魔力を操れ

ガンダーラ磯崎

第1話 「悪魔と天使が行き交う穴場」(脚本)

魔力を操れ

ガンダーラ磯崎

今すぐ読む

魔力を操れ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇事務所
仲介業者 田中「美尾羅駅徒歩5分のこちらのアパートで よろしいですね?」
穴倉圭「はい、ここで」
仲介業者 田中「では本契約を致します」
穴倉圭「よろしくお願いします」

〇二階建てアパート
  ───────入居当日──────

〇綺麗な一人部屋
家主の澄江さん「はーい」
  宍倉圭「ごめんください」
  宍倉圭「今日から引っ越して来ました宍倉です」
家主の澄江さん「どんな子かしら」

〇玄関内
穴倉圭「これからお世話になります! 宍倉と申します!」
家主の澄江さん「あら、ハンサムなお兄ちゃんねえ」
家主の澄江さん「タイプだわ〜」
穴倉圭「あ、ありがとうございます」
穴倉圭「あのー、手土産を持って参りましたので よろしかったら」
家主の澄江さん「あら、気がきくわねえ」
穴倉圭「ぜひ召し上がっ・・・」
家主の澄江さん「要らないわ」
穴倉圭「お気に召さなかったですか?」
家主の澄江さん「私、カカオ摂らない人なの」
家主の澄江さん「悪いけど、お兄ちゃんお食べなさいな」
穴倉圭「分かりました・・」
家主の澄江さん「これからよろしくね」

〇二階建てアパート
穴倉圭(手土産くらい貰ってくれよ!!)
穴倉圭(まあ、良いや。 気晴らしに周辺でもほっつき歩こ!)

〇住宅街
穴倉圭(こういう路地に隠れ家的な店が あるんだよな・・)

〇山中のレストラン
穴倉圭(ほら!さっそくみつけちゃったよ!)
穴倉圭(何この喫茶店! すげー存在感あるじゃん!)
穴倉圭(趣き深えー!!)

〇レトロ喫茶
穴倉圭「こんにちはー」
マスター加賀「いらっしゃいませ。 お好きな席へどうぞ」
穴倉圭「何にしようか・・」
マスター加賀「おしぼりとお冷お持ちしました」
穴倉圭「エスプレッソを1つください」
マスター加賀「申し訳ありません。売り切れてしまいました」
穴倉圭「じゃあカプチーノを」
マスター加賀「そちらも売り切れてしまいました」
穴倉圭「じゃあアイスコーヒ・・」
マスター加賀「ございません」
マスター加賀「申し訳ないんですが・・・」
マスター加賀「今はトマトジュースしかございません」
穴倉圭(マジかよ・・)
マスター加賀「トマトジュースは、ありあまるほど ございます」
穴倉圭(ナイスミドルのオススメ圧力!)
穴倉圭「じゃあトマトジュースで」
マスター加賀「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

〇カフェのレジ
  会計を済まそうとしたその時・・・
マスター加賀「ありがとうございました」
穴倉圭「また来ます」
マスター加賀「申し訳ございません。 今日でこの店、閉めるんです」
穴倉圭「マジっすか!?」
マスター加賀「ええ。店を開いて60年経ちましたが・・・」
穴倉圭(長っ!!思ったより遥かに長っ!!)
マスター加賀「体力も尽きて後継もおりませんので」
穴倉圭「そうだったんですか・・」
マスター加賀「今日は馴染みのお客さん達が 沢山来られまして・・」
マスター加賀「昼時にはコーヒーが 無くなってしまいまして」
穴倉圭「だからトマトジュースしか無かったんすか!?」
マスター加賀「ええ。 本当にありがとうございました」
マスター加賀「わざわざ苦手そうなトマトジュースを 注文して頂いて」
穴倉圭「バレました?」
マスター加賀「はい、お冷やの量でだいたい」
穴倉圭「素敵な建物でこれからも通いたいと  思ってたんで残念です・・」
マスター加賀「もし良かったら記念に 食器とか置物とか持ってってください」
穴倉圭「え!?良いんですか?」
マスター加賀「ええ、レジのお金以外なら何でも」

〇シックなカフェ
穴倉圭(高価そうな物が一杯あるけど)
穴倉圭(いざ「何でもどうぞ」って言われると 逆に貰いにくいんだよなあ・・)
穴倉圭(あ!これくらいが丁度いいかも)
穴倉圭「マスター、これ貰って良いですか?」
マスター加賀「どうぞどうぞ」
穴倉圭「初来店でこんな事言うのも 変な感じですけど」
穴倉圭「60年間お疲れ様でした!」
マスター加賀「ありがとうございます」
穴倉圭「もし機会あったらマスターのコーヒー 飲ませてください!」
マスター加賀「ええ、ぜひとも」

