二人、どうやら同じ幻覚を見ているようです?

歯車

エピソード7 再会と別れ(脚本)

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〇闇の要塞
  ウェルペルト帝国にある怪しげな城の近くでシロサキ、ソム、ルドルフが潜水艦から降り立った。
シロサキ(いよいよね・・・待っててアサノくん)
ルドルフ「作戦通りに二手に分かれよう 俺は城の地下牢に閉じ込められている人たちを助けに行く、そっちは任せたぞ」
ソム「分かった・・・」

〇研究施設の廊下
  アサノのカラスから貰ったマップのおかげでシロサキとソムはすぐに研究室へ通じるドアを見つけた。
  城内、研究室周辺の監視カメラの目はアサノのカラスによってコントロールされているので二人は見つかることなく先に進んでいく。
シロサキ「ラクショーね!」
ソム「あのカラスのおかげでな」

〇研究施設の廊下(曲がり角)
シロサキ「わあ!びっくりした!」
  シロサキは研究室へ続く廊下の曲がり角でひとりの少女とぶつかった。
フィアーノ「ごめんなさい!」
シロサキ「こちらこそ、ごめんなさいね あなたは・・・何処へ行くの?」
フィアーノ「第一実験室です・・・邪神様に会いに行くの!それでは・・・失礼します!」
  少女はペコリと頭を下げ、ニコニコしながら駆けていった。
シロサキ「邪神様・・・?存在してるの?」
ソム「滅んだはずだが・・・まさか復活させたのか?」
シロサキ「それって、やばいじゃん!あの子・・・追いかけなきゃ!」
ソム「おい、シロサキ・・・目的を忘れたのか?」
シロサキ「・・・そうだった、まずはアサノくんを助けなきゃね!」

〇地下実験室
  地下第二実験室──
キール(なるほど、このスーツは何かの通信機器と繋がっているようですね・・・)
シロサキ「見つけた! アサノくん!」
シロサキ「そこのアンタ、アサノくんに何したの!?」
キール「私は何もしてませんよ・・・どうしてこの男の姿が変化したのか気になって調べていただけですし・・・」
シロサキ「まあ、なんでも良いわ・・・とにかく! アサノくんは返してもらいます!」
キール「それは困りますね・・・せっかく面白そうな研究対象を見つけたのに・・・」
ソム「シロサキ、行け!」
キール「な、な・・・いつの間に・・・」
シロサキ「ソム、ありがとう!」
  ソムは右手の籠手から伸びた鎖でキールを縛り、空いている左手を振った。
アサノ「・・・・・・?」
シロサキ「アサノくん! アサノくん! 目を覚まして!」
アサノ「その声・・・シロサキか!?」
シロサキ「良かった・・・生きてて」

〇地下実験室
ソム「シロサキ!アサノを連れて逃げろ!」
キール「そう簡単には逃しませんよ!」
  キールの両腕がゴツゴツとした鉱物のような触手に変化し、ソムの鎖を断ち切った。
  床を這うように鉱物触手がシロサキとアサノに迫る──
キール「あなた、面白い技を使いますね・・・ いいでしょう、相手をしてあげます」
ソム「シロサキ、行け! 俺は強い・・・心配無用だ」
シロサキ「ソム・・・分かったわ!」
シロサキ「アサノくん、走れる?」
アサノ「ああ、ちょっとフラフラするけど、大丈夫そうだ!」
アサノ(ってか、このスーツなんだ? もしかして、俺が考えたクロウモードか? マジかよ・・・)

〇研究施設の廊下(曲がり角)
シロサキ「確かこの辺り・・・アサノくん、寄り道してもいい?」
アサノ「え?うん・・・」
アサノ「何処へ行くんだ?この先は・・・」
シロサキ「第一実験室よ。さっき女の子と会って、その子が邪神様に会いに行くって言ってたの・・・」
アサノ「邪神・・・?そういや、あの赤髪の男もそんなこと言ってたな・・・本当に居るのか?」
シロサキ「それを確かめに行くのよ!」

〇魔法陣のある研究室
  第一実験室──
レイベル「・・・・・・」
アサノ「待てよ、あれレイベル・・・? 生きてたのか!」
シロサキ「知り合い?」
アサノ「ああ、城の地下牢で出会って連れて行かれて・・・こんな、姿に・・・」
シロサキ「半人半蛇の怪物・・・これが邪神・・・?」
レイベル「・・・・・・!」
レイベル「うう・・・」
レイベル「アサ・・・ノ・・・?」
アサノ「レイベル、俺のこと覚えて・・・」
レイベル「きみ、だあれ?」
レイベル「かわいいね?」
  レイベルは蛇の身体でシロサキに巻き付いた。
シロサキ「ひゃあ!?」
レイベル「ねえ、たべてもいい?」
シロサキ「やだあああ!!!! 助けて!!!!」
レイベル「あばれないほうがいいよ・・・ 力加減分からなくてころしちゃいそうになる・・・」
アサノ「レイベル、シロサキを放せ!」
レイベル「やぁだよ、俺の獲物だもんね・・・」
レイベル「大丈夫だよ、痛くしないから・・・」
  レイベルの長い髪が生きているように動いて蛇の頭部に変化した。
レイベル「ふふふ、美味しそうだね・・・」
シロサキ「やだ! 放してよ! この・・・化け物!」
レイベル「ばけ・・・もの・・・?」
レイベル「うう・・・ひどいなぁ・・・」
(泣いてる・・・)
シロサキ(なんか私が悪いみたいじゃない・・・?)
レイベル「助けて欲しいのは俺のほうなのに・・・」
レイベル「許さない・・・ぜったい許さない・・・」
レイベル「アサノ! この子を連れて逃げろ!」
  正気を取り戻したレイベルがシロサキを放して背を向ける。
アサノ「お前は・・・」
レイベル「俺は行けないよ・・・ それぐらい分かるだろ?」
レイベル「さっさと行け! 本当に喰っちまうぞ!」
シロサキ「アサノくん、行きましょ!」
アサノ(クソ! どうしてこんなことに・・・)
  二人が第一実験室から出ていくのを見送るとレイベルもキールを探して出ていった。

次のエピソード:エピソード8 脱出

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