第一話「喧嘩に巻き込まれたら選択コマンドが出て来たんですけど」(脚本)
〇学校の廊下
速水泰星(高校に入学して数か月・・・)
速水泰星(冴えない僕、速水泰星(はやみたいせい)は地味に目立たないように暮らしていた)
速水泰星(唯一の楽しみと言えば)
速水泰星(たまに校舎ですれ違う 学園一のアイドル──)
速水泰星(高岡莉乃(たかおかりの)ちゃんを 眺めることくらいだ)
〇階段の踊り場
高岡莉乃「あ・・・」
速水泰星「り、莉乃ちゃん!?」
高岡莉乃「ん? 私?」
速水泰星(り、莉乃ちゃん・・・!)
速水泰星(こんなところで会えるなんて 今日はラッキーだ)
高岡莉乃「キャ・・・!」
速水泰星「えっ!? 危ないっ!」
落ちて来た莉乃を抱き止め
尻もちをつく。
速水泰星「いたたっ・・・」
高岡莉乃「ご、ごめんなさい」
速水泰星「い、いや・・・これくらい」
高岡莉乃「デートしてください」
速水泰星「え? ・・・は?」
高岡莉乃「あ、間違えた」
速水泰星「間違えた?」
高岡莉乃「あ、その、大丈夫です。 うん、むしろちょうどいいかも」
速水泰星「ちょっと言っている意味が・・・」
高岡莉乃「大丈夫っていうのは そのままの意味でいいってことです」
高岡莉乃「じゃあ デートは来週末でお願いします」
速水泰星「え? つまりそれって──」
速水泰星(え、これって・・・ え、うそ、マジ? やったー!!!)
不良A 「あいたた・・・骨折したわ、これ」
速水泰星「え? いや、あの──」
不良B「お前、ちょっといいか?」
速水泰星「へ・・・?」
〇体育館の裏
不良A 「お前、病院代払えよ。 こっちは大けがしたんだからな」
速水泰星(莉乃ちゃんからデート誘われたのに)
速水泰星(落差が激しすぎる・・・)
不良B「金を全部出すか? 俺らにボコられるか? どっちにする?」
速水泰星「あ、あの、その・・・」
不良たちに囲まれた。
どうする?
1 笑う
2 なでる
速水泰星(な、なにこれ!?)
速水泰星(まるでロールプレイングゲームの コマンドだ!)
不良A 「おい。いい加減にしろよ。どこ見てやがる」
速水泰星(どこって・・・こいつらには この文字が見えてないのか・・・!)
不良B「おい、お前。さっきからなんで 黙ってるんだ。なんとか言え」
速水泰星(って言われても・・・ そもそも不良に囲まれて)
速水泰星(選択コマンドが【笑う】と【なでる】って おかしいでしょ!)
不良A 「ぶっ飛ばれたいのか?」
速水泰星(てか、身体が動かないんですけど! なんで?)
不良B「いい度胸だ。歯を食いしばれ」
速水泰星(ああっ! もういいや! こっち!)
速水泰星「あはは・・・あははははっ!」
不良A 「! な、なんだ? 何がおかしい!?」
速水泰星「あっはっは! おっかしい~!」
不良B「お、おかしいのはお前だ!!」
速水泰星「うわぁぁぁ!!!」
〇街中の道路
速水泰星(イテテ・・・)
速水泰星(なんだったんだ、さっきのコマンド。 僕にしか見えないのか?)
ウエイトレス「こんにちは~! いまオープニングイベントやってますので良かったら是非」
速水泰星「いや、僕は別に──」
ウエイトレスがチラシを渡そうとしている
どうする?
1 笑う
2 なでる
速水泰星(! ま、また出た!)
ウエイトレス「こちらどうぞ~」
速水泰星(ど、どうなってんの!? これ! また身体が動かないんですけど)
速水泰星(てか状況変わっても、 コマンドは変わらないんかい!)