〇二階建てアパート

〇整頓された部屋
穴倉圭「何か入ってる!?」
穴倉圭「何だよこの箱!!全然空かねえ!!」
穴倉圭「あんまり強引にやると壊れそうだしよ!」
穴倉圭「もういいや」
穴倉圭「箱に悪戦苦闘してる場合じゃねえわ」
穴倉圭「寝よ・・・」

〇黒背景

〇黒背景
穴倉圭「だ、誰だ!?」
マヨルガ「@/&#%^+$」
穴倉圭「何かブツブツ言ってる!!」
マヨルガ「誰しも領域を犯す時、「魔」の閃光が刺す」
マヨルガ「だが、その領域を聖なる意志で根刮げば 神のご加護を享受できるのだ」
穴倉圭「わ、分からない!!」
マヨルガ「濡れそぼった体を後ろから触れられた 汝は言葉とは裏腹に反応してしまい 羞恥から快感へと変わり・・」
穴倉圭「ん?エロい話!?」
マヨルガ「聴こえるか?人間よ」
穴倉圭「ぼ、僕ですか!?」
マヨルガ「そうだ。君の解放に感謝する」
穴倉圭「解放!?」
マヨルガ「老者への惨たらしき蛮行を許すな!」
穴倉圭「蛮行?誰がしたんですか!?」

〇整頓された部屋
穴倉圭「入居初日に悪夢かよ!!!」
穴倉圭「きっぶん、悪いわ〜」
穴倉圭「この部屋ほんと西陽強えな」
穴倉圭(悪夢の後に爽快な陽当たりって、 もうどっちかにしてくれよ!)
穴倉圭(寝てるだけでビタミンたっぷり  摂れてんのによお・・・)
穴倉圭(何であんな病んだ夢見たんだろ? 疲れてんのかな・・・)

〇近未来の開発室
キャスター中島「続いてのニュースです」
キャスター中島「昨日深夜未明、田馬区 美尾羅町の路上で」
キャスター中島「男性が何者かに襲われました」

〇通学路
  警察によりますと5日深夜1時頃、
  美尾羅町の路上で、
  飲食店経営者、加賀俊二郎さん82歳が
  頭から血を流して倒れているのを
  通行中のタクシー運転手が発見し通報。
  病院に搬送されましたが
  意識不明の重体です
  警察は、怨恨の可能性を視野に
  犯人の特定を急いでいます。

〇整頓された部屋
穴倉圭「あのマスターだ!!?」
穴倉圭「も、もしやあの夢って・・・?」

〇黒背景
マヨルガ「老者への惨たらしき蛮行を許すな!」

〇整頓された部屋

〇オフィスビル前の道

〇オフィスのフロア

〇高い屋上

〇SNSの画面
  美尾羅町で起きた高齢者を襲撃した
  通り魔事件は以前、犯人の手掛かりが
  無いままで・・・

〇高い屋上
穴倉圭(まだ捕まってねえのか!)
穴倉圭(あれだけ防犯カメラがそこら中に あんのによお・・・)

〇街中の交番
  ──────美尾羅町交番──────
穴倉圭「ここか・・・」

〇交番の中
穴倉圭「本当に何の進展も無いんですか?」
猪谷巡査「ちょうど現場が防犯カメラの 死角になってまして・・・」
穴倉圭「治安が良いって聞いたから この街に住み始めたのに!」
八代巡査「入念に捜査はしておりますので」
穴倉圭「一刻も早く取っ捕まえてください」
猪谷巡査「その言葉、重く受け止めます」

〇諜報機関

〇レトロ喫茶

〇諜報機関

〇二階建てアパート

〇整頓された部屋
穴倉圭「お疲れさ・・・」
穴倉圭「だ、だ、誰だあんた!?」
マヨルガ「私はマヨルガ」
穴倉圭「あ!!? ゆ、夢に出て来た!!?」
マヨルガ「そう」
穴倉圭「な、なぜこの部屋に居るんですか!?」
マヨルガ「君がその箱から解放したから」
穴倉圭「あ!!」
マヨルガ「私はずーっとこの箱に封じられていた」
マヨルガ「君が空けようとした事で わずかな隙間が生まれ 抜け出す事が出来た」
穴倉圭「そ、それは良い事なんですか?」
マヨルガ「君にとっては好運かも」
穴倉圭「どういう事ですか?」
マヨルガ「そこの排気口がある角のとこが・・・」
マヨルガ「サタンスポットだからだ」
穴倉圭「何ですか? その怖い響きのスポット?」
マヨルガ「パワースポットあるだろ?」
穴倉圭「ええ」
マヨルガ「あれの逆と考えて」
穴倉圭「最悪だ!!」
穴倉圭「ところであなたは、そのー・・・」
マヨルガ「何?遠慮しないで」
穴倉圭「悪魔・・ですか?」
マヨルガ「その逆と考えて」
穴倉圭「え?じゃあ、天使!?」
マヨルガ「違う」
穴倉圭「ですよねえ」
マヨルガ「あ?」
穴倉圭「すいません! ちょっと図に乗りました!」
マヨルガ「簡単に言うなら」
マヨルガ「現実界の亀裂から入って来た 悪魔を追い祓う使者だ」
穴倉圭「現実界の亀裂・・・」
マヨルガ「排気口の角な」
穴倉圭「あ、サタンスポットの事か!」
マヨルガ「そう」
マヨルガ「君、学習能力高いね」
穴倉圭「あざーっす!」
マヨルガ「距離縮めるのも早いね」
穴倉圭「あ、すいません!」
マヨルガ「まあ、いいわ」
穴倉圭「それにしても、引っ越したばっかの部屋が サタンスポットって・・」
マヨルガ「安心して」
マヨルガ「確かにこの部屋は サタンスポットがあるけど・・・」
マヨルガ「そこの換気扇の角には パワースポットもある」
穴倉圭「えーーー!?」
穴倉圭「ど、どんな部屋なんだ!?」
マヨルガ「魔と聖の拮抗でギリギリのバランス が保ててる」
マヨルガ「場所に気を付ければ、 悪くない部屋だ」
穴倉圭「サタンとスピリチュアルの狭間・・・」
マヨルガ「良い表現だな」
穴倉圭「ありがとうござ・・・」
穴倉圭「やべ・・・」

