Episode7.真昼の激戦(脚本)
〇研究装置
Master Mind「どう言う事だ、Sounderがガーディアンズ側に寝返ったとは!?」
珍しく、少しばかり声を荒げるMaster Mind。
無論、理由はガーディアンズ側に寝返ったSounderについての事であった。
Caster「その、なんと言いますか・・・」
Attacker「色々とありましてねぇ・・・」
Master Mind「仮にも、最新鋭の技術で生み出した存在だろ・・・何故!?」
Sounderは、サージェントが持ち合わせる技術を用いて生み出した半機械半生命体の存在だ。
その技術は、サージェントの中でも特に優れた技術を用いて生み出した。
しかし、最新技術と謳ってはいたが、結果は敵側に取られると言う醜態を晒す事となった。
Caster「向こう側が変な嘘を吹き込むから」
Attacker「要するに、デタラメを信用しちゃったって訳なのよ」
Master Mind「全く、予想は少ししていたが・・・」
Caster「どうする?隷属の装備とかは倫理的に駄目だから付けてないし・・・」
Attacker「個人の意志を尊重したから、呼び戻しも出来ないからね」
Master Mind「うぅん・・・」
CasterやAttackerの言葉に、Master Mindの言葉が詰まった。
Master Mind「ちょっと、アイツに連絡してみる」
Caster「あぁ、アイツか・・・」
Master Mindが言うアイツと言う存在。
Attacker「まぁ、彼ならどうにかしてくれるさ」
〇コックピット
シャドウ「やぁ、久しぶ・・・いや、お久しぶりです。情報長官殿」
???「いいや、敬語はよしてくれよ。一緒に訓練時代を過ごした仲じゃないか」
シャドウは、定期連絡と言う名目の元、モニター越しにとある者と会話を行っていた。
シャドウ「久しぶり、サイファー」
サイファー「同じくだ、シャドウ」
リアン・ジュール「あ、サイファーさん!!」
サイファー「リア、君もいたのか!!久しぶりだね」
その人物とは、サイファーと言う名のロボットであった。
かつて、訓練生時代の同期であり、今はガーディアンズ本部で情報長官を務めている。
シャドウ「最近はどうなんだ?」
立場的には、一個小隊の司令官的存在であるシャドウとサイファーの位には、圧倒的な差が存在している。
本来なら、敬語を使わないと厳重注意処分なのだが・・・。
サイファー「いつもと変わらないよ。情報の処理と観察、そして監視だ」
リアン・ジュール「情報長官って、仕事楽なんじゃない?」
サイファーは敬語を使って話す事のないシャドウやリアを咎める様な事はしなかった。
サイファー「いいや、そうでもないよ。最近は世の中物騒だからね」
シャドウ「な、何だ?何かあったのか?」
サイファー「その、何というか・・・内部で離反者と言うか、裏切り者的な存在の噂が流れてるんだ」
まさかの、裏切り者がガーディアンズ内部にいると言う事実。
サイファーの言葉に、シャドウとリアは驚きを見せる。
リアン・ジュール「ほ、本当なの!?」
サイファー「いや、確定した・・・と言う訳でもないんだが、サージェントのボスと会話している所を聞いた、と言う噂があってね」
シャドウ「そりゃ、まずいな。俺らにも何か出来る事があればいいんだが・・・」
サイファー「シャドウ、君達は『生成体』を守る任務がある。こっちは我々に任せてくれ」
サイファーの言葉に、シャドウは頷く。
シャドウ「まぁ、それもそうだな」
リアン・ジュール「私達も、私達でやる事をやるわ」
サイファー「そうか、頼む。あ、サージェントを仲間に引き入れた事に関しては、黙認しておくから安心してくれ、じゃあ」
それだけ告げて、サイファーは画面の前から消えていった。
〇塔のある都市外観
その日の夜、乱立するビル地帯の一角に二人の影があった。
ビルの屋上、野ざらしに風が吹き荒れている中、街を見下ろしている者がいた。
Berserker「さて、そろそろか・・・」
S「攻撃は、明日に行うのでお忘れなく」
Berserker「んなもん、言われなくとも知ってるよ」
S「では、今日はもう撤退しましょう」
Berserker「そうだな・・・」
〇清潔な浴室
翌日早朝、シャワールーム。
リアン・ジュール「お風呂タイム!」
綺麗好きなリアは、一人シャワールームでシャワーヘッドから流れるお湯を浴びていた。
リアン・ジュール「ふぁぁ、気持ちいい・・・」
こう見えても、風呂好き。
