〇血まみれの部屋
依頼人「うっ・・・ううっ・・・。お父さんっ・・・お母さんっ・・・お姉ちゃん・・・」
依頼人「許さない・・・!!絶対に許さない!!」
依頼人「私の家族を殺したあの男を!!絶対に!!」

〇廃ビルのフロア
依頼人「ここで・・・合ってるのかな・・・？」
ホールインワン「ああ、合っている」
ホールインワン「初めまして。お嬢さん。私がホールインワンだ」
依頼人「あなたが暗殺集団ゴルフクラブのリーダー？」
ホールインワン「そうだ」
依頼人「お願い。私の大切な家族を殺したあの男を殺してほしいの!!」
ホールインワン「それ相応の報酬を君が用意できるのならば、我々も引き受けよう」
依頼人「もちろん。一生かかっても必ずお支払いします」

〇西洋の円卓会議
ホールインワン「諸君、よく来てくれた。今宵のターゲットを紹介しよう」
アルバトロス「よっ!!待ってましたー!!」
アルバトロス「いやー、ひっさしぶりの依頼だなー!!」
バーディー「アルバトロス。落ち着きなさい。まずは、どんな内容か聞いてからの方が良いんじゃないかしら？」
アルバトロス「どんな仕事ってそりゃ決まってるだろ。悪い奴をぶちのめすんだよ」
バーディー「だから内容もまだ聞いてもいないのに、はしゃぐのは、まだ早いって言ってるの」
イーグル「俺はどんな依頼でも、一撃でターゲットの頭を狙撃するだけだから」
バーディー「あんたはね」
ボギー「どうでもいいですが、さっさと終わらせましょうよ。時間の無駄です」
アルバトロス「ボギーは相変わらずせっかちだなー。まだ子供なのに、そんなに生き急ぐなよな。子供らしく遊具で遊んでろよ」
ボギー「私にとっては、この子達が遊び道具ですから」
アルバトロス「おー、怖い怖い。お前の仕掛ける罠は人殺しの道具だからな」
パー「俺・・・日課のトレーニング中だった・・・。俺も早く帰りたい」
ボギー「パーは、本当に脳みそまで筋肉で出来てますね」
パー「褒めるなよ。照れるだろう」
ボギー「いや、褒めてませんよ。馬鹿にしてるんですよ」
ホールインワン「あ、あの・・・そろそろいいかな？」
ボギー「どうぞ」
ホールインワン「今回のターゲットは、斎藤正信。皆も名前くらいは聞いた事があるだろう」
バーディー「そりゃね。斎藤財閥の会長だからね。有名人じゃない」
ボギー「あー、なかなか骨が折れそうな仕事ですね」
ボギー「財閥の会長って事は、警備も厳重でしょうし」
ホールインワン「ターゲットを始末する方法は、君達に任せよう。話し合って決めてくれていい」
アルバトロス「はいはーい!!俺俺!!俺やりたーい!!」
バーディー「あんた一人で？ 私が会長に色仕掛けで近づく方が早いんじゃないかしら？」
イーグル「いや、俺が狙撃するのが一番早い」
ボギー「いえいえ、私の仕掛けた罠にひっかかるのを待つ方が時間効率が良いです」
パー「正面から乗り込んで、警備の奴らごと潰せば早い」
ボギー「これだから脳筋は・・・」
アルバトロス「俺が早い!!」
パー「いや、俺だ!!」
ボギー「私の方が効率良いです!!」
バーディー「だから私が色仕掛けした方が早いわ!!」
イーグル「俺の狙撃が早い」
ホールインワン「あ、あのー・・・揉めないでくれるかな？」
パー「ここで誰が最強か決着つけるか？」
アルバトロス「おー、望むところだ。筋肉馬鹿」
ボギー「どう考えても私が最強ですけどね」
イーグル「いや、俺でしょ」
バーディー「私よ」
ホールインワン「もー!!皆揉めないでよ!!」
ホールインワン「わかった、わかったよー」
ホールインワン「じゃあこういうのはどう？」
ホールインワン「皆同時にせーのでスタートして、早く斎藤を殺した奴の勝ちってことで」
ホールインワン「報酬は皆仲良く均等に。ね？それでいいよね？」
ホールインワン「もー!! そうじゃないと、ワンちゃん困っちゃう」
アルバトロス「ごめんね？ワンちゃん」
ボギー「ワンちゃん。お疲れ様です」
ホールインワン「うん。わかってくれたらいいんだー」
バーディー「ホールインワン。あなた、キャラが台無しよ」
ホールインワン「うっ・・・。しまった。私はクールでミステリアスなリーダーだった」
ホールインワン「今のは聞かなかったことにしてくれ」
バーディー「はいはい」
ホールインワン「それでは、諸君の活躍に期待する」

