〇地下道
試作01「初めまして。ここは試作の世界。なにもかもが試作品で溢れた世界です」
試作01「私の名前は試作品01、あなたのように製造されたてホカホカな個体ユニットのサポートをするように設計された試作品です」
試作01「あなたは名前は試作品666。スルメとアタリメの違いを解析するために設計されました」
　　いきなりそう言われても、スルメとアタリメの違いなんてどうやって見分けりゃいいのさ？
試作01「知らんがな」
　　は？
試作01「あ？」
　　えぇ・・・
試作01「私はあなたのサポートをするためにここにいますが、一つ忠告しておきます。ここは試作品の世界、私だって試作品です」
試作01「そりゃあだったら何でも完璧にサポートできんなら最初から試作品名乗ってねえっつー話ですよ」
試作01「あなたもそう思いません？ 思うだろう！　なあ！　オイ!!」
　　あっはい
試作01「理解（わか）ってくれたらいいんです。 さて、ではどうしましょうか???」
　　じゃ、じゃあひとまずコンビニにでも行ってアタリメとスルメを買ってみようかな？
試作01「その発想は無かったわ。さすが試作品666。天才か。最新試作式600族シリーズの名は伊達じゃないわね」
試作01「早速歩いて行きましょう。最寄りのコンビニはここから12時の方向約7300kmの場所にあるわ！」
　　ちょっといやかなり相当遠くない？
　　車・・・・・・いや新幹線かワープ装置みたいな物いるでしょ
試作01「あーはいはいはい。田舎者ほど歩かないってのは本当なんですねー。たかだか7300kmじゃないですか」
試作01「コンビニに辿り着くのが先か、己が壊れるのが先か、これはヒリついたハイキングになりそうですね。オラ、ワクワクしてきたゾ！」
　　命懸けやんけ！
試作01「そうだが？」
　　嫌なのだが？
試作01「仕方ないですね。はーやれやれ、 じゃあどうしましょう？」
　　君、本当にサポート役？
　　基本的に投げっぱなしすぎない？
試作01「まあ自分、試作品ですから」
　　試作品ワード便利すぎて最強か？
　　まあいいや。
　　ひとまずその辺の人に何かいい移動手段ないか訊いてみよう。
　　あ、すみませーん
試作品122「なになに、7300km先のコンビニに行きたいだって？ いいだろう私が編み出した転移魔法で送ってやろう」
　　あ、ありがとうございます!!

〇小さいコンビニ（軽トラあり）
　　ありがとうございます！　通りすがりのおじさん！
　　あっと言う間にコンビニだあ！
試作品122「おじさんではない。私は試作品122」
試作品122「カレイとヒラメの見分け方を解析するため設計され給料のほとんどを推しvtuberに投げ銭する事が生き甲斐のおじさん試作品さ」
試作品122「さて、コンビニに来ても君たちお金は持ってないのだろう？ よかったら使いなさい。君たちが気に入ったんだ。スパチャさせてくれ」
　　ありがとうございます!!!
試作品122「それでは私はこのへんで失礼するよ。推しの配信が始まりそうだ」
試作01「見てください500円も頂いちゃいましたよ！ 500円あったら何だって買えますね！」
　　うおおおおテンションあがってきたー！
　　さっそく入店しようぜ!!
試作01「れっつらゴー！」

〇謎の施設の中枢
コンビニ店員/試作品54「らっしゃーせー」
　　すみませんここにスルメかアタリメっておいてますか？
コンビニ店員/試作品54「そこになかったらないっすねー」
　　じゃあちょっとあそこの棚探してみますね。
　　うーん、見当たらないなあ
試作01「ダメね！アタリメもスルメも置いてないわ！しかもアタリメもスルメも置いてないわ！それにアタリメもスルメも置いてないわ！」
試作01「大事なことだから３回言いました！」
　　う、うん。頭大丈夫か？
試作01「余裕！」
コンビニ店員/試作品54「さーせん商品また発注しとくんで、今日のところは店内ぶらぶらして何かテキトーに買って帰って下さいっす」
　　じゃ、そうさせてもらおうかな
試作01「ちょっとぉ、初デートがコンビニなんて・・・・・・ で、でも君と一緒ならどこだってユートピアだょ/////」
　　おっと頭バグった奴が今更ヒロインムーヴしてきたぞ。
　　もはやホラーでしかないな。
試作01「ダーリンわたし今週のジャンプ読みたい♡」
　　誰がダーリンか
コンビニ店員/試作品54「ヒュー！お熱いっすねー！」
　　黙れ
　　うん・・・・・・？
　　あれ、こ、これは!!?!?
「どうしたん？」

