3ミニッツヒーロー

梵島藍

エピソード1(脚本)

3ミニッツヒーロー

梵島藍

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〇マンション前の大通り
超七(デキルマン息子)(オヤジは”しがない”とか”うだつの上がらない”という言葉が見事に似合う典型かもしれない)
超七(デキルマン息子)(無名の三流大卒で、ほぼ同期には追い越され出世からは無縁の会社勤めでは特に活躍もなく、ローン購入のマンションも家族に不評で)
  更に人が良すぎるのか?町内公園の草むしりや冬の火の用心の見回りなど、面倒な雑務の責任者も毎年押し付けられていた
  そんなオヤジは反面教師で、あんな風には決してなるまいと常々思いながら生きてきた。
  こう言っては何だが何の為に生きてるのだろう?とすら思ったことがあったが、、。
超七(デキルマン息子)(しかしそんなオヤジにも趣味というか、生きがいがひとつあった)
超七(デキルマン息子)「それは関連グッズ、役者のサイン色紙等のコレクション。果ては撮影場所への訪問もする『ヒーロー』モノへの大いなる愛情だ」
  それに熱中してる時のオヤジは普段とはまるで『別人』のようだった。
超七(デキルマン息子)「しかしそれにしてもいくら何でもまさかあのオヤジが”○○○○○”とはー。これは時代が求めたのか?それとも偶然か?」

〇タワーマンション
通行人・主婦「まさかっ、あれ!」
通行人・子供「UFO!?」
リポーター「ただ今地球外から飛来した宇宙船がここ都会の真ん中に降りて来ました。まるでSF映画のようです!」
リポーター「あっ!そして、中から何か出てきました! もしや異星人でしょうか?」
  それはまさに江戸時代、黒船が来たような未知の世界からの突然の来訪者だった。
  そして初めは恐る恐るながら人類は接触を試みてみた。するとやはり異星人も千差満別で、友好的なタイプもいれば、、。
通行人・子供「どこから来たの?」
無害な異星人A「∈§⊥§∂⌘⁂≪∧∃∃〆⁂§∂!」
  中には友好的でない、のもいた。
  政府はそれら危険な異星人を指定暴力異星人とした。しかしその中には警察や自衛隊でも対処不能な恐ろしい能力の異星人もいた

〇渋谷の雑踏
通行人A「なっ!何?あれは!次々と人を押し倒してこっちに来るわ!又指定暴力異星人?」
  その時!どこからともなく不意にあらわれたのは!
警備員「あっ!いつの間にっ!あれは ”デキルマン!”」
デキルマン「さぁ、ここは任せて早く安全な所へ皆避難をっ!」
デキルマン「いい異星人は歓迎だが、お前みたいのはお断りだ!」
警備員「さっ、さすが”デキルマン”!又粉砕スプラッシュであの異星人をっ、」
通行人A「あっという間にやっつけたわ!」
警備員「ほんとにいつもいいところに来てくれてありがとう!」
通行人A「ありがとう。”デキルマン”!」
デキルマン「礼には及ばん。私はただ”出来る(=デキル )”ことをしただけだ!」
デキルマン「確かにとてつもない能力を持った異星人だが、諦めてはいけない。ヒトだって”出来る”(=デキル)ことがきっとあるはずだ」
デキルマン「そして。皆も異星人だからと諦めず、きっと何か”出来る”と、まず信じることだ」
通行人A「きっと、”出来る”」
デキルマン「そうだ。こんなうだつの上がらないこんなオヤジの私でも、、」
デキルマン「はっ、。いや何でもない、。ではさらばだ!」
リポーター「今日又指定暴力異星人が渋谷の交差点に乱入して来て人々を恐怖に陥れましたが、またもや”デキルマン”の活躍で事なきを得ました」

〇明るいリビング
  度重なる活躍で「出来る」を連呼していたからかオヤジはいつしか”デキルマン”と呼ばれ、今や世間の注目の的だったが、
オフクロ(=デキルマン妻)「あなたっ。会社行く前に朝のゴミ出し。お願いね!今日は燃えないゴミだからね」
オヤジ(=デキルマン)「あっ。そうだった。分かった。ゴミ出しだね。了解」
  ウチでは相変わらず、いつもの気弱なオヤジだった
超七(デキルマン息子)「・・・・・・・・・。 オ、オヤジ」
オヤジ(=デキルマン)「おお超七。何だ? (※超=ウルトラ 七=セブン〜から息子に命名)」
超七(デキルマン息子)「い。いや何でもない」
オヤジ(=デキルマン)「何だ。朝から珍しくあらたまって。言うことド忘れか?まぁいいや。じゃ。行ってくるよ」
超七(デキルマン息子)(”デキルマン”、、。 あんまりムリすんなよ)

