〇黒
　　『大丈夫だ』
　　『俺なら助けられる』
　　『大丈夫』
　　『大丈夫』
　　『大丈夫』
？？？「・・・」
　　『・・・え？』
聖美「・・・」
　　今、なんて・・・？

〇黒背景
海斗「・・・！」
海斗「・・・！」
男「・・・」
海斗「・・・！」

〇黒背景

〇白

〇沖合
海斗「・・・！」
海斗「はあっ・・・はあっ・・・はあっ！」
大倉「海斗さん！」
海斗「早く！ボートに乗せろ！」
大倉「はい！」
海斗「はあっ・・・はあっ・・・」
大倉「海斗さんも！」
海斗「俺はいい！早く陸に！急げ！」
大倉「は、はい！」
海斗「・・・」
海斗「・・・」

〇空
海斗「助けた・・・」
海斗「ちゃんと助けたぞ・・・」
海斗「・・・え？」
海斗「・・・」
海斗「・・・」

〇沖合（穴あり）
海斗「・・・闇」
海斗「上がっても上がっても」
海斗「闇の底」
海斗「ははっ・・・」
海斗「はははっ・・・はははは・・・」

〇空
海斗「はははは・・・ははははは・・・」

〇黒
　　救命王子

〇海水浴場
田町「意識もはっきりしてた。もう大丈夫だろう」
田町「さすがは海斗さんだ」
大倉「はいはい。今日も素敵ですね～」
田町「イヤミ言う元気あるならお前ももっとふんばれ」
大倉「ふんばってボート飛ばしたでしょ」
大倉「お疲れ様っす。少し休んで下さい」
海斗「いや。監視に戻る」
大倉「無理しないで下さい。体力回復もお仕事のうちっすよ」
田町「お～！言うようになったね～」
大倉「口だけはねえ～」
海斗「じゃあ少し休ませてもらうよ」
田町「いくぞ大倉」
晴香「・・・」
大倉「ん？」
大倉「何か用？」
晴香「前、失礼しまーす」
晴香「あの！よかったら、これ飲んで下さい！」
晴香「水分補給、大事ですよ」
海斗「ありがとう。気持ちだけ受け取っとくよ。じゃあ」
大倉「今日も気持ちだけだったね！じゃあ！」
夏樹「これで連敗か。そろそろ諦めたら？」
晴香「うん。無理～」

〇テントの中
砂原「ひゃひゃひゃひゃ！」
海斗「あ、また」
砂原「ああん？」
海斗「関係者以外立ち入り禁止だと何度も」
砂原「お前らだって余所者だろ」
砂原「真面目に仕事してるかどうかチェックしに来てんだよ。地元民としてはな」
海斗「・・・」
砂原「ところでこの雑誌はあれ？宣伝用？」
砂原「それとも自慢？」

〇何もないフロア
　　『特集！日ヶ岬ビーチの救命王子』
　　一般の方も簡単な心肺蘇生法や救命処置を学んで頂く事で、海をもっと安全に楽しむ事が出来ます

〇テントの中
砂原「か・・・カッコいい！」
海斗「暇潰しなら他所で遊んで下さい」
砂原「暇じゃねーよ」
砂原「うちの団長が今夜ＢＢＱでもどうですか～？」
砂原「つって」
砂原「我々青年団とおたくらライフセーバーさんの親睦を深めませんか～」
砂原「つって」
海斗「まあ、お気持ちだけ」
砂原「あ？」
砂原「なんだと、この野郎」
砂原「いいから黙って出ろや。ああ？」
海斗「・・・」
砂原「お前ら、日ヶ崎青年団の好意に泥塗るつもりじゃねーだろうな」
海斗「そ、そういう意味では」
砂原「この海は今だって十分、俺達青年団が仕切って守っていってるんだよ。妙な派遣会社がデカい面して歩き回るんじゃねえ」
海斗「・・・」
砂原「ってのは俺の意見だが、まあ団長は寛大なお人だからよ」
砂原「気持ち汲む気があんなら酒でも持って参加しやがれ」
海斗「わ、分かりました。是非」
砂原「フン。邪魔したな」
海斗「・・・」
海斗「・・・」
海斗「何が・・・」

〇黒
　　『何が・・・』

〇海辺
　　『助けて！助けてください！誰か！』
海斗「どこだ！」

〇沖合
　　『息子が・・・息子が溺れて・・・！』
海斗「今、行きます！」
海斗「必ず助けます！」
　　『何が・・・』
　　『何が救命王子だ』
海斗「・・・！」
　　『笑わせんなよ。お前は・・・』

〇沖合（穴あり）
　　『お前はただの・・・』
？？？「人殺しだ」
海斗「・・・」
？？？「ふふっ・・・ふふふ」
海斗「ふふふ・・・」
「ははははは・・・」

〇黒背景
　　『助けて！息子を助けて！』

〇黒
　　『助けて！助けて！助けて！』
海斗「大丈夫」
海斗「今助けるよ」
海斗「俺が」
海斗「この俺が」
海斗「ははっ」
海斗「はははは・・・」
海斗「あははははははははははははははははは！」
　　続く