〇黒
　　あの人の事は
　　
　　好きでも何でもなかった
　　『遺産』と『コネ』目当ての結婚
　　それが
　　
　　私の選んだ『未来』

〇ホールの広場
　　だが
ゴート陸軍准将「⋯ヘレナ」
　　私は、今さら気づいたのだ

〇白
　　『幸せにしてやれなくてゴメンな』

〇貴族の部屋
　　『引き金』を引いて撃ち出された『弾』は
　　『なかったこと』には、出来ない事を

〇黒
　　大統領暗殺事件より
　　数日後───

〇空
　　『国葬』

〇結婚式場の前
　　”兄弟たちよ”
　　”我らが主、『X』の誇りにかけて断言する”

〇黒
　　”日常は『死』で溢れている、と”

〇教会の中
　　”『死者は帰らぬ』”
　　”故に、今ある食事を楽しむべきなのだ”
　　”皆、『明日も分からぬ命』なのだから”

〇ステンドグラス
　　”ただ１つ、『警告』しておくべき事は”

〇赤（ディープ）
　　”『朱に交われば赤くなる』という事”

〇おしゃれな廊下
　　”この世には”
　　”『神の知識』を悪用する者共がいる”

〇教会の控室
　　”『朱』に混じらぬよう”
　　”ゆめゆめ、『目』を閉じること勿れ”
　　コリント人への第１の手紙
　　15章,31-34より意訳
葬儀屋「失礼致します」
「旦那様の『密葬』の準備が整いました」
　　墓前まで、付き添いをお願い致します

〇教会
　　半年と、少し前

〇教会内
ゴート陸軍准将「⋯こんなところで、寝てるのか？」
　　⋯ずっと外が騒がしいから、寝不足なの
ゴート陸軍准将「⋯すまないな 早急に『馬』と『弾丸』が必要でね」
ゴート陸軍准将「すぐに出ていく予定だ」
　　『指揮官』が謝る必要ないですよ
　　私達を護ってくれてるんですから
ゴート陸軍准将「⋯優しいんだな」
ゴート陸軍准将「ありがとう」
　　⋯くれるんですか？
　　知り合いの『牧師』に沢山持ってきたのさ
　　『沢山使うかもしれない』からね
　　──ずいぶん『不謹慎な贈り物』ですね
　　⋯あっ

〇大樹の下
葬儀屋「ゴート准将様は 『指揮官』として優秀な御方でした」
葬儀屋「昔は『天涯孤独を貫く御方』 と噂されてましたが⋯」
　　貴女様のようなパートナーに見送られて、
　　『幸せな最期』を迎えられた事でしょう⋯

〇白
　　⋯『幸せな最期』、だって？

〇華やかな広場
葬儀屋「⋯さてと」
葬儀屋「貴女様にお渡しする物があります」
　　『遺族サロン』の招待状───
　　簡潔に申しますと
　　『ご自身を見つめ直す催し』の事です
葬儀屋「”Blackcoat（葬儀屋）”は 『遺された家族様』を大切に考えております」
葬儀屋「『今すぐ』とは言いませんので、 参加の検討をしていただければと⋯」
ヘレナ「必要ありません」
ヘレナ「『神の前で誓った身』ではありますが」
　　私はあの人の事なんて、
　　全く愛してませんから

〇黒
　　けど、
　　私は、腐っても
　　
　　『陸軍准将の妻』なんです

〇空
　　婚約してから、
　　『南北戦争』終戦までの半年間
　　あの人が出席する『戦死者達の葬儀』に
　　私は何回も同伴して来ました

〇教会の中
　　覚えたくもない『作法』に『マナー』
　　教えこまれましたよ、しつこいくらい

〇黒
　　その上で聞きますけど

〇華やかな広場
　　お前ェら、『葬儀屋』じゃねえだろ？

〇華やかな広場
葬儀屋「”あらあら”」
ヘレナ「『国葬』やってる裏側で！」
ヘレナ「『主犯』を弔うかよ、普通ッ！」
ヘレナ「大統領達も！『私の夫』も!!」
ヘレナ「ナメ過ぎなんだよ!! ”Blackcoat（似非聖職者）”が!!」

〇黒
　　『妻としての勘』でしかないが
　　あの人は
　　
　　戦争を終わらせた『英雄』なんだ
　　絶対、あんな事する人間じゃない
　　『何か』に巻き込まれていたとしか思えない

〇黒
ヘレナ「⋯ええ！ ただの『みっともない仇討ち』よ!!」
ヘレナ「⋯大統領夫妻も！あの人も！」
ヘレナ「⋯っ『立派な人間』だった!!」
ヘレナ「っ私なんかよりも！ずっとずっと!!」

