第16話(脚本)
〇広い和室
タケハ「ふふーん」
淡雪「お、お待たせしました」
タケハ「もう、遅いよ~。 どこに行ってたの?」
淡雪「ちょっと道に迷っちゃって・・ ほら、ここって広いでしょ?」
タケハ「・・・そうかなあ? まあ、いいや。 こっちに来なよ~」
淡雪「あ、でも、 か、買い物・・・」
淡雪「今日の晩御飯を買いに行ってきます。 何か食べたいのありますか?」
タケハ「なんでもいーよ。 行くなら早く帰ってきてねー」
淡雪「は、はーい」
〇広い和室
コマ「・・・」
タケハ「うわっ」
コマ「タケハ様、 これをお渡しします」
タケハ「ん? 腕時計と勾玉?」
コマ「ツクヨミ様に預けていたものです」
コマ「勾玉を持っていれば、 離れていても私と会話することができます」
コマ「腕時計は・・・まぁ、いいでしょう。 私が持っておきます」
タケハ「勾玉もそんなに要らないと思うよ。 もう一度お札を作りに行くけど、 急いで書いて、急いで帰ってくるから」
コマ「・・それでも、 神社が襲われた時に、 すぐにお知らせできます」
タケハ「そうか、 それは助かる。 すぐに帰ってくる予定だけど、 何かあったら知らせてくれよ」
コマ「はい、わかりました」
〇黒
タケハ「うわぁ、 やっぱり淡雪さんの卵焼きは 甘さが尖っていて美味しいです」
淡雪「そ、そうですか」
タケハ「あれ? 味噌汁に白い粒々が浮かんでいますけど、 ・・これは粉チーズかな?」
ゴクゴクゴク
タケハ「ぷはぁ、 めちゃくちゃ甘い。 この塩気に負けない甘さは ・・・・・美味しいです」
タケハ「うわぁ、 白飯がさらに美味しく感じる。 おかずなんかちょっとで・・・」
タケハ「あれ? なんだか眠くなって・・」
タケハ「あれ? もっと淡雪さんとあんなことやこんなことを・・」
タケハ「・・・」
〇古風な和室(小物無し)
チュン、チュチュン
タケハ「あれ? 僕、いつの間に・・」
淡雪「おはようございます。 昨日はぐっすり眠ってましたね」
タケハ「・・ごはん食べてからの記憶が・・ あんまり、ないな」
淡雪「疲れていたんでしょうね」
淡雪「それよりも、 もう出ないといけないですよ」
淡雪「お世話になる神社に行くには、 昼過ぎのバスに乗り遅れると 大変なことになるんでしたよね?」
タケハ「えっ、・・今何時?」
淡雪「九時です。 朝食出来ていますよ」
タケハ「やばい。。。 ありがとう。 急いで食べて行ってくるよ」
タケハ「そして、・・すぐに帰ってくる」
淡雪「はい、頑張ってください」
〇広い和室
淡雪「ふぅ──」
コマ「ようやく行きましたか」
淡雪「昨日はありがとうございます。 いろいろ手伝ってもらって」
コマ「さすがにタケハ様の目の前で 砕いた睡眠薬を入れようとした時には 驚きました」
淡雪「砂糖と言えば ごまかせると思ったんですが・・」
コマ「すみません、 食べる前に追い砂糖をしている人を 見たことがなかったので、 ・・多分、疑われてもおかしくなかったですね」
淡雪「・・危なかったんですね」
コマ「・・成功したので 良しとしましょう」
コマ「それでも、 お札を出来るだけ早く仕上げる と言っていたので、 一週間かそのくらいで 戻ってくると思います」
コマ「・・その間に、 参拝客の願いを叶えまくるという 作戦はありますが、どうしますか?」
淡雪「あのぉ、 この神社にはもう一人いたんですか? 妹かお姉さんか・・」
コマ「タケハ様から聞きましたか・・」
淡雪「その方はどこかに行かれたんですか?」
コマ「そこは聞いていないのですか?」
コマ「お二人の間にはヒルコ様という ご兄妹がいらっしゃいました」
コマ「とても真面目な人で、 お父上の手伝いをずっとしておりました」
コマ「お母上が具合が悪くなられて、 ご両親の仲が悪くなった時も、 神社のことを献身的に支えておりました」
コマ「お母上がこの神社を出られたあと しばらくしてから・・」
コマ「お父上とヒルコ様が 車に乗っている時に、 事故に遭ってしまい、 お二人とも、お亡くなりになられました」
淡雪「・・・」
コマ「淡雪さんには大変お世話になっています。 知りたいことがあれば、 なんでもお答えします」
淡雪「・・・コマさんは、 最近現れるまでのこの数十年か、 人間の姿でみんなの前には あまり現れていなかった。 そうですよね?」
コマ「はい、私の役目は神社の平和を守ること。 特に危なくない時には 狛犬の状態で見守ってきました」
コマ「人間の姿になったのは、 子供の頃、ツクヨミ様が妖怪に襲われた時と、タケハ様が木から降りられなくなった時くらいですが、」
コマ「それがどうかしたんですか?」
淡雪「・・・あの、 少しだけ神社を離れてもいいですか?」
コマ「いきなりどうしたんですか? ここを守ってくれる人がいなくなって しまいます」
淡雪「ツクヨミさんがいるじゃないですか」
コマ「・・・まぁ、そうですね」
淡雪「そんなに長くなりません。 なるべく早く帰ってきますから」
コマ「わかりました。 お気をつけて行ってきてください」
淡雪「じゃあ、行ってきます」