぁあああ!)
アリエイル「それでは僕もお手伝いします!お姉様のお役に立ちたいです!」
エリシア(あぁ、アリィ・・・なんて姉想いで優しい子・・・しかし)
エリシア「気持ちは嬉しいが、アリエイルは普通に過ごしてくれれば良い」
エリシア「これはあくまで我々の仕事」
エリシア「それに・・・もし本命が居た場合、調査バレの危険性を極力排除したい」
アリエイル「そう、ですね・・・出過ぎた事を言いました・・・」
エリシア「うっ!?」
エリシア(ああああ!アリィが落ち込んでしまったー!私のバカバカバカ!)
エリシア「い、いや、アリエイルには普通の生徒として過ごし、感じたことを教えて欲しいのだ」
エリシア「私は教師として潜入するが、生徒目線ではまた違った物が見えるやもしれんからな」
エリシア「その日、学校であった事を私に教えて欲しい」
アリエイル「・・・」
エリシア「どうした?」
アリエイル「それでは、お仕事が終わった後で毎日お姉様とお話できるのですね」
エリシア「そういう事になるな」
アリエイル「嬉しいです、お姉様はお忙しいのであまりお話とかできないと思っていたので・・・」
エリシア「ごふっ!」

〇ハート
エリシア(うぅう・・・何と健気な・・・あぁあああアリィ~~可愛すぎるぅうう!)
エリシア(い、いかん・・・この狭い空間ではアリィの可愛さから逃れる術がない!)
エリシア(このままでは私の理性を守る防波堤がもたない!決壊する!)
エリシア(まだ外には部下や衛兵がウロウロしているというのにぃ~)

〇貴族の部屋
エリシア「は、初登校は明日だったな、今日は早めに準備をしておきなさい」
アリエイル「はい、それでは失礼します」
エリシア「あ、アリエイル」
アリエイル「はい」
エリシア「言わずもがなだが、此度の件は・・・」
アリエイル「はい、学校では僕とお姉様「2人だけの秘密」ですね」
エリシア「うごぅ!」
アリエイル「失礼します」
エリシア「うぅぅおおおお・・・」
エリシア「もう・・・無理・・・」

〇ファンタジーの教室
エリシア「以上で授業を終わります、各自復習をしておいて下さい」
男子生徒A「エリィ先生、今日の授業で分からない所があるのですが?」
男子生徒B「ぼ、ぼくも!」
エリシア「はい、どの部分でしょうか?」
エリシア(意外だな、貴族の学び舎など大半が遊び半分だと思っていたが)
エリシア(少なくとも私の授業では、多くの生徒が熱心に耳を傾けている)
エリシア(流石、王都国立学校といったところか)
エリシア(コレならアリィも実りある学習ができ・・・)
女子生徒A「ねぇねぇアリエイル君、今度一緒に遊びに行きましょうよ」
女子生徒B「あ~ずる~い、私が先に誘ってたのに~」
女子生徒B「商店街に美味しいデザートを出すレストランがあるの、今度ぜひ一緒に・・・」
アリエイル「え、えっと・・・」
エリシア(マセガキども~!私のアリィを誘惑するつもりかぁ~!)
エリシア(ゆ、ゆるせん!こうなったらヤツラだけ宿題を100倍にして事実上の軟禁状態にしてやるぅ!)
男子生徒A「あ、あの~エリィ先生?」
エリシア「え!?あ、ゴメンなさい、私は次の授業の準備をしなければならないの」
エリシア「また明日ね」
男子生徒A「は、はい!また明日!」
男子生徒B「お疲れさまでした!」
女子生徒A「あ~やだやだ・・・」
女子生徒A「男共ったら美人メイドに鼻の下伸ばしちゃって」
女子生徒B「普段は授業なんてまともに聞いてやしないのにねぇ」
アリエイル「あははは・・・」

〇華やかな裏庭
エリシア「ふぅ・・・本日も至って平和(アリィを誘惑するマセガキの毒牙以外は)だな」
エリシア「校長も理事長も厳しくはあるが立派な教育者、族共と通じている様子は無い」
エリシア「しかしなぜだろう、ここには何かある気がする」
エリシア「いや正確には何かが潜んでいる・・・そんな感じだ」
エリシア「団をいつまでも副長に任せっきりにする訳にいかんし」
エリシア「そろそろ結果を出さねばならんのだが・・・」
エリシア「ん?」
ガロ「お疲れ様です団長殿、メイド服お似合いですよ」
エリシア「何しに来た、貴様には財務省への潜入を任せていたはずだ」
ガロ「いや~上層部の調査をしてたら公金横領の証拠を見付けちゃいましてね」
ガロ「大半の役員が拘束されたんで、俺のやる事がなくなっちゃいました」
ガロ「逆に省内は大騒ぎになっちゃいましたけど」
エリシア「貴様らしい強引なサボり方だな」
ガロ「やだなぁ~効率が良いと言って下さいよ~」
ガロ「容疑者の大半が拘束された以上、この先は戦バカの俺より尋問の専門家に任せた方が確実でしょう?」
エリシア「・・・まぁ良い、それで容疑者らしき者は?」
ガロ「俺が調べた限り見当たらないっすね、ただ・・・」
エリシア「ただ?」
ガロ「何かスッキリしないんすよねぇ~」
ガロ「個々人は白だけど、組織全体で見ると部分的に濁ってるっていうか・・・」
エリシア「貴様もか・・・」
ガロ「って事は団長殿も?」
エリシア「あぁ、調べた限り教員も役員も白なんだが・・・」
ガロ「真っ白なキャンバスに毒虫一匹が蠢いている・・・って感じっすよね」
エリシア「表現はアレだが・・・まぁそのような感じだ」
ガロ「いかがします?あまり時間を掛けると副長殿が過労で倒れるかもですし」
エリシア「そうだな・・・」
エリシア「・・・ん~」
エリシア「・・・毒虫・・・か」
エリシア「ガロ、一つ用意して欲しい物が有るのだが・・・」
ガロ「了解っす、何を用意しましょう?」
エリシア「毒虫がいるなら、炙り出してやろうと思ってな・・・」
エリシア「城の宝物庫に、ある魔導具があったはずなのだ・・・」

