真昼の吹雪

危機綺羅

1.真冬の姫君(脚本)

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〇教室
???「──おはようございます」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「ああ、おはよう」
  このクラスには真冬の姫君と呼ばれる女の子がいる
  同じ身分とは思えない生まれついての美貌
  真冬のように冷たい態度
  彼女がそう呼ばれるようになるのは、必然だったのかもしれない
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「・・・待ちなさい」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「なんでしょうか、先生?」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「遅刻だ。堂々と席に行こうとしないように」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)(そして、その真冬の姫君とは私のことではない)
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「というか、なんだその髪の毛は!? 昨日までとまるで違うじゃないか!」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「そ、そんなことありません! 私は産まれた時からこの髪の毛です!」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「産まれた時から知ってる大人に、そんな嘘をつくんじゃない!」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「──というか、それカツラだろ。没収だ!」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私のジョセフィーヌが!」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「カツラに名前をつけるな」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「色々話があるから、あとで職員室まで来るように」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「そ、そんな・・・私たち教師と生徒だし・・・!」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「もういいから座れ」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「まったく・・・」
???「・・・」

〇散らかった職員室
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「──真昼、お前の奇行は今に始まったことじゃないけどな」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「今回は悪質だぞ。クラスメイトの真似して、遅刻ごまかすなんて」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「誤解だよ、太陽ちゃん! 私は真似したんじゃないの」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「学校では先生と呼びなさい」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「・・・じゃあどういうつもりだったんだ?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私はただ──」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「あの子と取って代わってやろうと思って」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「悪質も悪質じゃねえか! 妖怪かお前は!?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「いやいやいや、私がなりたいのは真冬の姫君にだよ」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「真冬の・・・なに?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「知らないの?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「九冬吹雪ちゃんはね、密かに真冬の姫君と呼ばれて人気なんだよ」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「九冬がなぁ・・・」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「それで、お前はその真冬の姫君になりたいって?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「そうだよ。私も真冬の姫君として、尊敬と注目を集めたいの!」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「そんなもんにならなくても、お前は先生方から注目されてるぞ」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「それは監視っていうんだよ」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「分かってるなら、これ以上変なことをするな」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「九冬にも色々事情があるんだ。迷惑かけないようにな」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「任せて!」
常夏 太陽(トコナツ タイヨウ)「何個持ってるんだ、それ!? 没収だ!」

〇教室
クラスメイト「あの、九冬さん」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「なに?」
クラスメイト「その、なに読んでるのかなって」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「私がなにを読んでいようと、あなたには関係ないと思うけど」
クラスメイト「そ、そうだよね・・・ごめんね・・・」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「ちょいちょい」
クラスメイト「真昼ちゃん?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私にも同じこと訊いてくれる?」
クラスメイト「え? ・・・えっと、なに読んでるの?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私がなにを読んでいようと、あなたには関係ないと思うけど」
クラスメイト「・・・」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「なんで叩くの!?」
クラスメイト「なんで叩かれないと思ったの?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「九冬ちゃんと反応が違う!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「・・・」

〇教室
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「常夏さん、ちょっと一緒に来てもらえる?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「え、そんな・・・私たち女同士なのに・・・」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「いいから、こっちに来て!」

〇体育館裏
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「──あなた、朝からどういうつもりなの?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「見ててわからなかったかな?」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「これ以上見ていられないから訊いてるのよ」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「真冬の姫君になりたくて!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「真冬の・・・なに?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「九冬ちゃんの通り名だよ」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「は、はぁ!? 私、そんな風に呼ばれてるわけ?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「九冬ちゃん、綺麗だけど冷たいからね!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「はっきり言うわね・・・別にいいけど・・・」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「よくないよ!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「き、急になに!?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「この際だから言うけどね、私、九冬ちゃんのせいで迷惑してます」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「私もあなたのせいで迷惑したんだけど」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私の行動は、すべて九冬ちゃんによって引き起こされてます」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「人のせいにしないでくれる?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「九冬ちゃんが人に冷たくするせいで、真冬の姫君になってるんだよ!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「は?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「九冬ちゃんが優しい人なら、今頃は私が真冬の姫君だったはず・・・」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「その自信、どこからきてるの・・・?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「真冬の姫君になりたいからって、人に冷たくしないで!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「そんな名前で呼ばれたいの、あなたくらいよ!」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「じゃあなんで冷たくするの!?」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「それは・・・」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「なんだっていいでしょ。これ以上、私に構わないで」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「ダメ! 今日一日過ごしてわかったの・・・」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私が冷たくなるより、九冬ちゃんを温かくする方が早いってね!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「・・・なに?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「私、絶対に九冬ちゃんを真冬の姫君の座から引きずり降ろすからね!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「それ、どういう意味──」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「言うだけ言って帰った・・・!」

〇綺麗な一戸建て
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「おはよー!」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「今日も良い天気だね。さあ学校へ行こう!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「なんで家を知ってるの?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「やだなー、昨日一緒に帰ったじゃん」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「帰ってないわよ!? あなた、言うだけ言って一人で帰ってたじゃない!」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「まあまあ、細かいこと気にしないでさ」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「自宅を知られるのは細かくないでしょ・・・」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「今日から一緒に登校するんだよ? 家くらい別にいーじゃん!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)「・・・一緒に?」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「言ったでしょ? 九冬ちゃんが温かくなる方が早いって」
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「どんどん仲良くなって、人当たりを良くしていこうね!」

〇空
常夏 真昼(トコナツ マヒル)「ちょっと、歩くの早いってばー!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ))「早くしてるのよ。私に構わないで」
常夏 真昼(トコナツ マヒル))「ははーん・・・そう簡単に、真冬の姫君の座は譲らないってことだね!」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ))「あなたと一緒にいたくないだけよ!」
常夏 真昼(トコナツ マヒル))「その冷たさ、さすがと言ったところだね。私も負けてられないなー」
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ))「構わないでってば!」

次のエピソード:2.吹きすさぶ雪の名前

コメント

  • でこぼこコンビ?のテンポのいい掛け合いが素敵です☺️
    キャラがすごく活きてると思います。

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