パラノーマル・ブラッド

糸本もとい

第2話 鬼胎(脚本)

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〇レストランの個室
「乾杯!」
日野 寛樹「へえ・・・ワインって、こんな味なんだ」
日野 寛樹「うーん・・・何杯も飲みたいってほどじゃないな」
五十鈴 乃笑「だね。ちびちび飲むものだよね、これ」
日野 寛樹「うん。どんなものか楽しみだったけど・・・」
五十鈴 乃笑「期待外れだった?」
日野 寛樹「ちょっとね。慣れれば美味しくなるのかな」
五十鈴 乃笑「そうかもよ。じゃなきゃ何百万円のボトルとか存在しないんじゃない?」
日野 寛樹「だよね。今後の自分の舌に期待しよう」
五十鈴 乃笑「他のお酒も試してみる?」
日野 寛樹「いや、赤ワインでいいよ。なんか吸血鬼っぽいし」
五十鈴 乃笑「なにそれ」
日野 寛樹「あれ? 吸血鬼と言ったら赤ワインとトマトジュースじゃないの?」
五十鈴 乃笑「ないよ。わたしトマトジュース苦手だし」
日野 寛樹「あっ、そうだよね。なんかイメージと違うのかな吸血鬼って」
五十鈴 乃笑「違うと思うよ。ニンニク好きだしね、わたし」
日野 寛樹「言われてみれば・・・シルバーは?」
五十鈴 乃笑「別に平気。日光はあまり好きじゃないけど、それぐらいじゃないかな」
日野 寛樹「俺も日光は苦手になるのかな」
五十鈴 乃笑「ならないんじゃない?」
五十鈴 乃笑「兼頭も別に平気みたいだし」
日野 寛樹「えっ!? 兼頭さんも吸血鬼なの?」
五十鈴 乃笑「そうだよ。道明の眷属」
日野 寛樹「へえ・・・それで若いのに五十鈴家の家令なの?」
五十鈴 乃笑「そうだよ。まあ英才だからってこともあるんだろうけど」
日野 寛樹「そうなんだ・・・柿平さんや綿貫さんは?」
五十鈴 乃笑「柿平や綿貫は眷属じゃないよ。まあ、普通でもないけど」
日野 寛樹「普通じゃない?」
五十鈴 乃笑「柿平は火使いで、綿貫は風使い。二人とも怪奇に連なる血筋の出身」
日野 寛樹「なにそれカッコいい・・・!」
五十鈴 乃笑「好きだよねヒロキって、ラノベとか漫画のノリ」
日野 寛樹「うん! まあ、まさか自分がそちら側になるとは思わなかったけどね」
五十鈴 乃笑「ゴメンね・・・」
日野 寛樹「なんで謝るのさ。ノエミは俺を救ってくれたんだ」
日野 寛樹「謝る必要なんてどこにもないよ」
五十鈴 乃笑「そう?」
日野 寛樹「そうだよ。俺は感謝してるんだ」
五十鈴 乃笑「でも、結果として、巻き込んじゃった」
日野 寛樹「俺だけ蚊帳の外なほうがイヤだよ」
日野 寛樹「なにも出来ないなんて、絶対にイヤだ」
日野 寛樹「俺はノエミを絶対に守ってみせる」
五十鈴 乃笑「・・・ありがと」
日野 寛樹「お礼を言うのはこっちさ。さあ、食べよ」
五十鈴 乃笑「そうね。食べましょうか」

〇植物園のドーム
扶桑 雅彦「黄瀬の具合は?」
黒崎 東吾「命に別状はありません。念の為、座間のところへ送っております」
扶桑 雅彦「そうか。やはり黄瀬には荷が勝ったか」
黒崎 東吾「四月一日に産まれし鬼子」
黒崎 東吾「改元を前にして鬼胎の憂いを取り除く」
黒崎 東吾「扶桑様の御意向に添わぬ者に未来なし」
黒崎 東吾「次は私が参りましょう」
扶桑 雅彦「任せる」
黒崎 東吾「御意に」
黒崎 東吾「好機逸すべからず。早々に当たります」
白川 芙優「よろしいのですか?」
扶桑 雅彦「ここは黒崎に任せる」
白川 芙優「かしこまりました」