〇日本庭園
斎藤「今日も茶が美味い」
バーディー「斎藤さん。こんにちは」
斎藤「おお、君か。いやー、今日も君は美しいね」
バーディー「ふふっ、ありがとう」
斎藤「どうだい？今日は、うちに泊まっていかないか？ 何なら同じ部屋で寝るのもいいだろう」
バーディー「あら、素敵。 ねえ、斎藤さん。もっと私の近くにきて」
斎藤「ぐふふ」
バーディー「そう。そのまま・・・」
斎藤「ひぃいいいいーーー」
バーディー「チッ。外したわ。逃げ足が速いわね」
バーディー「でも・・・」
イーグル「角度、風、問題なし」
イーグル「発射!!」
イーグル「あっ・・・」
斎藤「うわあっ!!」
ボギー「ふふんっ。私の罠。転倒石です。 これで頭を打って死んでください」
斎藤「ひぃいいいいいーーーー!!」
ボギー「あ、逃げた」
パー「筋肉は好きか？」
斎藤「な、なんだー!?何なんだ、お前ら!!」
斎藤「クソっ!!警備は!? 警備はどうなっている!?」
パー「全員俺がぶちのめした」
斎藤「ひぃいいいいい!!!!」

〇川沿いの公園
斎藤「はあはあ・・・」
斎藤「ここまで逃げれば大丈夫だろう」
アルバトロス「ねえ、おじさん。どうしたの？ そんなに汗だく、血まみれになってさ。大丈夫？」
斎藤「ああ。変な奴に襲われてな」
アルバトロス「それってさ、女とか子供とか銃弾が飛んできたり、虎マスク被った筋肉の男だったりする？」
斎藤「ああ、どうしてそれを・・・」
斎藤「ま、まさか・・・」
斎藤「うっ・・・。お前も・・・か・・・」
アルバトロス「彼女の大切な家族を奪った罪、その命を持って償えよ」

〇廃ビルのフロア
ホールインワン「依頼は達成した。斎藤は始末した」
依頼人「ありがとう。ニュースで見たわ」
依頼人「公園で無残に切り刻まれた斎藤が発見された。でも目撃者は誰もいない」
依頼人「流石は暗殺集団ゴルフクラブね」
ホールインワン「当然だ。証拠は残さない。それが我々だ」
ホールインワン（あの公園の人払い、本当に大変だったんだよー!!あの子達無茶苦茶するから、全部尻ぬぐいは私がしてるんだから!!）
ホールインワン「・・・・・・」
依頼人「どうしました？」
ホールインワン「いや、何でもない」
ホールインワン「ところで約束の報酬だが」
依頼人「そうですね。1000万円ですね。 少しずつですが、必ずお返しします」
ホールインワン「・・・君の笑顔を見せてくれないか？ 笑ってくれ」
依頼人「え？」
ホールインワン「家族を亡くした君は、さぞ辛いだろう。 だが、亡くなった君の家族は、君が笑って生きている姿を見たいはずだ」
ホールインワン「だから笑ってくれ。 君の笑顔には、1000万円以上の価値がある」
依頼人「・・・はい」
ホールインワン「強く生きてくれ。報酬はそれだけでいい」
依頼人「いいんですか？」
ホールインワン「ああ」
依頼人「ありがとう」

〇西洋の円卓会議
ホールインワン「ということで、彼女から報酬は貰わないことにした」
アルバトロス「そりゃそーだ。家族を殺されて、たった一人生き残った可哀想な女の子から金なんて取れねえよ」
バーディー「まあいいんじゃないかしら」
ボギー「私もかまいませんよ。別にお金には不自由してませんから。天才の私は、道具を作って荒稼ぎします」
イーグル「まあ俺、外したし、何も役立ってないし」
パー「良い筋トレになった。筋肉が喜んでいる。 それだけで満足だ」
ホールインワン「良かった。皆ありがとう。優しいね」
ホールインワン「これからも人の為に、沢山の悪い奴を殺していこう」
ボギー「はい！」
パー「おう!!」
イーグル「了解」
バーディー「そうね」
アルバトロス「おう、そうだな」
ホールインワン（よかったー。皆、金にうるさくなくて）
ホールインワン「ちょっと言い出しにくかったんだよね」