弟愛(ぶらこん)な騎士団長殿

セーイチ

エリシアの驚喜(脚本)

弟愛(ぶらこん)な騎士団長殿

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〇貴族の応接間
ラン「・・・」
セリファ「・・・」
ガロ「朱凰騎士団小隊長ガロ、団長殿の命によりアリエイル様をお連れしました」
セリファ「!?」
ラン「入れ」
セリファ「あぁ、アリエイル!」
アリエイル「お母様、お父様、申し訳ございません・・・」
アリエイル「僕がお2人から離れたばかりに・・・」
セリファ「良いのよ、アナタが無事ならそれで」
ラン「ガロ殿だったか、ご苦労だった」
ガロ「いえいえ、団長殿の命令ですから」
ガロ「ああそうだ」
ガロ「アリエイル様はお怪我をされているので、セリファ様に診て頂くようにと団長殿が・・・」
セリファ「まぁ!大変!」
セリファ「アリエイルこちらへ、すぐに治療しましょう」
アリエイル「はい、お母様」
アリエイル「あ、ガロさん」
アリエイル「ありがとうございました」
ガロ「どういたしまして」
ラン「すまんな、夜分に盗賊団の捜索などさせてしまって」
ガロ「いえいえ、我々は道を塞いでいただけで」
ガロ「殆ど団長殿が1人で片付けてしまわれましたよ」
ラン「エリシアが・・・」
ガロ「バカな盗賊団っすよ」
ガロ「一番怒らせちゃいけない人の逆鱗に触れてるんだから」
ラン「・・・そうか」
ラン「それでエリシアは?」
ガロ「残党狩りをするみたいっす」
ガロ「かなり怒ってるようなので、残党どころか周囲の族は一掃されそうっすね」
ラン「わかった、コチラはもう大丈夫だ」
ラン「エリシアを手伝ってやってくれ」
ガロ「承知しました」
ラン「ガロ殿・・・」
ガロ「はい?」
ラン「エリシアを宜しく頼む」
ガロ「はい、お任せ下さい」
ガロ「それでは、失礼します」
ラン「・・・」
ラン「たった一年会わない内に・・・」
ラン「子供の成長とは親の想定を軽く超えて行くな」

〇貴族の部屋
「うぅ・・・ん・・・」
エリシア「・・・」
エリシア「・・・もう朝か」
エリシア「・・・」
エリシア「結局、一晩どころか一日以上かかってしまったな」
エリシア「おかげで一帯に潜伏していた族は一掃できたが・・・」
エリシア「あぁあああ・・・アリィィイイイ・・・」
エリシア「一年ぶりの再会だったのに、まさか出発の時間に間に合わないとは・・・」
エリシア「あぁ~もっとお話したかった!触れ合いたかった!スリスリむぎゅむぎゅしたかったーー!!」
エリシア「・・・」
エリシア「・・・はぁ」
エリシア「まさかお別れもできないとはなぁ」
エリシア「む!?あいつ、やっと学習したか」
エリシア「開いている、入れ」
アリエイル「おはようございます、お姉様」
エリシア「・・・」
エリシア「・・・!?」

