第六話「好きな人を守りたいんですけど!」(脚本)
〇川に架かる橋
中田雷神「おい速水。 何をそんなにイライラして歩いている?」
中田雷神「櫻井もクビになったし 莉乃ちゃんも救えた」
中田雷神「上出来だろ」
速水泰星「全然上出来じゃないですよ!」
中田雷神「なんだと?」
速水泰星「だってそうでしょう?」
速水泰星「ようやく莉乃ちゃんに告白できたのに よりによって先輩が好きだなんて・・・」
速水泰星「残酷すぎます!」
中田雷神「おいおい。あれから一週間経つんだぞ。 もういいだろ?」
速水泰星「一週間じゃ心の傷は癒えません」
中田雷神「でも俺はもうすぐ卒業だぞ。 それに恋愛に興味はないと──」
速水泰星「そういうところがむかつくんです!」
中田雷神「なっ! 莉乃ちゃんには手を出さないって 言っているんだからいいじゃないか」
速水泰星「あんな可愛い子に手を出さないなんて 先輩は人間じゃないです」
中田雷神「あのな・・・それはお前基準だろうが」
速水泰星「! せ、先輩、今の声は──」
中田雷神「向こうのほうだ! 行くぞ」
〇ゆるやかな坂道
中田雷神「何があったんだ!?」
女子生徒「それが・・・ 覆面の男が急に襲ってきて・・・」
速水泰星「覆面?」
中田雷神「こいつは事件の香りがするな」
速水泰星「犯人は僕一人で捕まえてみせます」
中田雷神「なに?」
速水泰星「先輩の力を借りなくたって 大丈夫ですから!」
中田雷神「お、おい! 待てよ、速水」
〇教室
中田雷神「速水。覆面男のことだがな──」
速水泰星「先輩の力は借りないって言いました」
中田雷神「まあ聞け。被害者の女子生徒たちは いきなり抱きつかれているらしいが・・・」
中田雷神「大声を出したら犯人はすぐ消えたそうだ」
速水泰星「そんなの・・・僕だって調査済です」
高岡莉乃(あれは・・・速水くん?)
中田雷神「しかし、ずいぶんやる気満々だな」
中田雷神「覆面男を退治したところで、莉乃ちゃんが 振り向いてくれるわけではないだろ」
速水泰星「そ、それとこれとは話が別です」
速水泰星「それに莉乃ちゃんに振られたって、莉乃 ちゃんを危険な目に遭わせたくないんです」
中田雷神「ほう・・・」
高岡莉乃(速水くん・・・)
速水泰星「僕のコマンドで絶対に犯人を 退治してやりますから」
高岡莉乃(! コマンド・・・?)
〇川沿いの道
女子生徒の後ろから男が襲い掛かる。
だが間一髪、女子生徒は横っ飛びした。
覆面の男「! な、なんでわかった!?」
女子生徒は変装を解く。
覆面の男「お、お前は──」
速水泰星「まんまと騙されたな! お前を捕まえて、警察に突き出してやる」
覆面の男「くっくっく・・・お前一人か」
覆面の男「女どもを襲えば誘い出されると思ったが 案外早かったなぁ」
速水泰星「!? どういうことだ?」
覆面の男「こうなったら、一人ずつ始末してやる」
速水泰星「その声・・・まさか──」
男が覆面を取ると、中から櫻井が現れる。
速水泰星「櫻井!? なんでお前が・・・!?」
櫻井勇作「お前たちのせいで教師人生はおしまいだ」
櫻井勇作「だがお前たちには感謝もしているさ」
速水泰星「何・・・?」
櫻井勇作「俺に力を与えてくれたからだァ!!」
櫻井が手をかざすと、速水が宙に浮かぶ。
速水泰星「な、な、なんだこれ! 浮いてる! 身体が!」
櫻井勇作「コマンド【宙に浮かせる】だ」
速水泰星「そんな! まさか──」
櫻井勇作「あっはっは! そうだよ。お前たちと同じ コマンド使いになったんだ!」
速水泰星「くっ! 確かに先輩が前に言っていた」
速水泰星「コマンド使いに出会うことで 素質のある人間は」
速水泰星「コマンド能力に 目覚めることがあると・・・」
速水泰星「じゃあ櫻井は僕たちのせいで――うわっ!」
速水が地面に叩きつけられそうになった
瞬間――。
中田が飛び込んできて
速水の下敷きになる。
中田雷神「くっ・・・!」
速水泰星「せ、先輩! なんでここに!?」
中田雷神「後輩一人を・・・危険な目に 遭わせられるわけないだろうが・・・」
速水泰星「そんな・・・先輩。僕、意地を張って あんな態度を取っていたのに・・・」
櫻井勇作「あっはっはっ! 思わぬ収穫だったな」
中田雷神「さ、櫻井・・・お前、いまいくつの コマンドを持っているんだ?」
櫻井勇作「知らん。100までは数えてたがな」
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櫻井先生、くっくっく、って本当に底抜けの悪しか言わないセリフを
しかもコマンド100!
速水なんかこの前告白するを覚えたばかりなのに
面白いですね
続ききになります