俺には「X」がある

ルイス・イ・平和

12月25日 登校(脚本)

俺には「X」がある

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〇教室
  俺の名は「カケル」
  12月25日、校長の気まぐれにより
  クリスマスになってまで
  学校に登校している最悪な状況だ。
  クラスのカースト上位といわれる奴らは
  いわゆるこの『神イベ』に
  浮足立っているご様子である。
  まずこんな状況を予測したうえで
  登校した俺をほめてほしい。
  でも大丈夫。
  俺には「X」があるからな。
  俺は「X」の存在を信じているし、
  信じればどんなことだってできると
  思っている。
先生「おい、お前ら席につけー」
  担任の教師が教室に入ってきて
  そう言った。
  その声を聞いてクラスメイトたちは
  しぶしぶ自分の席へと戻っていく。
  俺はというといつものように
  読書をしていた。
  別に教師の声などどうでもいいのだ。
  むしろ早く終わってくれと思っていた
  くらいだった。
先生「今日はクリスマスだから みんなにプレゼントがあるぞー! ほれ!」
  プレゼント?
  そんなものはいらないんだよ。
  こっちは家でゴロゴロしてたいんだって。それに今どき小学生でもないっていうのに・・・・。
  先生が持ってきたのは大きな袋に入った
  色とりどりの包み紙であった。
  それを
先生「はい一人一個ずつ取ってけよ~」
  と言って配り始めた。
  隣の席に座っている女子も同じように
  手にしていた。
女生徒「えっ!?私も貰っていいんですか?」
先生「もちろん!今日がクリスマスだからって 校長が生徒全員に奮発したんだってよ!」
女生徒「あ・・ありがとうございます!!」
  そのような感じでクラスメイト達は
  嬉しそうな顔をしながら受け取った。
カケル「(ん?)」
  なんかおかしくないか?
  俺のプレゼントがないのだが?
  どういうことだ?
カケル「あの、すいません。 僕の分はないですかね?」
先生「あっ悪い悪い。 お前は後回しにしてたわ。はいこれな」
カケル「えぇ・・・・」
  こうして俺は最後に手渡された。
  何だよ後回しって。
  こういう時だけ
  扱いが悪い気がするのだが?
  ここで一悶着起こしてやろうかと思ったが俺は「X」に免じて言葉を飲み込んだ。

〇教室
カケル「じゃあさっさと帰りますか」
  「バイバーイ」
  こうしてクラスメイト達が
  各々グループになり次々と帰っていった。
  結局俺だけが最後まで残っていたようだ。
  まぁ別に気にしないけどね。
  俺は家に帰ってゲームでもしようかなと
  思っていると、
「ねぇ君さっきからずっと残ってるよね? 良かったら私たちと一緒に遊ばない?」
カケル「へ?」
  いきなり見知らぬ女子二人に
  声をかけられた。
  誰だよこいつら。
  なんで初対面の人に
  話しかけられてんだよ、俺。
カケル「えっと・・・・」
佐々木柚葉「あれ?聞こえなかったかな?だから 一緒に遊びましょうよって言ってるの」
柊彩花「ちょっと彩香ちゃん! 初対面なのにそれは失礼だと思うよ!」
佐々木柚葉「うぅ・・・ごめん・・・」
  本当に何なんだこいつら・・・
  怖いな・・・
  とりあえず自己紹介してくれ。
柊彩花「私は柊彩花と言います! よろしくお願いします!」
カケル「おぉ・・こちらこそよろしく・・・」
佐々木柚葉「私は佐々木柚葉といいます。 改めてよろしくね!」
カケル「はい・・・」
  正直面倒くさいと思いつつも、
  適当に話を合わせておくことにした。
柊彩花「それでですね!カケル君はなんで クリスマスなのに一人なんですか!?」
カケル「友達がいないからだけど・・・・」
柊彩花「やっぱりそうですよねぇ~♪」
佐々木柚葉「うんうん♪」
  意味が分からない。
  何も考えたくない・・・
  もう構わず帰ろう・・・。
  俺には「X」さえあれば良い・・・。
カケル「もう帰るので・・・さようなら」
柊彩花「あっ待ってください! まだ話は終わってませんよ!」
佐々木柚葉「そうだよ~もっと話そうよ!」

〇学校沿いの道
  二人に背を向け、
  校門を通り家路を辿りながら
  人生を振り返る・・・
  ・・・
  ・・・・・・
  ・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カケル「「X」ってなんだ・・・?」
カケル「・・・・・・・・・」
カケル「そうか・・」
  「X」なんて存在しなかったのだ。
  「X」は俺が作り出した精神安定の為の
  偶像だった。
  人は何かに依存しなければ
  生きていけない動物なのだ。
  俺は心が少し軽くなり、
  清々しい気持ちで
  クリスマスの夜道を歩いた。

コメント

  • Xの感覚が少しわかる気がします。
    誰しもなにかを拠り所にしてるんですよね。
    クリスマスに一人ということが寂しいなんて、いつからそう決まったんだろう?とも思います。

  • なんとなくXの感覚がなんなのかわかる気がします。というのも、実際には目に見えない存在を信じて、心が救われたり、優しい行いをしたり、希望がもてるのなら、人々が宗教などを信じることは、幸せに生きていくためにありなのかなぁと考えたことがあります。きっとここでいう彼にとってのXのような感覚なのではないでしょうか。

  • カケルが拠り所にする”×”とは何だろう、このストーリーの心棒となるものに違いない、と思って読み進めたのですが。。。そうきましたか。。。

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