復讐編パート1(脚本)
〇大学病院
・・・・・時が過ぎるのは早いもの。
ゾンビ発生から日は流れ、8月末が近づいていた。
〇倉庫の裏
モブ「安全確保、ヨシ! おーい!!物資を回収するぞー!!」
皆、この厳しい生活にも慣れ、今ではゾンビとの戦いもお手の物。
〇高い屋上
池谷ミツコ「屋上で家庭菜園・・・?」
モブ「はい、外の物資にも限りがありますし、自給自足も目指した方がいいと思うんです」
池谷ミツコ「それはいいですね、皆と相談してみましょう!!」
各々が各々のやり方で、この地獄において生き抜く方法を模索し、生活している。
一方で・・・・・・
〇大きい病院の廊下
アダド・アダムス「お、おいお前!!何食べてるんだ!!それは・・・」
モブ「何ですか!!肉ぐらい食べてもいいでしょ!? 私達はあなたとは関係ありません!!」
アダド・アダムス「・・・・・・くっ!!」
人道同盟はその主義主張の苛烈さが露呈し、徐々に病院内で孤立していった。
完全菜食による偏食、それに伴いアダドを含めたメンバーがストレスを感じやすくなっていた事も含まれるだろう。
〇トレーニングルーム
・・・そんなこんなで、ゾンビパニックという非日常は、いつの間にか彼らの日常へと変わっていた。
橘宏美「98・・・99・・・100!!」
柳生摩耶「はい、それじゃクールダウンに入りましょうね」
橘宏美「ありがとうございま・・・」
橘宏美「・・・づっ!?」
柳生摩耶「ど、どうかしたの!?まさか怪我・・・!?」
橘宏美「いえ・・・なんか最近関節動かすと痛いんですよね」
橘宏美「オーバーワークって程でもないし、何なんでしょうこれ・・・」
柳生摩耶「うーん・・・」
柳生摩耶「あっ、もしかしたら成長痛かもしれないわ」
橘宏美「成長痛・・・俺23ですよ?」
柳生摩耶「大人でも、身体が急速に成長した場合は成長痛が起きる時があるの。宏美くんが鍛えられてる証よ」
柳生摩耶「・・・とはいえ、筋肉や骨に炎症が起きてる事でもあるし、トレーニングはしばらく緩めにしましょうね」
橘宏美「はい・・・ありがとうございます」
〇黒
橘宏美(・・・・・・・・・)
橘宏美(・・・言われてみれば、日々身体能力が高まるのと、精神が活き活きし始めたのを感じる)
橘宏美(それもこれも・・・あの日から)
橘宏美(・・・あいつがゾンビになったと知った日から・・・!!)
〇巨大研究所
〇職人の作業場
アンナベル羽佐間「・・・やはり、橘の坊やとその周囲の人間を追うように行動しているか」
葛城乙葉「この女の子のゾンビがどうかしたんですか?」
アンナベル羽佐間「ああ・・・この女ゾンビはね」
アンナベル羽佐間「・・・橘芽愛」
葛城乙葉「えっ・・・橘ってまさか!?」
アンナベル羽佐間「そのまさかさね、こいつは宏美の妹さ」
アンナベル羽佐間「ゾンビ化して知性が無いにも関わらず、こいつは兄である橘の坊やを追うかのようにその姿を現す・・・」
アンナベル羽佐間「それだけでも気になるが、一番の謎は橘芽愛がここまで無傷で生存している事さね」
葛城乙葉「それって・・・凄いんですか?」
アンナベル羽佐間「ゾンビはその肉体を維持する為に、膨大なエネルギーを求める。その過程で当然共食いも行う」
アンナベル羽佐間「そうなれば力の弱い女子供のゾンビが真っ先に犠牲になる。ゾンビが野郎ばっかなのはその為さね」
葛城乙葉「にも関わらず彼女は・・・今まで生き残っている、と」
アンナベル羽佐間「変異も起こさない第一形態のままで、ね。まったく何者なんだい彼女は・・・」
アンナベル羽佐間「・・・いや」
アンナベル羽佐間「・・・もう変異を起こしているとしたら?」
葛城乙葉「え・・・っ!?」
橘宏美「こんちにはー、そして失礼しまーす」
アンナベル羽佐間「おお、噂をすれば・・・」
橘宏美「?」
橘宏美「まあいいや・・・頼まれてた物、もう出来てるんですよね」
アンナベル羽佐間「ああ、これだよ」
アンナベル羽佐間「エンジンの出力を上げて回転数を上げた。そして回転と衝撃に耐えられるよう、銃のパーツも流用して強度を高めている」
アンナベル羽佐間「まあ、その分重量は増したが・・・あんたらなら使いこなせるだろうよ」
橘宏美「・・・ありがとうございます」
橘宏美「・・・持ってみれば解る、こいつのパワーも、威力も・・・!!」
葛城乙葉「苦労したんですよ?集めてきた規格も製造元も違うパーツを組み合わせて、一つのチェーンソーにするの・・・」
橘宏美「・・・それは迷惑をかけたよ、本当にごめんなさい」
葛城乙葉「それでいて動くよう仕上げて、ここまで強化する羽佐間さんの技術力も、流石を通り越して怖いです・・・」
葛城乙葉「一体、どこでそれ程の技術と経験を・・・?」
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