最近は色々とありすぎて、まともに浴びれてなかったリアは、今の時間を強く幸福に思えていた。
リアン・ジュール「今度はシャドウも誘ってみようかな?」
そんな事を考えていた直後・・・。
アリス「おい!いつまで入ってんだ、早く出てこい!」
急に風呂場に乱入してきたのは、アリス。
表情は焦りつつも何故か怒りに満ちている。
リアン・ジュール「アリスさん?どうしたの!?」
アリス「サージェントの奴らのお出ましだ、しかも二人!」
リアン・ジュール「えっ!?」
アリス「しかも街で暴れ回ってる!早くしないと皆、永久におやすみだ。行くぞ!」
リアン・ジュール「りょ、了解です!」
リアン・ジュール「もう、何でこのタイミング!」
〇塔のある都市外観
Berserker「おら、さっさと出てこいガーディアンズどもぉ!」
S「出てこないなら、この一帯を軒並み破壊します」
マシンガンにロケットランチャーによる猛攻。
ガラス張りの建物は爆発で破壊されるは、マシンガンの乱射で軒並み蜂の巣になるはで、大混乱である。
Berserker「出てこねぇなら、住民もブチ殺す!」
あちらこちらで起こる悲鳴の数々。
S「出てきませんね、怖じ気付いたのでしょうか?」
まるで挑発する様に、またしてもロケットランチャーを発射するS。
街人「助けてくれー!」
住民「早く、誰か来て!」
Berserker「ん?」
街の防衛システムが作動し、現れる無人の戦車。
Berserker「あん?無人操縦の戦車か?」
すると、突然ナイフを構えるBerserker。
Berserker「引っ込んでろよ、鉄くず!」
ナイフで怯んだタイミングを見計らい、マシンガンを乱射。
無論、鈍重な戦車がこの高速の二連撃を避けられる訳もなく・・・。
戦車は大破し、バラバラとなった。
そして、爆発した戦車は炎上し、無情にも火は広がりを見せた。
Berserker「ハハハ!雑魚がよぉ!」
S「敵性存在を確認」
再び現れる無人操縦の戦車。
S「鈍すぎじゃーん!」
最早、この街の防衛システムで作動する兵器は役立たずと言っても過言ではなかった。
Berserker「そぉら、死にたい奴から前に出なぁ!」
リアン・ジュール「ストップ!これ以上はやらせない!」
Berserker「お・・・」
Berserker「やっと来たか、待ちくたびれたぜ」
住民「ガーディアンズだ!」
住民「助かるぞぉ!」
シャドウ「住民の皆さんはすぐに避難を!」
シャドウの一声で、野次馬の様に集まっていた住民達はすぐに場を離れていく。
リアン・ジュール「よくも!また!」
レールガンをBerserkerに構えるリア。
Berserker「あー分かった分かった、いいから死ね」
慈悲などお構い無しにマシンガンを向けるBerserker。
リアン・ジュール「ぐっ!」
発射された内の一発が肩を掠めた。
リアン・ジュール「なんの!これぐらい!」
負けじと、攻撃を仕掛けるも・・・。
Berserker「狙いが甘すぎんのよ」
華麗にジャンプし、Berserkerは簡単に攻撃を避けてしまう。
リアン・ジュール「しまった、後ろを!」
リアン・ジュール「あぐっ!!」
背後を取った瞬間、Berserkerの投げたナイフがリアの背中に突き刺さる。
リアン・ジュール「い、痛い・・・」
Berserker「ハハハ!カッコつけてた割には弱いなぁ!」
背中に激痛が走り、動けなくなったリア。
そこに、Berserkerは無慈悲にもサブマシンガンの銃口を向けた。
リアン・ジュール「しゃ、シャドウ・・・」
シャドウ「うぉぉぉぉぉぉ!!」
Berserker「ちっ!」
何とかギリギリの所で、シャドウが助けに入る。
リアン・ジュール「シャドウ・・・」
シャドウ「リア、一度引け!」
アリス「あの犬っころの相手はオレがする!」
続いて、アリスも参戦した。
シャドウ「アリスさん・・・」
アリス「リアを連れて一回下がれ!」
シャドウ「すまん!」
〇塔のある都市外観
シャドウ「おい!しっかりしろ!」
リアン・ジュール「ご、ごめん。私が、ミスしたばっかりに・・・」
一度、シャドウはリアを地面に座らせると、背中を確認する。
シャドウ「いかん、このままだと・・・引っこ抜くしかないか・・・」
放置はあまり得策ではない。傷が悪化してしまう。
リアン・ジュール「ひ、引っこ抜くって・・・」
シャドウ「あんましたくはないが・・・」
シャドウ「耐えろよ?」
真剣な眼差しでリアを見つめるシャドウ。