〇ファンタジーの教室
ウェル「最近の皆さんはたるんでいます」
ウェル「皆さんはそれぞれの家を、名を継ぐ使命を持っているはずです」
ウェル「そして継ぐべき名に恥じない貴族となる為に、我が校へ入学してきたはずです」
ウェル「遊び相手が欲しいなら、今すぐ転校をお勧めします」
男子生徒B「何だか今日の先生怖いな・・・」
女子生徒B「なんだか最近の先生ずっと機嫌が悪かったよね・・・」
女子生徒B「ボソッと「仕事を邪魔されてる」とか言ってたけど・・・」
男子生徒B「なんだそりゃ?」
女子生徒B「知らないよ〜・・・」
ウェル「アリエイル君」
アリエイル「は、はい!」
ウェル「君は非常に真面目で優秀です、しかしどこか甘えがある」
ウェル「常に誰かに頼ろうとしている」
アリエイル「・・・」
ウェル「英雄ラン・バベルの後継ぎとして、それで良いのですか?」
アリエイル「・・・それは」
ウェル「そのペンダント」
アリエイル「え?」
ウェル「授業中、装飾品の着用は禁じているはずです」
ウェル「外しなさい、私が預かります」
アリエイル「で、ですが、コレはお姉様から頂いた大切な物で・・・」
ウェル「それこそが、他人に依存している証ではないのですか?」
アリエイル「で、ですが・・・」
ウェル「渡しなさい!」
アリエイル「あっ!」
ウェル「ん?」
ウェル「ぐぅあっ!」
アリエイル「せ、先生!」
男子生徒A「な、なんだコイツ!」
女子生徒A「せ、先生が変身した!?」
仮面の男「くっ・・・今のは・・・」
エリシア「キレイにかかってくれたな」
男子生徒A「エリィ先生!」
仮面の男「何をした・・・」
エリシア「何、毒虫を炙り出す為に殺虫剤をまいただけだ」
エリシア「貴様何者だ?先生に化けて何をしようとした?本物の先生はどこにいる?」
仮面の男「・・・」
仮面の男「・・・一つだけ答えてやる」
仮面の男「同じ顔が2人存在したままでは都合が悪かろう?」
エリシア「貴様・・・殺したのか・・・」
仮面の男「・・・ふ」
男子生徒B「に、逃げたっ!」
エリシア「皆はこの場を動かないで!」
アリエイル「おね・・・エリィ先生!」
エリシア「大丈夫、私に任せて」
アリエイル「・・・」

〇華やかな裏庭
仮面の男「・・・チッ」
エリシア「何だ、鬼ごっこは終わりか?」
仮面の男「自ら罠に飛び込むほど愚かではないのでな」
ガロ「ありゃりゃ、バレてたか」
エリシア「我が王都に忍び込んだ時点で愚かである事に変わりない」
エリシア「貴様は何者だ?この国に族を招き入れ何を企んでいる?」
ガロ「団長殿が優しくしている内に吐いた方が良いんじゃないかなぁ」
仮面の男「・・・別に」
仮面の男「・・・探し物をしているだけだ」
仮面の男「族はその保険といったところか」
ガロ「保険ねぇ・・・」
ガロ「っで、探し物ってのは何なんっすか?」
仮面の男「・・・光」
エリシア「光?」
仮面の男「俺が探しに来たのは世界の光さ」
仮面の男「今日のところは引き下がるが・・・」
仮面の男「楽しみにしているが良い、近いうちにお前達の光を闇に変えてやろう」
エリシア「何をっ!」
ガロ「逃がすか!」
エリシア「消えた!?」
ガロ「・・・団長殿」
エリシア「緊急配備だ、副長に連絡しヤツの捜索を開始しろ」
ガロ「了解っす」
エリシア「・・・光・・・か」
エリシア「・・・」
エリシア「まさか・・・な」

次のエピソード:エリシアと守り神

コメント

  • アリィくんの可愛らしさも回を増すごとに凶悪化してますねww
    敵の炙り出しと対峙という緊迫したストーリーとのギャップがとっても楽しいです!

  • 一筋縄ではいかない人物が登場しましたね
    現状どの程度の実力かは分かりませんが、アリエイルの可愛さにはきっと勝てませんね😂😂😂
    エリシアすぐに悶死しそうになってますから😍

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