〇西洋の城
「えぇええええええ!?」

〇貴族の部屋
セリファ「おはよう、エリシア」
エリシア「お、お父様、お母様、昨日帰られたのでは?」
セリファ「何を言ってるのは、アナタに挨拶もせずに帰る訳ないじゃない」
ラン「お前が目を覚ますまで待ちたいとセリファとアリエイルが言うのでな」
セリファ「だって丸一日以上お仕事をしていたんですよ?起こすのも可哀そうじゃないですか」
エリシア「も、申し訳ございません」
エリシア「てっきりお帰りになったと思い込み、確認もせず・・・」
セリファ「良いのよ、一人だけ不眠不休で戦っていたのでしょう?」
セリファ「それに領土の運営は安定しているし、一日遅れた所でどうという事は無いわ」
ラン「俺としても直接説明した方が良いと思ったのでな」
エリシア「説明、ですか?」
ラン「ああ、今日からだが・・・」
ラン「アリエイルを、お前に預けようと思う」
エリシア「・・・え?」
エリシア「アリエイルを・・・私に?」
ラン「そうだ」
エリシア「え、あ、そ、それは、い、いったい・・・」
ラン「落ち着けエリシア」
ラン「前々からアリエイルを王都の国立学校へ通わせるつもりだった」
ラン「今後バベル家の嫡男としての学びを得るには、国内最高峰の王都国立学校へ入学するのが理想だからな」
ラン「しかし俺は領土を離れる訳にはいかん」
ラン「アリエイル自身が身を護れるようになるか、エリシアが一人前になるまで待とうと思っていたのだが・・・」
ラン「少なくとも、俺の下に居るよりもエリシアの監視下に居た方が安全だという事が分かったからな」
エリシア「お父様・・・」
ラン「そんな顔をするな、別に己を卑下しているわけではない」
ラン「子が親を超えたのだ、これほど嬉しいことはないだろう」
エリシア「そんな、私などまだまだです・・・」
エリシア「それに、今年度の国立学校への入学試験はとうに終わっていますが・・・」
ラン「問題ない」
ラン「すでに去年の内に試験には合格し、遠方の為に入学時期を配慮して貰っている状態だ」
エリシア「去年って・・・確か国立学校の平均入学年齢は10歳だったはず・・・」
エリシア(賢いとは思っていたけれど、やっぱりアリィは天才だったんだ)
エリシア(あぁアリィ・・・褒めてあげたい、よしよししてあげたい、ご褒美にちゅ~してあげたい・・・)
ラン「手続きは済んでいる、後は頼んだぞエリシア」
セリファ「アリエイルを宜しくね、エリシア」
エリシア「・・・はい!お任せ下さい!」
アリエイル「宜しくお願いします、お姉様」
エリシア「あぁ、私に任せておけ」

〇ハート
エリシア(あぁああ・・・まさか、まさかアリエイルと2人で暮らせるなんて、夢みたい・・・)
エリシア(早速アリィ用の食器や家具を揃えなければ)
エリシア(後で一緒にお出かけしよう、アリィとのデートだぁ~♪)
エリシア(取り合えずベッドは一つで良いな。今でも私一人じゃ大きすぎるくらいだし、枕さえあれば・・・)

〇貴族の部屋
エリシア「今夜は寒いだろうアリエイル、もっとコチラに寄りなさい」
アリエイル「はい、お姉様」
  ぎゅ~~~♪

〇貴族の部屋
エリシア「うふ・・・うふふ・・・♪」
アリエイル「お姉様、どうかされましたか?」
エリシア「い、いや、何でも・・・」
ラン「アリエイルの部屋はエリシアの隣にして貰った、必要な物も手配済みだ」
エリシア「・・・え?」
ラン「そこまでエリシアの手を煩わせる訳にはいかんからな」
セリファ「良かったわねエリシア」
エリシア「あ、ありがとう・・・ございます・・・」
エリシア(お父様~!それは、いらぬ世話なのですぅ~!!)

〇貴族の部屋
エリシア「はぁ・・・せっかくアリィと2人で同じ部屋に住めると思ったのに・・・」
エリシア「いや、今まで離れ離れだったと思えば大きな前進だ」
エリシア「早速、食事にでも誘って・・・」
エリシア(ア、アリィ?)
エリシア「ど、どうぞ」
衛兵「失礼します!バベル騎士団長殿!国王陛下がお呼びであります!」
エリシア「・・・」
エリシア「分かった、すぐにお伺いする」
エリシア「・・・・・・ふぅ」

〇城の会議室
エリシア「朱凰騎士団団長エリシア・バベル、まかりこしました」
国王陛下「おお、我が国の「守り神」よ、昨日の掃討戦大儀であったな」
オラキア「何を仰います陛下、そもそも王都の治安維持は朱凰騎士団の管轄」
オラキア「今までの怠慢の帳尻合わせをしただけでありましょう」
国王陛下「まぁまぁオラキア卿、結果的に族を一掃できたのは事実なのだ」
エリシア「いえ、オラキオ卿の仰る通りでございます、全ては私の不徳の致すところ」
国王陛下「エリシアもそう畏まるな」
国王陛下「今会議が終わるところだ、褒美を取らすので玉座の間へ向かおう」
エリシア「玉座の間、でございますか?」
国王陛下「この場で渡しても良いのだがな、まぁ形式は大切だという事だ」
エリシア「・・・は、はぁ」

