GAZE ON

戸羽らい

#3 blind(脚本)

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〇ボロボロの吊り橋
「せーっの!」
男B「おっ」
男C「バカ!危ねえ!」
男A「・・・大丈夫か?」
男C「死んだかと思った」
男A「ゆっくり・・・慎重に進まないと」
男C「クソ・・・何も見えねえ」
男B「せめてこのサングラスさえ外せれば・・・」
男A「手が塞がっていて無理だな・・・」
男C「おわっ!揺らすな!」
男B「頭振っても外せない・・・」
男A「とっとと渡り切るしかない・・・」
男A「二人三脚で、この橋を渡り切れば・・・」
男A「大金が手に入るんだ・・・」
男C「クソ・・・何で二人三脚なんだよ」
男C「つーかこれ・・・本当に橋か?」
男B「橋だと言っていたが・・・」
男C「高さはどれくらいだ?」
男B「分からん。ただ、高いことは分かる」
男A「落ちたら死ぬだろうな・・・」
男C「・・・」
男C「ゆっくりでいい。とりあえず進もう」
男A「ああ・・・」
「せーの・・・」
「わぁ!」

〇黒
「今変な声したよな!?」
「う・・・うう・・・」
「気のせいだ。きっとそうだ」
「チクショウ!」
「ウワアアアアッ!」
「うるせえうるせえうるせえ!」
「んだよ・・・何でだよ・・・」
「やばいやばい」
「早く渡らないと」
「あっ・・・」
「ちょっ・・・おま」
「アアアアアアア!」
「ウワアアアアアアア!」

〇ボロボロの吊り橋
サリア「「見えない」って、怖いでしょう」
サリア「悪い方へ、悪い方へと想像力を働かせてしまう」
サリア「「未知」が「不安」を煽り、 「不安」は「恐怖」へと変貌を遂げる」
サリア「・・・あはっ」
サリア「やはり人間に「夜」は似合いませんね」

〇黒
  GAZE ON
  episode 3
  「blind」

〇豪華な客間
ベアル「今宵、開催するゲームは」
ベアル「『ハラハラドキドキ肝試しゲーム』です」
「ハラハラドキドキ肝試しゲーム」
土田 文香「なにこれ」
土田 文香「NewTubeの企画?」
シェリル「度胸試しの次は肝試しね」
サリア「私の家をお化け屋敷か何かだと勘違いしてませんか」
ベアル「ここでは行いません」
ベアル「これから、とあるホラースポットへと足を運んで頂きます」
シェリル「ここもホラースポットのようなものだけど」
サリア「はい?」
シェリル「だって、不気味な女性が夜な夜なピアノを弾いてるなんて」
シェリル「学校の七不思議みたいじゃない?」
シェリル「ほら、貴方って地縛霊みたいな格好してるし」
サリア「・・・」
サリア「霊ですか」
シェリル「もしかして自覚あったかしら?」
サリア「霊って、想像力の産物ですよね」
サリア「見えないものに怯える貴方の姿が、これから楽しみです」
シェリル「あらあら」
土田 文香「仲悪い・・・?」

〇山道
シェリル「文香さん、先進んで・・・」
土田 文香「ええ・・・」
ベアル「ここは自殺者が多いと言われている森林です」
ベアル「サリア様、シェリル様のお二人には、ここで相手の肝を試してもらいます」
サリア「肝を試す?」
ベアル「驚かせたり、怯えさせたり、手段は問いません」
ベアル「心拍数の変化に応じて、寿命が相手に支払われます」
サリア「なるほど」
シェリル「え、私怖いの苦手なのだけれど」
シェリル「ひっ!」
土田 文香「わっ」
土田 文香「いきなり抱きつかないでください!」
ベアル「シェリル様からサリア様に「1年」渡りました」
シェリル「もう始まってる!?」
土田 文香「・・・」

