〇川に架かる橋
　　チュパカブラの事件以降、イナバニーとモミジは協力してケンジの行方を探っていた──
　　しかし、手がかりとなるような物はいっこうに見つからなかった・・・
イナバニー「モミジ先輩、ケンジさんの手がかり掴めました？」
モミジ「ダメね・・・何一つとして掴めなかったわ」
モミジ「イナバ、アンタは？」
イナバニー「私も手がかりナシです・・・」
イナバニー「でも、ちょっと気になる事があるんですよね」
モミジ「気になる事？」
イナバニー「チュパカブラの一件以降、妖怪が全然出てこないじゃないですか」
イナバニー「いったい妖怪たちは今、何をしてるんでしょう・・・？」
モミジ「言われてみれば確かにそうね・・・」

〇屋敷の寝室
　　そしてここは妖魔界
　　妖怪たちが潜伏している世界である・・・
妖狐 玉藻「今日からここが貴方と妾の住むところですわ、剣右衛門さま❤️」
ケンジ「いや、だから俺はケンジだって・・・」
妖狐 玉藻「フフッ 面白い冗談❤️ そんな所もかわいい❤️」
妖狐 玉藻「さあ・・・今から離ればなれになっていた時間の埋め合わせをしましょう・・・」
妖狐 玉藻「妾が、たーーーーーーーっぷり剣右衛門さまを愛して差し上げますわぁ❤️」
ケンジ「いやちょっと待てって!!! なんでそうなるんだよ!? てかケンエモンって何!?」
妖狐 玉藻「あらあら・・・そんなに照れなくてもいいのに・・・❤️」
妖狐 玉藻「さあ、まずは接吻を・・・」
餓鬼「あのー、すんません、玉藻さま お腹が空いたんでなんか食いもんを恵んでくれませんか？」
餓鬼「あと、他の妖怪たちが早く命令を出せ！ってうるさいんですけどー・・・」
妖狐 玉藻「んなっ・・・！ 貴様ッどこから入ってきた!?」
餓鬼「いやそのー、まずはオラに食いもんを・・・」
妖狐 玉藻「そんなもん、人間界に行って適当に食えばよかろうが!! ほれ、さっさと出ていけ！」
餓鬼「ヒィィィ！ す、すんませんでした〜！」
妖狐 玉藻「全く・・・空気の読めんやつじゃ・・・」
妖狐 玉藻「さあ剣右衛門さま、続きを・・・」
ケンジ「いやだからその俺は・・・」

〇ハート
ケンジ「ちょっ！アンタ！なに勝手に他人の唇奪ってるんですか!? そういうのはいいから離して!!!」
妖狐 玉藻「あらあら、そんなに暴れちゃ駄目ですわ・・・❤️ さぁ、妾に身を委ねて・・・」
ケンジ「うわっ！ちょっ！やめっ！」

〇川に架かる橋
　　そして再び地上──
イナバニー「ちょっとお腹が空いてきましたね・・・ 一旦コンビニに寄りません？」
モミジ「そうね・・・ ちょうどお昼の時間だし、何か弁当でも買いに・・・」
イナバニー「この気配・・・妖怪です！ すぐ近くのコンビニにいます！」
モミジ「なんですって!?」
イナバニー「私・・・ちょっと行ってきます!!」
モミジ「あっ、イナバ！ちょっと待ちなさい！」

〇コンビニのレジ
餓鬼「ゲェッへへ〜〜!!! 食いもんがいっぱいだぁ〜〜〜!!! オラとっても嬉し〜〜〜!!!」
マリコ「ちょっ・・・ちょっと！ 店の物を勝手に食べないで!!」
餓鬼「あァ!? 人間ごときがこのオラに歯向かうつもりか〜？」
？？？「待ちなさい!!!」
イナバニー「ハラペコ戦士、イナバニー参上!! そこの妖怪！ケンジさんの行方を教えなさい!!!」
マリコ「いっ、イナバニーさん!?」
イナバニー「あ、マリコさんお久しぶりです！ でも今は危ないから下がって!!」
マリコ「あ、はい！」
イナバニー「さぁそこの妖怪！ ケンジさんがどうなったのか、教えなさい！」
餓鬼「ケンジぃ〜？ あぁ、あのケンエモンとか言われてたあの人間か〜」
餓鬼「あいつなら、オラたちのことをほっといて玉藻さまとイチャイチャしてたぞ〜！」
餓鬼「いや、イチャイチャ”されてた”と言った方が合ってるのかな・・・？」
イナバニー「なるほど・・・まだ生きてはいたんだ・・・ 情報ありがとう！」
イナバニー「さぁ、もうアンタに用はないわ!!!」
餓鬼「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!!! ちょっ、ちょっと待って!!!!」
イナバニー「必殺!!! イナバニーソード!!!!!!!」
餓鬼「ひっ・・・ひどいっ・・・！」
イナバニー「ケンジさん・・・まだ生きてたんだ よかった〜・・・」
マリコ「イナバニーさん、また助けていただいてありがとうございます！」
マリコ「でもさっき、ケンジが連れ去られたとか聞いたんですが・・・」
イナバニー「安心してください！マリコさん！ ケンジさんは必ず連れて帰ります！」
マリコ「は、はぁ・・・」
マリコ（どうしよう・・・ケンジとはもう別れたなんて今更言えないよなぁ・・・）
モミジ「イナバ!! アンタ大丈夫なの!?」
イナバニー「あっ！モミジ先輩！ こっちはもう片付きました！ どうにか情報も聞き出せましたよ！」
モミジ「やるじゃない！ さぁ、お昼を食べに行きましょ！」
イナバニー「はい!!」
マリコ「・・・・・・・・・」
マリコ「店、めちゃくちゃになってるんだけど・・・」