渋谷に仕掛けられた爆弾

Akiyu

エピソード1(脚本)

渋谷に仕掛けられた爆弾

Akiyu

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〇街中の道路
若者1「ねぇ。おっさん。金貸してよ」
若者2「なぁ。ちょっとでいいからさ」
若者3「持ってんだろ?金。痛い目に遭いたくなきゃ財布出してよ」
おじさん「な、なんだね。君達は・・・」
若者1「早く出せって言ってんだろ。オラァ!!」
おじさん「ぐはっ・・・」
若者2「うひょー。結構持ってんじゃん。これで渋谷行こうぜ」
  三人の若者が一人の中年男性から現金を奪う事件があった。いわゆるオヤジ狩りだ。
  その被害者が俺。

〇シックな玄関
  傷だらけで家へ帰った俺を見て、嫁は驚いた。
おじさん「ただいま」
嫁「な、何!?傷だらけじゃない!?」
おじさん「ああ、ちょっとガラの悪い若者に絡まれてな・・・」
嫁「大丈夫なの!?」
おじさん「ああ。ちょっとした切り傷さ。大した事ないさ」
嫁「もう。気を付けなさいよ」
おじさん「梨花は?」
嫁「渋谷よ」
おじさん「また夜遊びか?」
嫁「いいじゃない。若いんだから好きなように遊ばさせてやらなきゃ」
おじさん「・・・・・・」
  近頃、娘は夜遅くまで渋谷で遊んでいる。
  あんな危ない奴らもいる治安の悪い街だ。
  娘が変わってしまったのは、渋谷に遊びに行くようになってからだ。メイクも派手になったし、性格も変わってしまった。
  可愛かった娘は、一体どこへ行ってしまったのか。
梨花「ただいま」
おじさん「梨花、遅いじゃないか。いつまで遊んでるんだ」
梨花「えっ。別にいいじゃん。うるさいな」
おじさん「・・・・・・」
おじさん「くそう・・・。俺は、家族の為に毎日必死で働いている」
おじさん「なのに家では娘に毛嫌いされ、外では知らない若者に殴られ金を奪われ、オヤジ狩りの被害に遭う。渋谷なんて嫌いだ」
おじさん「爆破してやる。こんな街。無茶苦茶になればいい」
おじさん「そうだ。渋谷だ。渋谷が全て悪いんだ。渋谷さえなければ・・・」

〇SNSの画面
  ネットの掲示板サイトを開く。
  ――明日。渋谷に爆弾を仕掛ける。
  投稿ボタンを押して、俺は明日に備えた。

〇渋谷駅前
  翌日。俺は渋谷に来ていた。
  渋谷──
  そこは若者の街であり、日本の若者文化の中心地だ。どこを見ても若者で溢れている。こんなところの何がいいのか。
おじさん「勢いで渋谷に来たものの、どこに仕掛けるべきか。ぐふふっ。どうせなら特に人気の多い場所が良い」
おじさん「そうだ。あそこだ。あそこにしよう」
  ――スクランブル交差点。
  俺は、スクランブル交差点にやってきた。
  持ってきたお手製の爆弾をポケットから取り出す。
  そして何度もスクランブル交差点を行き来して、人に気づかれないように少しずつ地面に落としていく。
  1つ、2つ、3つ。
  4つ、5つ、6つ。
  7つ、8つ、9つ。
おじさん「これは地雷だ。これだけ多くの人がいれば、必ず踏む人間が出てくる」
おじさん「ふっ。どうせ俺なんて、チューインガムを道端に落とすくらいの小さな嫌がらせしか出来ないヘタレな男さ」
おじさん「本物の爆弾を仕掛ける度胸なんてない」
  俺は同じところを何度も行き来しながら、仕掛けたチューインガムが踏まれているかチェックする。
おじさん「よしよし、踏んだ奴がいる!!ざまあみろ!!」
輝「あっ!!こんなところにガムが落ちている。人の迷惑を考えないマナーの悪い人がいるんですよね」
輝「いけないな。ゴミはちゃんとゴミ箱へ捨てないといけませんよね」
  そこに現れたのは、ビニール袋を持った若い青年だった。
  その青年は、連れのもう一人のカメラを構えた若い青年の方を向いて喋っている。
輝「ちょっとここでインタビューしてみたいと思います。すみません」
おじさん「えっ!?えっ!?お、俺!?」
輝「僕、動画投稿やってる者なんですけどカメラ大丈夫ですか?」
おじさん「ああ、は、はい」
輝「ありがとうございます」
輝「僕達、渋谷ゴミ拾いチャンネルって名前でゴミ拾いをする様子を動画投稿する活動をやってるんですけど」
輝「ここにガムが落ちてたんですよ。どう思いますか?」
おじさん「そ、そうですね・・・。いっ、嫌・・・ですよね。ガムは靴にくっついちゃうと、取るの大変ですから」
おじさん((だから嫌がらせでやったんだ))
輝「はい。こうやってね。ゴミをそこら辺に捨てる行為は、多くの人に迷惑をかけます。 地球環境にも悪いですよね」
輝「この渋谷には、多くの人がいます。 もしですよ。渋谷の人、一人が一個のゴミを拾ってゴミ箱に捨てていけばどうでしょう」
輝「綺麗な街になると思いませんか?」
輝「渋谷は外国人の方も沢山訪れます。日本は綺麗な国だって言ってもらいたいじゃないですか」
輝「だから僕達は、渋谷ゴミ拾いチャンネル活動を続けていくんです」
おじさん((渋谷には、こんな若者もいるのか。俺はなんて事をしてしまったんだ。自分のやった事が恥ずかしい))
おじさん「き、君達!!」
輝「はい?」
おじさん「おじさんも渋谷ゴミ拾いチャンネルの活動に加えてくれないか?」
輝「おー!?マジ―!?はい。皆さん。なんと電撃発表です。新メンバー加入です。えっと、お名前は?」
おじさん「ガムおじさん」
輝「ガムおじさんです!!いえーい!よろしく!!ガムおじさん!!」
  俺は、若者達の温かいノリと活動に感動し、渋谷ゴミ拾いチャンネルの正式メンバーとなった。
  彼らは人気の動画投稿者だった。
  娘からは動画見たよ。自慢のお父さんだと言われ、俺は父としての尊厳を取り戻した。
  さあ今日も渋谷の爆弾をひとつずつ解体していこうか。

コメント

  • あ、思いあたる、色々と。この内面を若くして描いていたら驚きです。ガムは地球を救う、感謝。

  • 「こんな素敵な家族がいるのに!!」と思ってドキドキしながら読んでいたら、ガムで安心しました😂
    確かにガムを踏むとなんとも言えない不快感がありますよね🤦‍♀️ちなみに状態などにもよりますが、ガムを踏んでしまった場合、レシートの印字画面を何度か踏んで、レシートと一緒に剥がすとガムも一緒に剥がれる場合があります🙆‍♀️笑

  • ひとつ、ふたつ、と地雷を落としていくところを読んで、「地雷?」と思いましたがガムだったんでホッとしました笑。意外な展開で、面白かったです。

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