〇白
　　”この『引き金』はッ！”
　　”『私の意思』で引くことを決めた──”

〇華やかな広場
　　『未来（ｹﾂｲ）』、そのものよッッ!!
「てめぇエエェェ〜ッ!!」
敵「『その方』を、よくもオオオ〜ッ!!」

〇赤（ダーク）
敵「?!」
　　アタシにも！
　　『引き金』を引く理由があるッ！
オルコット「准将から受けた 『護衛任務』はまだ続いている！」
オルコット「アタシ達は！ あの方達の『意志』を継いで、進むッ！」

〇華やかな広場
オルコット「アタシとの『個人的な契約』の方も！ 忘れるんじゃないわよッ？」
ヘレナ「分かってるって！」
「あぁ〜〜ッ!!」
？？？「『聖女』さまァ!?」
？？？「なんと、、 おいたわしい姿に⋯ｳ゛ｫｧｯ！（泣）」
（おいおいおいおい）

〇ホールの広場
　　『あの時』いた女優！

〇華やかな広場
？？？「『結社（ﾌﾗﾀﾆﾃｨ）』を敵に回すなんて！」
？？？「命がいくつあっても足りないんだからねッ!!」
　　”開幕（ouverture）”

〇ホールの広場

〇荒野の城壁
　　”革命歌（La Marseillaise）”
？？？「市民たちよ、武器を取れッ♪」
　　隊列を組み、進軍するのだッ♪
　　不純な血で、我らの畑の畝を満たそうッ♪
オルコット（『国葬』に参列してきた『一般市民』を）
ヘレナ「『全員操っている』っていうの!?」

〇白
　　み、みらいが、、

〇荒野の城壁
ヘレナ「分からないっ!?」
？？？「あら〜？♪ 『詰んだ未来』でも見えたのかしら？♪」
？？？「良〜い気味〜！オ〜ホホホっ！♪」
　　⋯クソっ！
　　何でこの２人『かからない』のよ！
　　『劇場の時』の大暴れといい⋯
　　
　　『到達者』特有の『耐性』？
　　それとも『条件』をすり抜けている？
オルコット（何も罪の無い人達をっ！ しかも圧倒的な物量でっ！）
ヘレナ（だめだっ！ 切り抜けられないっ！）
　　いくら『未来』を振り直せても⋯

〇荒野の城壁
　　『起こり得る可能性が無い未来』は
　　引っ張って、来れないって事!?
ヘレナ（もっと、もっと『深く』!! 深く深く、奥まで!!）
ヘレナ（『突破口』を！ 何でもいいから！見つけないとッ！）

〇黒
　　あああああああああああああああああああああああああッ！

〇黒
　　”■■■■”

〇荒野の城壁

〇華やかな広場
ヘレナ「ぐあっ」
？？？「!?!?」
？？？「ハ、ハァぁああ!!?!?」
「”あらあら”」
？？？「”『わたしたち』はやっぱり”」
　　”『出会う運命』なんですね”
？？？「吐き気がする程『回りッくどいやり方』」
　　そんなに私に逢いたかった？
？？？「”その為に、私はいま生きてますから”」

〇黒

〇華やかな広場
オルコット「いやいやいやいやいやいやいや（現実逃避）」
？？？（向こうの『用意の周到さ』を考えたら 『戦略的撤退』がベストか？）
？？？「ゴメン、ちょっと『跳ぶ』から♡」
オルコット「はっ!?『跳ぶ』？」

〇華やかな広場
？？？「何ッ!?」
ヘレナ「なにこれなにこれもう限界」
オルコット「もうムリ〜！ アタシ着いてけてないって〜!!」

〇黒
　　楽しみにしてますよ？
　　今度こそ
　　
　　わたしの『かみさま』に
　　
　　なってくださいね？

〇山並み

〇山中の川
ヘレナ「いまなんじ？」
オルコット「ここはどこ？」
？？？「わたしはだぁれ？」
先住民族「○※#△^〜！^;-o-ゞ〜ッ!! （白人だ〜ッ！ひっ捕らえろ〜ッ！）」

〇空
　　『国葬』が行われた日の夕方
　　首都から
　　約2000km離れた『ミネソタ州』で
　　私達は『先住民族』に捕まりました
　　
　　まる。

〇空
　　同日、夜

〇教会
　　ワシントンD.C.（首都）

〇結婚式場の廊下

〇武骨な扉

〇教会内
「”あらあら”」
？？？「皆さん、早いお着きで『偉い偉い』ですね」
　　何か飲まれます？