リアン・ジュール「クッ・・・」
リアン・ジュール「分かった、でも一発でお願い」
シャドウ「任せろ!」
自信ありげに言って、背中に刺さったナイフの持ち手を握るシャドウ。
シャドウ「3.2.1で行くぞ」
リアン・ジュール「うん・・・」
シャドウ「3.2.1・・・」
シャドウは勢い良く、ナイフを引き抜く。
引き抜く拍子に、鋭いナイフの刃が、リアの背中の肉を裂いた。
リアン・ジュール「ぐあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
焼ける様な激痛が背中を支配した。
リアン・ジュール「い、痛い!痛い!!!痛いぃぃぃ」
シャドウ「クソ!すぐに止血しないと!」
すぐに応急処置用の包帯を取り出したシャドウはリアの衣服を剥がす。
シャドウ「許せよ!」
リアン・ジュール「いいから、早く止血して・・・」
町中で衣服を引っ剥がされたが、彼女は何一つ気にしなかった。
すぐに包帯を巻き、止血する。
シャドウ「よし、これで何とか」
リアン・ジュール「あ、ありがとう・・・」
包帯を巻いて止血したのが聞いたのか、背中の痛みが少しずつ、引いていく。
シャドウ「俺は行く!仲間にこんな事をした奴ら、許すもんか!」
Berserker達に応戦すべく、シャドウは一人走った。
リアン・ジュール「やっぱり、頼りになるなぁ・・・」
背中を押さえつつ、リアはシャドウを見送った。
〇塔のある都市外観
シャドウ「野郎!」
Berserker「次はお前か、どう料理してやろうか」
シャドウ「仲間を傷付けた罪は重いぞ!」
Berserker「んだと?」
Berserker「てめぇらガーディアンズのやってる事の方が、余っ程じゃねぇかぁぁぁ!」
何の躊躇もなしにサブマシンガンを乱射してくるBerserker。
シャドウ「受け切れる!」
シャドウ(クッ!次弾は捌けるか!?)
何とか初撃は上手く捌いたが、次は受け切れるか分からない。
戦闘用スーツや剣の技量もあって何とかなっていたが、次は分からない。
Berserker「この音!?」
突如として発生する衝撃波。
シャドウ「まさか!」
シャドウとBerserkerは衝撃波を発生させた主を理解していた。
Sounder「戦闘の停止を所望します」
Berserker「誰かと思えば、やっすい口車に乗せられたアホか!!」
新たにチーム:シャドウに加わったSounderが救援に入る。
Sounder「貴方は、Berserker?」
Berserker「おう、覚えててくれたんだな!」
Berserker「じゃあ、死ね!」
かつての仲間など知った事かと、Berserkerはいきなり銃を乱射。
Sounder「この程度!」
戦闘継続と判断したSounderは再び、エレキギターの弦を弾く。
発射された弾丸が、全て地面に落ちた。
Berserker「ちっ!敵に回すとこんなに!?」
Sounder「やめてください。貴方達がしている事は・・・ただの侵略です!」
Berserker「ホント、何も分かってねぇんだなお前」
Sounder「何がです?」
Berserker「知らねぇなら、さっさと鉄くずにでもなれやぁぁぁ!」
Sounder「ぐっ!」
回避行動を取り、何とか被弾は避けたSounder。
Berserker「そぉら!そぉら!もう一発!」
しかし大容量マガジンに改造されたサブマシンガン。
弾丸の雨が、絶え間なくSounderを襲う。
Sounder「シールド展開!」
咄嗟に右腕のジェネレーターからシールドバリアを展開。
Sounderは弾を止めたので事なきを得た。
Berserker「クソ!Casterめ、ヘンテコ装備ばっか詰め込みやがって!」
Sounder「貴方の相手は、このワタシです!」
〇塔のある都市外観
S「これ以上、ガーディアンズに我々の目的を・・・」
S「邪魔、させるかぁぁぁ!!」
グレンディ・ロメルデュアル「街への被害も考えなさいよ!」
負けじと、グレンはボウガンを発射。
S「何処を狙っているのです?」
グレンディ・ロメルデュアル「クッ!!」
しかし、相手は手練れ。
ちょっとやそっとした攻撃では掠りもしなかった。
S「とにかく、邪魔をするなら灰にでもなってください」
手榴弾を構えるS。
グレンディ・ロメルデュアル「危な!」
咄嗟にその場を離れるグレン。
手榴弾が起爆し、周囲は大爆発する。
グレンディ・ロメルデュアル「どうすれば!?」
グレンディ・ロメルデュアル(あ、そうだ!)
