悪魔さんと天使のゆる~異日常

ヨリミチ

エピソード10(脚本)

悪魔さんと天使のゆる~異日常

ヨリミチ

今すぐ読む

悪魔さんと天使のゆる~異日常
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇古いアパート
  このアパートもきっと今日で見納めになるだろう。
  部屋の扉を開けると──

〇古いアパートの一室
赤坂熊子(あかさかくまこ)「おかえりなさいアクマさん! 天井直しておきましたよ!」
悪魔さん「く、熊子・・・? あんたまだ居たんだ。 天井直してくれてありがとう」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「いえいえ、友達ですから!」
  部屋には天使ではなく熊子がいた。
  天使がいないのは当たり前だ。
  天使はもう天界に帰るのだから・・・
  私も力を取り戻した以上、地獄に帰る。
  でも、最後に一つだけやりたいことができた。だからこの部屋に戻ってきた
悪魔さん「ちょうどいいわ熊子。あんたも手伝って」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「何をですか?」
悪魔さん「美味しいケーキを作るわよ」

〇空
「できましたね~」
「出来た出来た。上出来よ!」
「ところで、そのケーキは」

〇空
  窓の外満月から降り注ぐ光が、一方向に傾きだした
  きっとアレが月のカーテンとやらだろう

〇古いアパートの一室
悪魔さん「熊子、あんたはもう帰っていいわ。手伝ってくれてありがとね。私はもう行くから」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「え? 行くってアクマさん?? そのケーキ地獄へのお土産じゃないんですか?」
  私は悪魔の翼をはためかせ、月の光が一方向に振り落ちる場所へと向かった

〇見晴らしのいい公園
エルエル「いや~、下界を堪能しましたねぇ! さ、月のカーテンも降りてきましたし。帰りましょうか大天使様!!」
天使さん「・・・・・・ええ」

〇見晴らしのいい公園
一般天使「見て! 本当に大天使様だわ!」
一般天使3「大天使様お久しぶりです!!」
一般天使2「大天使様がいない間天界は書類で溢れてしまいましたよ! さあ、帰りましょう!!」

〇見晴らしのいい公園
  月のカーテンを辿って現れた天使たちはワッと大天使を囲んだ
天使さん「皆さんご心配と面倒をお掛けしてしまいすみません・・・。それでは行きましょうか」
「待ちなさい!!」

〇見晴らしのいい公園
エルエル「お前は!?」

〇空
悪魔さん「悪いけど、そこの大天使様に用事があるの。いいかしら?」

〇見晴らしのいい公園
天使さん「あ、アクマさん・・・」
エルエル「今更何の用です! 大天使様の天界帰りの邪魔はさせませんよ! 行きなさい天使たち!! あの悪魔をわからせてやるのです!!」
「はーい!!」
「きゃあああ!?」

〇空
赤坂熊子(あかさかくまこ)「アクマさん!」
悪魔さん「熊子! 今のはあんたが?」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「はい! 追いかけてきたら、あの天使三人組がアクマさんに敵意を向けていたので!」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「あ、ご迷惑でしたか?」
悪魔さん「いや、助かったけど・・・」
  なんだか、敵意を向けただけで攻撃されたあの子達が可哀想だ
赤坂熊子(あかさかくまこ)「なら良かったです!」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「で、アクマさん? そのケーキはいつ食べるんですか?」
悪魔さん「いや、これは私達が食べるために作ったんじゃなくて──」
「きさまらああああああ!!」

〇空

〇空
赤坂熊子(あかさかくまこ)「アクマさん危ない!!」
悪魔さん「助かったわ熊子・・・」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「なんだかわかりませんが、ちょうどいいです。あの天使には借りがあります。アクマさんは自分の用を済ませてください」
悪魔さん「あいつ任せていいの熊子?」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「ええ、助け合っての友達・・・です」
悪魔さん「ありがとう熊子。 あんたやっぱり優秀な悪魔ね・・・」
エルエル「性懲りもなく、また私にぶちのめされに来たのですね?」
赤坂熊子(あかさかくまこ)「先ほどのようには行きませんよクソ天使」

〇見晴らしのいい公園
  激しい空の戦いを背に、私は公園に降りた
悪魔さん「・・・天使」
天使さん「・・・」
天使さん「一悪魔が大天使である私に何の用ですか? 私は悪魔と交わす言葉など持ち合わせていませんよ」
  その視線は敵を見るように冷たく、拒絶を孕む
  私は悪魔化を解いた
悪魔さん「これなら文句ないでしょ?」
天使さん「そ、それでもあなたは悪魔です。私は悪魔と口をきくのは・・・」
悪魔さん「あんた本当に目障りだったんだからね!! ワサビ入りケーキは効かないし、悪戯はことごとく邪魔するし!」
天使さん「・・・」
天使さん「そ、それを言うならアクマさんだって! すぐ落ち込むしその割に大雑把で態度が大きくて、結構変な人ですよ!!」
悪魔さん「はぁ!? 変な人?  どの口が言うのよ!!」
天使さん「この口ですよ~だ!」
  私達はしばらくにらみ合って、どちらからともなく吹き出した
「あははははは!」
悪魔さん「天使。確かに悪魔と天使は仲良くないわ。でも、私は悪魔でも、あんたの友達よ。天界に帰ってもそれを忘れないでほしい」
天使さん「アクマさん・・・」
悪魔さん「それから、はいこれ」
  私は箱に入ったケーキを手渡す
天使さん「これは・・・」
悪魔さん「あんたがプレゼントしてくれたレシピ本と、私のアレンジを効かせて作った特製ケーキよ」
悪魔さん「あんた仕事押し付けられて大変なんでしょ? 疲れた時には甘いモノ。レシピも入れてあるから暇があったら作ってみて」
天使さん「う・・・・・・うぅ・・・・・・」
悪魔さん「ちょ、泣かないでよ天使。私はあんたを見送りに来たんだから。悲しい顔されちゃ困るわ」
天使さん「だって、わたし、もっとアクマさんと一緒にいたかったから・・・」
悪魔さん「言ったでしょ? 私達は友達よ。悪魔とか天使とか関係ない。どんなに離れ離れになっても変わらない」
悪魔さん「それが友達ってものでしょ?」
天使さん「アグマさぁああああん!!」
  天使が私に抱き着いてきた
悪魔さん「まったく、あんた実は泣き虫だったのね」
天使さん「私も、アクマさんはずっと友達です! たとえもう二度と会えなくなっても! ずっと、ずっと!」
悪魔さん「・・・・・・えぇ?」
悪魔さん「て、天使? その姿は・・・」
天使さん「なんでしょうか?」
悪魔さん「なんか、悪魔みたいな姿になってるんだけど??」
天使さん「こ、これは!?」

次のエピソード:エピソード11(最終話)

成分キーワード

ページTOPへ