〇謁見の間
国王陛下「では朱凰騎士団の団員にも、個々に褒美を与えておく」
エリシア「恐縮でございます」
国王陛下「それで・・・な」
エリシア「やはり何かお話が?」
国王陛下「そうだな、ここならワシが許可を出さん限り誰にも聞かれる恐れはない」
エリシア「他聞をはばかるお話だと?」
国王陛下「エリシア、お前は最近隣国から流れてくる族共をどう思う?」
エリシア「・・・不可思議、ではあります」
エリシア「自惚れるつもりはございませんが・・・」
エリシア「我が王都より違法活動に適している都市は、他にいくらでもあろうかと」
国王陛下「同感だ」
国王陛下「朱凰騎士団は我がビルトニア国の誇り、その力は世界でも有数だと確信している」
国王陛下「自ら危険地域に身を寄せる無法者もおらんだろう」
国王陛下「それなのに、報告されただけでも十以上の族共が流れてきている」
国王陛下「それも検問に一切かかる事無く、だ」
エリシア「申し訳ございません」
国王陛下「いやエリシアを責めたいのではない、何か裏があるのでは・・・そう思っただけだ」
エリシア「裏でございますか?」
国王陛下「例えば・・・中から手引きしている者が居る、とかな」
エリシア「族を呼び込んでいる者がいると、しかしそれでは・・・」
国王陛下「あぁ、容疑者は国内でもある程度の立場にいる者」
国王陛下「そうでなければ、纏まった数を不法侵入させることなどできんだろう」
国王陛下「そこで朱凰騎士団の数名に、特別任務を与えたい」
エリシア「特別任務でございますか?」
国王陛下「ああ、王都の主要施設への潜入調査だ」
国王陛下「族を手引きしている者を探し出す為にな」
国王陛下「幸い朱凰騎士団は実績と民からの人気とは逆に、個人の顔を知る者は少ない」
国王陛下「今は王都に常駐しているが、以前は最前線ばかりだったからな」
国王陛下「エリシアとて、遠目に見た者は多くとも間近で顔を見合わせた民は僅かであろう」
エリシア「潜入調査に適していると?」
国王陛下「多少の変装は必要であろうがな」
国王陛下「折よく懸念であった族共も、貴殿らの働きで払拭したところ」
エリシア「なるほど、良きタイミングであったということですか」
国王陛下「言い訳だがな」
エリシア「言い訳ですか?」
国王陛下「知っておろう、今は騎士団の多くが先の戦の影響で半壊状態」
国王陛下「お主らにしか頼れんのだ」
国王陛下「本来お主らが戦場でこそ輝く事は、ワシが一番良く知っておるが・・・」
国王陛下「引き受けて貰えるか?」
エリシア「当然です」
エリシア「我等朱凰騎士団、陛下の命とあらば地獄の底へでも参る所存であります」
国王陛下「うむ、頼もしいな」
国王陛下「では調査先のリストを渡す、潜入者と調査先は貴殿に一任する」
エリシア「は、畏まりました」
エリシア「・・・」
エリシア「・・・こ、これは・・・」

〇ファンタジーの教室
ウェル「それでは今日から一緒に勉強する、新しいお友達を紹介します」
アリエイル「アリエイル・バベルです、宜しくお願いします」
ウェル「はい、宜しくお願いします」
ウェル「そして、もう1人」
ウェル「本日より臨時講師として皆さんを教えてくれる・・・」
エリシア「エリィです、宜しくお願い致します」

次のエピソード:エリシアの授業

コメント

  • エリシアの心の声と妄想が今話では一層激しいですねww アリィくんの可愛らしさでは納得ではありますが←
    そしてまさかの学園編!? ワクワクが止まりません!

  • いやぁ、これは素敵な職場ですねぇ
    弟ラブ過ぎて職務に支障が出なければ良いのですが(;・∀・)

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