〇広い公園
  様々な星から彼らが訪れるようになったが、友好的な異星人はうまく社会に溶け込み、、。
通行人・子供「ねぇ次何して遊ぶ?」
無害な異星人A「∈§⊥§∂⌘⁂≪∧∃∃〆⁂§∂!」
通行人A「OK!」
  うまくヒトと付き合ってくれていたが、

〇コンビニの店内
リポーター「大変です!指定暴力異星人の中でも特に厄介な「麺ずウォーリアーズ」が郊外のコンビニで又カップ麺を強奪した模様です!」
リポーター「ではここで、異星人コメンテーターの方にお話を伺いましょう。これは一体何を意味するんでしょう?」
異星人コメンテーター「奴らは名前の由来通り、必ずお気に入りのカップ麺を戦闘後の栄養補給にする。だからそれを手に入れたということは、、」
リポーター「又どこかで暴れ出す?と言うことですか?」
異星人コメンテーター「はい可能性大です!しかも彼らはとても能力が高くて大抵のミッションは3分でこなしてしまうのが当たり前になっています」
リポーター「たっ、たった3分で、」
異星人コメンテーター「そう。だから戦う寸前に近くに停めた宇宙船内でカップにお湯を入れておいて、その時間内に戻り食べるのが奴らのルーティンです」
リポーター「今までその時間をオーバーしたことは?」
異星人コメンテーター「有りません!だから、」
リポーター「麺ずウォーリアーズ!」
異星人コメンテーター「そう。カップ麺だけであれだけの戦闘能力を発揮するなんて我々の想像を遥かに超えた奴らです」

〇遊園地の広場
子供A「パパっ〜!」
子供B「きゃー!」
警備員「麺ズウォーリアーズだ!早く皆避難をっ」
遊園地バイト「えっ、何っ。あの異星人がっ!」
リポーター「ただ今懸念してしていた麺ズウォーリアーズの情報が遊園地から寄せられて、現場に来ています!でもなぜ遊園地に?」
異星人コメンテーター「過去の事例から、遊園地に来たのは一定数の親子を回収して、ヒトの遺伝子を研究利用することが目的だと考えられます!」
リポーター「まだここに来ている親子が皆逃げ切れるか難しそうですが!」
異星人コメンテーター「それは麺ズウォーリアーズの能力を考えると確かに難しいかもしれません!」
子供A「あっ。”デキルマン”!」
遊園地バイト「やっぱり、来てくれた!”デキルマン”」
リポーター「今皆の期待を受けて、”デキルマン”が現場に馳せ参じてくれました!」
子供B「良かった。”デキルマン”お願い!悪い異星人をやっつけて!」
デキルマン「もう大丈夫だ。さぁ少しでも安全な所へ避難を!」
子供A「あっ!”デキルマンが、、。”」
警備員「麺ズウォーリアーズに囲まれた!」
リポーター(”デキルマン”)
子供A(”デキルマン”)
異星人コメンテーター(”デキルマン”)
子供A「ホッ、」
遊園地バイト「良かった、」
リポーター「さすが、”デキルマン”。うまく麺ズウォーリアーズをはねのけましたっ!」
リポーター「しかし、麺ズウォーリアーズもさらに攻勢に転じています!」
子供B「負けないで!”デキルマン”!」
子供A「あれっ。粉砕スプラッシュが効いてない?」
警備員「そう言えば。麺ズウォーリアーズは平然としている!」
リポーター「大丈夫でしょうか?。いつもの”デキルマン”と様子が違うようにも見えますが、」
異星人コメンテーター「そうですね。粉砕スプラッシュが効かなかったことなど今まで無かったのですが、」
リポーター「さぁどうなってしまうのでしょう?」
異星人コメンテーター「でも麺ズウォーリアーズは3分で宇宙船に戻っていくのでそれまで、耐え忍ぶことが出来れば何とかなるかと、、」
超七(デキルマン息子)(オヤジ、。心配で来ちゃったけど、。 大丈夫か?それに、、)
リポーター「そうですね。まず時間稼ぎでも持ち堪えればここは何とかなるかもしれませんね、。 まず3分!」
超七(デキルマン息子)(3分って、、オヤジも、、)
リポーター「今度は激しい麺ズウォーリアーズの攻撃です!」
警備員「”デキルマン!”」
リポーター「”デキルマン”! 今の麺ズウォーリアーズの攻撃をまともに受けました!」
異星人コメンテーター「3分!とにかく持ち堪えてくれるといいんですが!」
リポーター「たった今情報が入りました!」
異星人コメンテーター「えっ?」
リポーター「警視庁異星人課によりますと、麺ずウォーリアーズが直前に強奪したカップ麺ですが。今回は『ハルちゃん麺結び』で熱湯4分です!」
異星人コメンテーター「いつもは『カッポレ一番醤油味』熱湯3分なのに!今回は違ったのか!なんてことだ!1分も長いなんて!」

