渋谷壊滅⁉ ハチ公像が巨大化して暴れ出したから、止められるのはキミしかいない!!

阿野 創

ハチ公像が巨大化!? 止められるのは能力者だけ!?(脚本)

渋谷壊滅⁉ ハチ公像が巨大化して暴れ出したから、止められるのはキミしかいない!!

阿野 創

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  物語は
  すでにタイトルで完結している──
  この男の名前は
  中目 黒(なかめ くろ)
  彼は特殊な能力を持っている。
  世界には
  彼のような能力者を集めた組織があり
  密かに世界を救っているのだ。
  中目黒が
  どのような能力を持っているかについては
  今はまだ語らない。
  彼が渋谷に着きさえすれば
  この物語は解決されるのだ。
  しかし、彼の性格には難がある。
  彼は人並外れた
  面倒くさがり人間なのである。
  そのため、物語を解決させるには
  君のタップが必要である。
  君が物語を読み進めてくれれば
  渋谷は黒によって救われるだろう
  君が途中で見るのをやめてしまうと
  渋谷は壊滅してしまう。
  つまり、渋谷を救うも救わないも
  君次第ということだ。
  さぁ、それでは始めよう
  黒とキミの物語を。

〇本棚のある部屋
  2022年○月✕日
  スマホが鳴っている。
  誰からだろうか・・・。
  どうせ、大した用ではないだろう。
  まだ鳴っている・・・。
  一体何の用だ?
  仕方ない・・・
中目 黒「はぁ、誰だよ。 こんな昼間から・・・」
「おい、クロ! 大変だぞ!!」
  電話から聞こえてきたのは
  親友の池尻の声だった。
中目 黒「池尻か・・・なんの用?」
「何の用?じゃないぞ! テレビ見てないのかよ!?」
中目 黒「テレビ?」
「早く見ろって! 渋谷がやばいんだよっ!!」
中目 黒「渋谷ぁ?」
  めんどくさいと思いながらも、
  黒はテレビをつける。
  『LIVE中継』
  と右上に書かれた画面が映しだされた。
  映像は渋谷駅周辺を上空から
  撮影しているところだった。
  一目で、
  普段の渋谷とは様子が違うのが分かる。
  待ち合わせ場所でも有名な
  あのハチ公像が
  何十倍にも巨大化しているのだ。
  その大きさは、
  交差点前の大型ビジョンぐらいの
  高さにまで達してる。
  しかもその巨大化した像がズリズリと
  少しずつ動いているのだ。
「お前んち、渋谷から近かったよな!? 早く逃げろって!!」
  なにかの漫画でも
  見たことがあるような光景だ。
  動いた像が信号機をなぎ倒している。
  アナウンサーも
  真に迫った声で避難を呼び掛けていた。
中目 黒「んーめんどくさいなぁ・・・」
  危機が迫っているのは分かっているが、
  面倒くさいが勝ってしまうのだ。
「馬鹿言え、おまえ──」
  そこで、黒は電話を切った。
  世の中には仕方がないことが沢山ある。
  もし、ここで命尽きたとしても──
  また電話が鳴った。
  池尻かと思ったが、今度は違った。
「中目黒 あなたに出動命令よ」
  抑揚のない女性の声が聞こえる。
  黒が所属している組織の通信役だ。
「渋谷で起きてる騒ぎは知ってる?」
中目 黒「はい。テレビで見ました」
中目 黒「・・・ これって僕の仕事っすかね?」
「あなたが適任だと思います」
中目 黒「祐天寺さんとか梶が谷さんとか もっと適任な人がいるでしょう? 僕なんかの能力じゃ──」
「祐天寺さんは北海道へ出張中 梶が谷さんは岐阜で休養中よ 間に合わないわ」
中目 黒「だとしても・・・ そもそも、今回って 僕の力使えますかね?」
「私は使えると思う。 むしろ・・・ あなたしかいないって思ってる」
中目 黒「あぁじゃあ綱島さんはどうですか? 彼の怪力の能力なら一瞬で──」
「とにかく、これは命令です。 今すぐ、出動しなさい」
中目 黒「駒沢さん! ちょっと・・・」
  そう言ったところで
  電話は切れてしまった。
  テレビに目を向けると、
  依然ハチ公がずりずりと動いている。
  速度は遅いが、放っておけば
  甚大な被害になることは間違いない
中目 黒「・・・はぁ、 仕方ないか・・・」
  そう仕方がないことが
  この世にはたくさんある。
  黒は意を決して
  渋谷へと向かうことにした。

〇渋谷のスクランブル交差点
  渋谷に着くと、
  多くの人が避難した後なのだろう。
  すでに人気は少なかった。
  それでも、スマホを片手に、
  巨大化したハチ公を
  撮影しようとしている人もいる
中目 黒「はぁはぁはぁ、 電車も動いてないし・・・」
中目 黒「走るのなんて、久しぶりだよ・・・」
  走り疲れた黒の目の前には
  巨大化したハチ公像がそびえたっていた。
中目 黒「さぁてと」
中目 黒「本当に、俺の力が効くのかねー」
中目 黒「俺の力って、 普通に考えて無力なのよねー」
中目 黒「駒沢さんも見る目がないっていうか・・・」
  そう言いながら、
  黒は髪の毛を両手でかき上げた。
  能力者は能力を使うとき
  覚醒モードに切り替わるのだ。
中目 黒「では、やってみますか・・・」
  ・・・・・・
中目 黒「さぁ、ハチちゃん おいでー♪」
  最大限、優しい声で
  黒はハチ公へ呼びかける。
中目 黒「大丈夫だよー♪ おいで、おいでー♪」
  呼ばれたハチ公は黒を見つめる
  ここが決め時である。
中目 黒「ハチちゃーん♪」
  それまで以上に甘い声で言いながら
  黒は両手を広げる。
  その時、無表情のはずの
  ハチ公が少し微笑んだように見えた。
  ハチ公は黒をじっと見つめると
  しっぽを振り、黒に近寄っていく。
  と同時に、
  その身体はどんどん小さくなっていった。
  ハチ公像が、黒のもとに着くころには
  身体は以前の大きさに戻っていた。
  ーーそう、
  彼の能力は、どんな動物(?)も
  立ちどころに手名付けてしまう
  能力なのだ!
中目 黒「よーし、よしよしよし♪」
中目 黒「よーし♪ よしよしよし♪」
  ・・・・・・・
  こうして、
  中目黒の能力によって
  渋谷のピンチは救われたのだった──
  めでたし、めでたし──

コメント

  • どんな能力かと思ったら、まさかの動物を手なずける能力とは!
    でも、たしかに適任というか、彼以外には考えられませんね。笑

  • 東京の地名が名前になっていて面白かったです。中目黒くん,ムツゴロウさんみたいになってて笑いました。創造性に富んだ作品だなぁと思いました☆彡

  • タイトルと表紙から「ヒーロー系?やっつける的な感じかな?」と思ったら、想像よりも遥かに平和的に解決していて微笑ましかったです😊
    無事に渋谷を救えました!笑

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