咄嗟にとある事をひらめいたグレン。
早速、彼女は行動に移した。
S「ボーっとしてる場合ですか?」
再び、ロケットランチャーを構えるS。
グレンディ・ロメルデュアル(よし、ここだ!)
グレンディ・ロメルデュアル「おーい、ちびっ子!銃じゃなくて、殴りでいきましょう!」
突然、子供騙しな挑発を掛けるグレン。
だが、これに対しSは・・・。
S「・・・・・・」
S「やる気か、てめぇ!」
S「そんなに殴られたいなら、受けて立ってやらぁ!」
ロケットランチャーを放り捨てると同時に、跳躍。
Sは怒りのままに一気にグレンと距離を詰める。
S「ステゴロじゃぁぁ!」
グレンディ・ロメルデュアル「引っかかてやんのー!」
S「誤算でした」
グレンディ・ロメルデュアル「くらえ!爆弾付きだ!」
意趣返しと言う意味合いも込めて、グレンは爆発矢をSに向けて放つ。
S「損傷・・・中微。ですか」
S「その顔、覚えました」
爆発に巻き込まれ、ダメージを受けたS。
引き際だと判断したのか、Sは足早に逃げ出した。
グレンディ・ロメルデュアル「もう、来ないでよね!」
〇塔のある都市外観
Berserker「あの野郎、勝手に逃げやがったな!」
Berserker「畜生、ここは引くか・・・」
アリス「あ!?逃がす訳、ねぇだろ!!」
シャドウ「仲間を傷付けた罪は、しっかりと償ってもらう!」
撤退したSに続いて、自身も逃げようとするBerserker。
しかし、絶対に逃がすまいとシャドウとアリスが立ち塞がった。
Berserker「クソ!何でアタシばっか・・・」
撤退するべく、サブマシンガンを放つが・・・。
アリス「おいおい、まさか逃げ切れるとか考えてないよな?」
Berserker「槍だけで全弾・・・!?」
放った弾丸も、アリスの槍術の前では無力に等しかった。
Berserker「い、・・・イかれてる」
アリス「それはどっちのセリフだ・・・よ!」
Berserker(ヤバい!ボス.....)
そう言うと同時に槍を腹部に向けて突き立てようとした時だった。
???「喰らえ、蒼き龍よ・・・」
刹那、現れるのは蒼き龍。
アリス「おわぁぁぁぁ!!」
シャドウ「なにィ!?」
龍の衝撃によって、シャドウもアリスも吹き飛ばされ、壁に激突した。
Berserker「あ、Attacker・・・」
現れたのは、サージェントの攻撃兵、Attacker。
Attacker「無事か?」
Berserker「た、助けに来てくれたのか?」
Attacker「ダチを助けない仲間がどこにいる?」
Attacker「皆が待ってる、帰るぞ」
Berserker「ふ、不甲斐ねえな」
Berserker「だけど、その・・・ありがとな」
照れ臭そうにしながらも礼を述べるBerserker。
Attacker「何だよ、Berserkerのクセに随分、素直じゃん!」
Attacker「とにかく、ここは任せろ」
Berserker「ああ、助かった!」
シャドウ「Attacker!」
しかし、シャドウは龍の衝撃を受けても尚、立ち上がってくる。
再び、剣を構えるも・・・
Attacker「黙ってろ!」
シャドウ「なにィ!?」
突然、シャドウは体が重くなってしまい、動けなくなった。
Attacker「今日は痛み分けにしてやる」
Attacker「だが、次は・・・覚悟しておけ」
その言葉を最後に、怯んだシャドウを置いて、Attackerは撤退した。
シャドウ「クソぉ・・・」
〇集中治療室
シャドウ達の活躍により、サージェントの連中は街から撤退。
戦闘の最中で負傷してしまったリアは、艦内の医務室で治療を受けていた。
リアン・ジュール「シャドウ、治療してくれてありがとう!」
シャドウ「良かった、もう動けるんだね」
銃弾が掠り、ナイフが突き刺さると言う重傷を負ったリアだが、最先端の医療技術により事なきを得た。
リアン・ジュール「元気いっぱい!それじゃ、平和になったし、何処か行こうよ!」
シャドウ「アハハ、そうだな!」