〇屋敷の門
五十鈴 乃笑「着いちゃったね。楽しい夜だったわ」
日野 寛樹「うん。俺も楽しかった」
柿平 篤臣「お帰りなさいませ」
五十鈴 乃笑「ただいま」
日野 寛樹「お疲れ様です」
日野 寛樹「じゃあ、俺はこれで」
五十鈴 乃笑「なに言ってるの? そばにいてくれるんでしょ」
日野 寛樹「えっ?」
柿平 篤臣「扶桑側の動きが掴めるまでは単独での行動は危険です」
柿平 篤臣「当分の間は五十鈴家本邸でお過ごしください」
五十鈴 乃笑「さあ、入るわよ」
日野 寛樹「ああ・・・うん」
黒崎 東吾「やはり、そうなりますか」
日野 寛樹「あの時の・・・!」
黒崎 東吾「黒崎と申します」
日野 寛樹「何の用だ!」
黒崎 東吾「なに、目的は黄瀬と同じですよ」
日野 寛樹「お前も敵なんだな・・・!」
黒崎 東吾「そうなりますかな。どうされます?」
柿平 篤臣「ここは私にお任せ下さい」
日野 寛樹「柿平さん・・・」
柿平 篤臣「寛樹様はお嬢様のおそばに」
日野 寛樹「分かりました・・・」
柿平 篤臣「さて、ひとつ伺います」
黒崎 東吾「私が答えられることであれば」
柿平 篤臣「乃笑お嬢様をどうなさりたいのですかな」
黒崎 東吾「それは、扶桑様がお決めになることです」
柿平 篤臣「このような強硬策をなぜ取られた」
黒崎 東吾「吸血鬼は忌むべき存在ゆえ」
黒崎 東吾「扶桑様が御自ら出向くことはありえません」
柿平 篤臣「なぜ今になって?」
黒崎 東吾「改元を前にして、鬼胎の憂いを取り除かれようと扶桑様はお考えです」
柿平 篤臣「五十鈴家と本気で事を構える、と?」
黒崎 東吾「扶桑と五十鈴は相容れぬ流れ。矛を交える定めにあるのでしょう」
柿平 篤臣「それが今だと?」
黒崎 東吾「改元を前にして鬼子が成人を迎えた・・・」
黒崎 東吾「成人を待たれたのは扶桑様の御慈悲です」
柿平 篤臣「そのような一方的な論理で五十鈴を相手にするおつもりですか」
黒崎 東吾「それも定めなのでしょう。さて・・・」
黒崎 東吾「話はここまでといたしましょう。私は己が任を遂行します」
黒崎 東吾「参ります!」
黒崎 東吾「豪豪炎斬! 急急如律令!」
柿平 篤臣「焔陣!」
黒崎 東吾「やりますなっ! では此ならば!」
綿貫 清音「させませんっ! 風刃裂破!」
黒崎 東吾「くっ・・・! 護葉方陣! 急急如律令!」
黒崎 東吾「手練れの火使いに風使いですか・・・分が悪いですね」
黒崎 東吾「残念ですが、ここは退きましょう」
黒崎 東吾「急急如律令!」
綿貫 清音「待ちなさい!」
柿平 篤臣「追う必要はありませんよ」
綿貫 清音「・・・はい。差し出がましい真似をいたしました」
柿平 篤臣「いえ、助かりましたよ」
日野 寛樹「柿平さん、綿貫さん・・・!」
柿平 篤臣「屋敷に入るといたしましょう」
柿平 篤臣「敷地内は道明様の結界内。安全です」
日野 寛樹「はい・・・」

次のエピソード:第3話 狩人

コメント

  • 糸本さんこんばんは
    お邪魔します

    柿平さんが好きですここはお任せを!って頼りがいがあって👍
    続きが気になります

  • 属性の戦い、興味深く見させて頂きました。
    吸血鬼、属性の秘術、全体的な魔法のルールはどこまでどうなっているのかつい気になりますね。

  • 美少女吸血鬼の眷属になれるなんて厨ニの夢ですね
    ぇ。今回はほぼ寛樹君はワインを飲んでただけで、優秀な御付きの方に活躍を奪われちゃいましたね。
    一筋縄でいかない相手だと思うので、ここからパワーバランスがどう変わっていくのか楽しみにしています

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