〇山道
  吊り橋効果というやつでしょうか
  ぷるぷる震えながら私を抱きしめる彼女に、少しばかりドキドキしてきました
  よく見たら可愛い顔をしていますし・・・
  ひょっとしたら、推せるかもしれません
  ところで、私にとっての「推し」の定義とは
  相手の全てを肯定すること
  弱さも醜さもひっくるめて、相手の全てを愛する

〇山道
土田 文香「そんな盲目的な愛を・・・」
シェリル「何言ってるの?」
土田 文香「何でもないです」
サリア「人間に弱みを見せて、みっともない」
サリア「貴方に吸血鬼としての自覚はないのですか?」
シェリル「ないわよ」
シェリル「私、人間として生きてみたいなあと思っていたところだから」
土田 文香「さっきから吸血鬼とか寿命とか、何の話をしてるんですか?」
シェリル「そういう遊びよ」
土田 文香「ええ・・・」
サリア「・・・」
サリア「そこの人間、先程「盲目的」と呟きましたね」
土田 文香「は、はい・・・」
サリア「良いですよね。周りが見えなくなるって」
サリア「貴方が理性を失い、恐怖に怯えるさまを見てみたいです」
土田 文香「?」
土田 文香「理性を失うと恐怖なんですか?」
シェリル「相手にしなくていいわよ」
シェリル「この人、中二病だから」
土田 文香「は、はあ」
サリア「・・・」
  グルルルルルゥ・・・
熊「グルルゥ」
土田 文香「ク、クマ・・・!」
シェリル「ベアル・・・じゃないわよね」
土田 文香「あれ?さっきの着ぐるみの人は?」
熊「グルルァ!」
土田 文香「ひっ!」
シェリル「ちょっと!置いてかないで!」
熊「グルルルルァ!」
シェリル「ちょっ」

〇森の中の沼
土田 文香「はぁ・・・はぁ・・・」
土田 文香「あれ?ここどこ?」
土田 文香「暗くてよく分からない」
土田 文香「うわっ!」
土田 文香「・・・声?」
土田 文香「・・・」

〇山道
熊「グルルルルァ!」
シェリル「い・・・ったぁ!」
熊「グルルル・・・」
シェリル「や、やめなさいケダモノ!」
熊「グルルルルルルゥァ!」
シェリル「ひっ・・・!」

〇血しぶき
  痛い!やめなさ・・・やめて!
  あ・・・がっ
  いっ・・・痛い・・・
  あっ・・・ああっ!

〇山道
ベアル「シェリル様からサリア様に「20年」渡りました」
ベアル「シェリル様からサリア様に「20年」渡りました」
ベアル「シェリル様からサリア様に「20年」渡りました」
サリア「「相手の心拍数を動かすこと」で寿命を奪える」
サリア「そして、その「手段は問われない」」
サリア「なら、殺してしまえばいいんです」
サリア「心臓を止めてしまえばいい」
サリア「だって、心拍数が下がるのも、変化に含まれるのですから」
ベアル「シェリル様からサリア様に「20年」渡りました」
サリア「寿命が尽きるまで、何度も殺します」
サリア「元々、吸血鬼としての位は私の方が高いのです」
サリア「シンプルに「力」でねじ伏せますよ」
ベアル「シェリル様からサリア様に「20年」渡りました」
サリア「・・・あはっ」

〇森の中の沼
  そう。世界はシンプルです
  難しく考える必要はありません
  難しく考えるから、苦しみ、怯えてしまうのです
土田 文香「うぅ・・・」

次のエピソード:#4 moonlight

コメント

  • 文香は勝敗を見るのか、それとも全然気にせず戻って新しい吸血鬼を推しとして選ぶのか。ロゼはもう出てこないのか。疑問ばかり浮かぶので楽しいです。

  • ど、どうやって勝てるんだ??というか、まずクマに勝たないと😵‍💫
    続きが読めた喜びもつかの間の、また続きが……あっという間でした😇

  • 同格と思いきや相手の方が位は上😲😲😲😲
    このままシェリルが終わるとは思っていませんが、この状況をどう打破するのか……次回を楽しみにさせて頂きます😆😆😆

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