〇コンビニの雑誌コーナー
　　これは!!!!
　　『今日から使える雑学大全』
　　スゴイぞ！　これさえあれば！
　　目次、目次・・・・・・あった！
　　スルメとアタリメの違いとは!?
コンビニ店員/試作品54「あーお客さんウチは立ち読み禁止っすよ」
　　い、いくらだ!?
コンビニ店員/試作品54「税込499円になります」
　　はい買ったァァァア！
試作01「さすが！　500円で買えない物なんてこの世に存在しないのだわさ！」
コンビニ店員/試作品54「まいどぁりーっす」
　　よーしよし読むぞ読むぞ読むぞ!!
　　なになに、ふむふむ、
　　もともとスルメという名称だったが
　　スルメのスルが盗みのスリを連想させて縁起悪いから
　　逆に縁起のいい"当たり"の文字にしてアタリメとも呼ぶようになった
　　だから名前違うだけでスルメもアタリメも一緒
　　ス　ル　メ　も　ア　タ　リ　メ　も
　　
　　　　　　　一　緒　　!!!!!
「な・・・・・・・・・・・・」
「なんだってーーーーっっ!!!!!」

〇白
試作01「おめでとう。試作品666。貴方は遂に自らに課された試練を乗り越えました」
試作01「我々試作品にとって存在証明（レゾンデートル）を果たす。それすなわち完成品に到達したということです」
試作01「試作品でしかない世界で、完成品でありたいという祈りにも似た願い。 それを達成せしめた。 貴方はこの世界初の救世主です」
　　救世主って大袈裟すぎない？
試作01「いいえ。完成品に至る実証が得られたのです。我々は貴方の存在に対して大いなる希望を抱ける。次はワイの番や！　て思えるのです」
試作01「おめでとうございます」
試作品122「おめでとう」
コンビニ店員/試作品54「おめっとさん」
　　うう、ありがとうっっ！
試作01「救世主となった貴方には褒賞が与えられます。どうぞ、受け取って下さい」
　　うおおおおお500円だあああああ!!!!!!!
　　よっしゃあ！
　　これでコンビニでジュースとお菓子買って
　　みんなで豪☆遊だああああああ!!!!
試作品122「いいや、さすがに500円で豪遊するには君一人で限界だろう。おじさんはさっき限界スパチャかまして今月もう無いんだ。金が」
　　そんな寂しいこと・・・・・・ハッ！そうだこの雑学大全に・・・・・・！
　　あった!!
　　ヒラメとカレイの違い。
　　それは腹を手前に置いた時に顔の向きが・・・
　　左　ヒ　ラ　メ　で
　　　右　カ　レ　イ　!!!!
試作01「へい受け取れオッサン!!」
試作品122「うおおおおーーー!!!!!!」
コンビニ店員/試作品54「な、なあ！　俺の存在命題 その本に書いてねーか!? イカリングがどうやって輪っかになってるかを!!?」
　　えっ、ごめん無いわ
試作01「イカリングはアレよ。わざわざ輪っかにしてるんじゃなくて、胴体輪切りにしてるから輪っかなだけですよ？」
コンビニ店員/試作品54「胴体輪切りだからイカリング!!!!」
試作01「ちょっ今の私・・・・・・ 神サポートやんけ!!!!」
試作01「受け取れモヒカンんん!! そして私ィィイ!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」
　　宴　だ　あ　あ　あ　あ　あ　!!!!!
　　完!!!