ずっと待ってる(脚本)
〇広い改札
ナナコ「えーと・・・ハチ公はどこ?」
ナナコ「すぐわかると思ったのになあ」
ナナコ「改札口が多すぎるよ・・・!」
マホ「ねえねえ! もしかして・・・ナナコ!?」
ナナコ「え?」
マホ「やっぱりナナコだよね!?」
マホ「マホだよ、マホ! 覚えてる!?」
ナナコ「マホ・・・ちゃん?」
マホ「ほら! 中学の途中で転校した!」
ナナコ「あ・・・!」
マホ「久しぶり! 元気にしてた?」
ナナコ「えと、うん」
マホ「いつ、こっちに引っ越してきたの? 東京の大学に通ってるとか?」
ナナコ「あー、いや、私は地元で就職したんだ」
ナナコ「今日はタケルに会いにきたの」
ナナコ「タケルは東京の大学に進学したから」
マホ「タケルって・・・ たしか双子の弟君だっけ?」
ナナコ「そう」
マホ「覚えてる、覚えてる!」
マホ「ナナコ、溺愛してたよね!」
マホ「わざわざ東京まで会いにくるなんて 相変わらず仲良しだねー!」
ナナコ「えへへ、そうかな?」
ナナコ「でも最近は・・・ ちょっとイライラさせられてるかも」
マホ「え、そうなの?」
ナナコ「もうすっかりシティーボーイ気取りでさ」
ナナコ「東京自慢のメールがひどいんだよね」
マホ「なにそれ、めっちゃウケる!」
ナナコ「特に渋谷がお気に入りみたいで」
ナナコ「待ち合わせはハチ公前以外ありえないっしょー とか」
ナナコ「今日も109で服買いまくりー とか」
ナナコ「駅前のスタバが行きつけになったw とか」
マホ「あはは! すっかり都会にかぶれてるじゃん!」
マホ「かわいー!」
ナナコ「笑っちゃうよね」
ナナコ「もっといろんなところを楽しみたいからって、バイクの免許まで取ったんだよ?」
マホ「へー!」
ナナコ「でもまあ・・・ そんなに渋谷がいいところなら 一回案内してもらおうかなと思って」
マホ「なるほどねー」
マホ「あ、そうだ! ちょうど良かった!」
ナナコ「なに?」
マホ「これからユウカに会う予定なんだ!」
ナナコ「え・・・」
マホ「中学の時、ユウカとも仲良くしてたじゃん?」
マホ「タケルくんも知らない仲じゃないし せっかくなら四人で遊ばない?」
マホ「ぷち同窓会みたいで楽しそうでしょ?」
ナナコ「んー・・・どうかな」
ナナコ「今日は半年ぶりにタケルに会えるから ちょっと二人で遊びたいかも・・・」
マホ「おお・・・!」
マホ「筋金入りのブラコンだねー!」
マホ「まあ、それなら、またの機会にしよっか!」
ナナコ「ごめんね それじゃ、バイバイ」
マホ「あ、連絡先教えて・・・!」
マホ「って行っちゃった」
〇テーブル席
マホ「お待たせ!」
ユウカ「あー、やっときた!」
マホ「ごめんごめん」
マホ「駅前で思いがけない出会いがあってさー」
ユウカ「出会い?」
ユウカ「なになに、男?」
マホ「違う違う! ナナコだよ、ナナコ!」
ユウカ「ナナコ・・・?」
マホ「ほら、中学の時、よく一緒に遊んだじゃん!」
ユウカ「あー、うん ・・・元気そうだった?」
マホ「元気そうだったよ!」
マホ「はじめての都会にちょっと動揺してたみたいだけどねー」
ユウカ「・・・そっか、元気そうなら良かった」
マホ「ん? なんかあったの?」
ユウカ「いや・・・ ちょっと空気読めないメールしちゃってさ」
マホ「どういうこと?」
ユウカ「・・・大学進学で上京して テンション上がっちゃって」
ユウカ「地元に残ったナナコに・・・ 色々メールしちゃったんだよね」
ユウカ「待ち合わせはハチ公前以外ありえないっしょー とか」
ユウカ「今日も109で服買いまくりー とか」
ユウカ「駅前のスタバが行きつけになったw とか」
ユウカ「今思い返すとイタすぎるよ・・・!」
マホ「・・・え?」
マホ(それ、たしか、さっきナナコが・・・)
ユウカ「メールのタイミングも最悪だったみたいで・・・」
ユウカ「謝ろうにもずっと既読スルーされててさ・・・気になってたんだよね」
ユウカ「でも、元気そうだったなら良かったよ!」
マホ(なんか違和感あるけど・・・気のせいかな)
マホ「ま、まあ、若気の至りってやつじゃない?」
マホ「ナナコ、今日はタケルくんに渋谷を案内してもらうって楽しそうだったし」
マホ「大丈夫でしょ!」
ユウカ「・・・何言ってんの?」
マホ「何って?」
ユウカ「私も最近知ったんだけど・・・」
ユウカ「タケルくん、半年前に亡くなったんだよ・・・?」
ユウカ「バイクでスピード出しすぎて・・・交通事故だって」
マホ「・・・は?」
〇ハチ公前
ナナコ「はー、やっと見つけた・・・」
ナナコ「ハチ公・・・ 思ってたより小さいなあ」
ピコン
ナナコ「あ、タケルからメールだ」
ナナコ「『ごめん、ちょっと遅れるかも』」
ナナコ「もー!」
ナナコ「相変わらず時間にルーズなんだから」
ナナコ「そんなんじゃ、せっかくバイクの免許取ったって大学に遅刻しちゃうよー」
ナナコ「まあ、いっか」
ナナコ「『りょうかい』」
ナナコ「『ずっと待ってるね』」
こわいっす、善逸的に泣くっす、終わりかたの力の抜け加減が、また、霊的っす。初めての感じに感謝。
とてもドキドキする展開でした🤭
大好きな弟が亡くなった事実を受け入れられないんだろうなぁと今後の彼女のことを考えると、少し切なくなりますね🥲
マホは誰と連絡とってるんだろー?タケルが死んじゃったことが受け入れられてないのか、それともタケルがナナコに取り憑いてるのかな。夢でもいいから、タケルとマホがまた会えますように!