ウエイトレス「あの~、どうしました?」
速水泰星(ダ、ダメだ! 声も出せない。 また選ばなくちゃいけないって ことか・・・)
速水泰星(なら、こっちだ!)
ウエイトレス「ひぃ・・・! 急に頭をなでないでください! 変態!」
速水泰星(・・・まあそりゃそうだよね・・・)
〇学園内のベンチ
速水泰星(な、なにがどうなってんだ?)
速水泰星(昨日からことあるごとにコマンドが 出るようになっちゃった・・・)
速水泰星(しかもどんな状況でもコマンドは 【笑う】と【なでる】だけって・・・)
速水泰星(来週は莉乃ちゃんとのデートもあるのに)
速水泰星(このままじゃ確実に 変態認定されちゃうよ・・・)
中田雷神「何かに困っているようだな」
速水泰星「え? 誰ですか?」
中田雷神「三年の中田雷神(なかたらいじん)だ。 困っているなら手を貸すぞ」
速水泰星「ていうか、なんで僕が困ってるって わかったんですか?」
中田雷神「と、とにかく何か困っていることが あるのか、ないのか、どっちだ?」
速水泰星「えーと、それは・・・」
先輩が質問してきた。
どうする?
1 笑う
2 なでる
速水泰星(ひぃ・・・! また出た!)
中田雷神「おい。どうした・・・?」
速水泰星(ああっ! もうこっちでいいや!)
中田雷神「もしかしてお前・・・」
速水泰星「あはははっ! あーはっはっは!」
中田雷神「! こちらとまるで噛み合っていない 異常な反応・・・」
中田雷神「二か月前の俺と同じだ。 もしかして、お前もコマンド使いか?」
速水泰星「え? もしかして先輩も見えるんですか?」
中田雷神「ああ。お前を見つけたのも」
中田雷神「【困っている人を見つける】っていう コマンドを選択したからだ」
速水泰星「そんなコマンドもあるんですか!?」
中田雷神「お前、最近コマンド使う奴に遭ったか?」
中田雷神「この力に目覚めるときは、同じように コマンドが見える奴に遭遇したときらしい」
速水泰星「いや、そんな人には遭ってません」
中田雷神「お前、いまコマンドはいくつ見える?」
速水泰星「2つです。【笑う】と【なでる】だけです」
中田雷神「なるほどな・・・ まだ力に目覚めたばかりか」
速水泰星「先輩は何個見えるんですか?」
中田雷神「俺は32個だ」
速水泰星「さ、32!?」
中田雷神「お前はどうなのかわからんが 俺はコマンドが出る度に正しい選択を することで、レベルアップしたんだ」
速水泰星「レベルアップ!? じゃ、じゃあ コマンドは増やせるんですね!?」
中田雷神「そうだ。コマンドを消す方法も 探していたが、途中で諦めた」
中田雷神「というより、うまく使えば このコマンドは便利だしな」
速水泰星「先輩・・・!」
速水泰星「あの、僕を弟子にしてください!」
中田雷神「なにっ!?」
速水泰星「来週、好きな人とデートがあるんです!」
速水泰星「その時に今のコマンドしかなかったら、 絶対困るのが目に見えています」
速水泰星「コマンドを増やしたいんです!」
中田雷神「しかしなぁ・・・」
速水泰星「これも大きな人助けですよ! 先輩のコマンドも増えるはずです」
中田雷神「よし・・・わかった。 その代わり、俺は結構、荒療治だからな」
速水泰星「はい・・・!」
中田雷神「よし。 じゃあ手始めに女子に告白してみるか」
速水泰星「はい!」
速水泰星「・・・へ?」
二話へ 続く
選択が二つしかないのは悲しすぎません、?
しかも笑うと撫でるって、コマンドさん……どういうセンスをしてるのでしょう?
こんにちは
この話ずっと気になっててやっと読みに来れました
コマンドが笑うとなでる!?徴発しか出来ないようで困りますね😂でもまだ、怒るじゃないだけましだったかも、、、