〇シンプルな玄関
家主の澄江さん「あんた奇声上げてたでしょ?」
穴倉圭「すいません」
家主の澄江さん「住人から苦情来たわよ」
家主の澄江さん「時間考えなさいよまったく」
穴倉圭(来ちゃダメだって!)
家主の澄江さん「次やったら退去させるわよ?」
穴倉圭「はい、以後、気をつけます」
家主の澄江さん「チッ!」
穴倉圭「この人、俺にしか視えて無い!」

〇二階建てアパート

〇アパートの台所
穴倉圭「マヨルガさん、パワースポットって ここら辺ですか?」

〇整頓された部屋
マヨルガ「違う」

〇アパートの台所
マヨルガ「ここだ」
穴倉圭「あ、もっと端っこか」
マヨルガ「ちゃんと覚えておけ!」
穴倉圭「今すっげえ可愛い子いませんでした!?」
マヨルガ「これか?」
穴倉圭「え!?マヨルガさんなの!?」
マヨルガ「パワースポット浴びたら こうなるけど?」
穴倉圭「マ、マジっすか・・」
マヨルガ「どうした?」
穴倉圭「い、いや・・・」

〇街中の交番

〇交番の中
八代巡査「ドラレコに映っていた男の後ろ姿です」
八代巡査「目撃情報も入って来たんですが・・・」
猪谷巡査「ああ」
八代巡査「20代半ばくらいの男で 黒いジャージ、細身の体格で 背は約180との事です」
猪谷巡査「なんか昨日の夜、来た男に似てるな・・・」
八代巡査「そういえば・・・」
猪谷巡査「「犯人は現場に戻る」というが」
猪谷巡査「「近くの交番に立寄る」ってのもあるのか?」

〇二階建てアパート

〇整頓された部屋
マヨルガ「なんか来たな・・・」
ボルガーノ「焼き尽くしてやる!!」
マヨルガ「望むところだ」
マヨルガ「ちょい素振りを・・・」
マヨルガ「ほら!来なよ!」
ボルガーノ「ひ、陽の光が!!」
マヨルガ「やる前から負けやがった・・」
マヨルガ「ただ・・・」
マヨルガ(こんなザコだけで終わるはずが無い・・)
  ────────つづく───────

〇黒背景
  2話へ続く

次のエピソード:第2話「犯人は奴だ。いやそうとも限らない事は否めない」

コメント

  • サタンスポットとパワースポットの狭間…なかなかすごい物件ですね(笑)主人公が明るく軽い性格なおかげか、ホラー苦手な私でも楽しく読めました!
    箱の謎、マスターの死の謎、そして犯人にされる犯人と裏で操る誰か(?)、……続きを読むのが楽しみです!

  • ガンダーラ磯崎さん
    こんばんは!既に沢山更新されているんですね!すごいです

    サタンスポットとパワースポット!霊道ともまた近いものなのか、設定が面白いです!陰と陽に別れて見た目が変わるところも良いですね

    ギャグが軽快で今から怖い事件に巻き込まれそうですが主人公の明るさで楽しく読めそうです
    続き読ませて頂きます

  • サタンスポットは最高ですね。内容にオリジナリティが溢れてます。
    ガンダーラさんの作品だとどこまでボケかわかんないとこあるのですが、西日って夕方に来るから夢から起き抜けに朝浴びないのでは?と思いました。
    家主が幽霊みたいな格好をしていて入居一度目の独り言くらいでカチ来んでいきなり退去宣告くるのがヤバいと思いました。
    早く退去したほうがいいですね、この部屋。
    先の展開がまるで読めず楽しみです。

コメントをもっと見る(9件)

成分キーワード

ページTOPへ