〇遊園地
リポーター「でもここは”デキルマン”を信じましょう!彼の口癖『出来る』を信じて、、」
異星人コメンテーター「はい!ただ実は懸念も、、」
リポーター「そ、それは何ですか?!」
異星人コメンテーター「今までのデータだと”デキルマン”は3分以上闘ってたことがないんですよ。まぁ彼の能力の高さのせいかも?ですが」
リポーター「も、もしかして今までそれで敵を倒してますが、時間的にはそれが限界なんでしょうか?」
超七(デキルマン息子)(オヤジ、そう、3分だよな。いつも、)
リポーター「麺ズウォーリアーズが又何か有毒なガス状のモノを”デキルマン”に発した模様です!」
異星人コメンテーター「”デキルマン!”」
リポーター(大丈夫?”デキルマン”。又ダメージを負ったように見えたけど、しかももうほとんど3分経過だわ、)
超七(デキルマン息子)「オヤジ!」
リポーター「麺ズウォーリアーズは時間もまだ有り、優勢な様子ですが!」
デキルマン「みんな!一旦撤退する!大丈夫だ!」
リポーター「えっ!」
超七(デキルマン息子)(、、、)
異星人コメンテーター「やはり!彼は3分のヒーローなのか?」
リポーター「あっ!麺ズウォーリアーズが”デキルマン”が居なくなったのをいいことに人間が避難してる処へ行こうとしています!」
警備員「クックソ。もうダメか、」
リポーター「めっ、麺ズウォーリアーズが、、」
超七(デキルマン息子)「いっ一瞬にして、」
異星人コメンテーター「壊滅したっ!一体どうしたんだ?」

〇明るいリビング
オフクロ(=デキルマン妻)「あなた。私今日は大学時代の友達とご飯食べてくるから、夜は適当にスーパーのお惣菜でも買って食べてて」
オヤジ(=デキルマン)「そうか。分かったよ。楽しんでくればいい」
オフクロ(=デキルマン妻)「そうそう。ゴミ出しも忘れないでね。 資源ゴミよ今日は」
オヤジ(=デキルマン)「うん。分かった」
超七(デキルマン息子)(オヤジ、。昨日は大変だったね。身体、大丈夫なのか?でも、、 又ウチでは相変わらずだな)
オヤジ(=デキルマン)「おっ。超七っ。昨日は来てくれてありがとう!」
超七(デキルマン息子)「えっ」
オヤジ(=デキルマン)「じゃ。会社、行ってくるよ」
  昨日のオヤジ、イヤ”デキルマン”の活躍はテレビなどでも取り上げられて、又話題の的になった。
リポーター「では昨日の”デキルマン”の粉砕スプラッシュはただのスプラッシュではなかったんですね」
異星人コメンテーター「はい。”デキルマン”公式ページによるとあれは後で効く『時間差』粉砕スプラッシュで3分以上かかりそうな時の新兵器だそうです」
超七(デキルマン息子)(そうだったのか、。それにしても公式ホームページなんていつの間に?あっそう言えば、)
オヤジ(=デキルマン)「おい。ところでSNSってどうやるんだ?」
リポーター「でも結局”デキルマン”が私達を助けてくれるヒーローでいてくれる時間はやっぱり3分だったんですね」
異星人コメンテーター「はい。昔アンディウォーホールというアーティストが「人は誰でも15分は有名になれる」と言いましたが彼なら3分でも充分です!」
リポーター「ですね!でも”デキルマン”なら、ヒーローじゃない時もカッコよくて目立ってしまいそうですけど、」
異星人コメンテーター「確かに」
超七(デキルマン息子)(そう言えば幼い時オヤジに 「ウルトラマンって何で地球で3分しか闘えないの?」って訊いたら、こう言ってたな、、)
オヤジ(=デキルマン)「それ位がちょうどいいんだよ」

コメント

  • 麺ズウォーリアーズの戦闘時間3分が、サッカーのロスタイムみたいに1分伸びた時にはハラハラしました。最終的に伸びたのはデキルマンじゃなくて「ハルちゃん麺結び」の麺のほうでしたね。デビルマンを薄めたようなデキルマンの容姿だけど「それ位がちょうどいい」ですね。

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