アングラ☆リーガル

杜若ゆうき

エピソード22(脚本)

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杜若ゆうき

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〇大型ホール

〇コンサートの控室
  菜々美はメイク直しをしながら紫苑の帰りを今か今かと待ち望んでいた。
松山紫苑「見つけた! 押さえたよ!」
大野菜々美「紫苑!」
  バーン!!
  紫苑が控室に入ってきたと思うと、大きくドアが開いた。
松山紫苑「エっ!?」
大野菜々美「キャー!」
蛇淵雅子「この、泥棒猫! 資料を返しなさい!」
  蛇淵(へびぶち)はドスドスと控室に入ると、部屋の鍵を閉める。
松山紫苑「まぁ社長、そんなに慌ててどうされたんですか?」
蛇淵雅子「貴女でしょ? 事務所から盗んだのは」
松山紫苑「何をです?」
蛇淵雅子「事務所の重要な資料!」
松山紫苑「ふーん、『重要』というのは具体的にどのような意味で重要なのでしょうか?」
蛇淵雅子「重要と言ったら重要なんだよ!」
松山紫苑「例えば・・・。 菜々美の契約書を偽造した証拠とか?」
蛇淵雅子「ふっ、証拠?」
松山紫苑「社長、お部屋で見つけてしまいました。 菜々美の契約書、書き換えましたよね? それって・・・」
松山紫苑「刑法第百五十九条、有印私文書偽造もしくは変造、つまり立派な犯罪です!」
松山紫苑「他にも、同様の手口を使われている、対象者のリストがありました」
  ぺぇるさん、1分前です!
  部屋の外からスタッフが声がかける。
蛇淵雅子「ふふ、見られちゃったのね」
松山紫苑「はい、このリストの方々と集団訴訟を提起することも視野に入れています」
蛇淵雅子「ふふ、わかった。 菜々美の賠償金はチャラにしてもいい」
蛇淵雅子「貴女は菜々美が助かればいいんでしょ?  だから・・・」
  蛇淵はそう言って紫苑のカバンに手を伸ばす。
松山紫苑「渡しませんよ」
  会場内には曲の伴奏が流れ始めた。
大野菜々美「紫苑!」
  菜々美が紫苑を呼びかけ、2人は控室を飛び出した。

〇舞台下の奈落
  紫苑と菜々美はカバンを抱えながら、奈落と呼ばれるステージの下を走る。
蛇淵雅子「逃がすもんか!」
  蛇淵は髪飾りから隠しナイフを取り出すと、振り回しながら二人を追いかける。
  紫苑と菜々美はあっという間に壁際に追い詰められた。
松山紫苑「そこを退いて下さい」
蛇淵雅子「それを渡せば退いてあげる」
大野菜々美「卑怯な!」
蛇淵雅子「ふふっ」
松山紫苑「社長、いまそれをしまえば社長は捕まって刑法第百三十条の住居侵入罪です」
松山紫苑「そのまま出てくれれば、私達は黙っておきます」
松山紫苑「社長は罪に問われずに済むかもしれません」
蛇淵雅子「断るね」
大野菜々美「もう、曲が始まってる!」
蛇淵雅子「裏切り者のお前たちのライブなんかどうでもいい」
蛇淵雅子「むしろいい気味よ」
松山紫苑「もし社長がここで、そのナイフで私を傷つけたとします」
松山紫苑「すると社長の罪は、刑法第二百三十六条、強盗罪に変わります」
松山紫苑「懲役も5年以上となり、罪の重さはだいぶ変わります」
  紫苑が言い終えた次の瞬間、蛇淵は菜々美の腕をつかんで引き寄せた。
大野菜々美「キャーーー!」
蛇淵雅子「ここなら誰も見ていないからね、刑法第ナンジュウ条『殺人罪』を犯したって世間に犯人がバレることも無いんじゃないかしら」
松山紫苑「いいえ、法は必ず貴女を裁きます」
蛇淵雅子「カッコイイこと言うじゃない。 でもね、あの資料が外に出た方が私はマズいの」
蛇淵雅子「だから、貴女達を殺してでも私は資料を取り返す」
蛇淵雅子「こっちの後ろには闇の世界の人間もついているの」
大野菜々美「紫苑!」
松山紫苑「・・・わかりました、資料をお返しするのでナイフをこちらに渡して頂けますか?」
  そう言いながら紫苑は蛇淵に詰め寄る。
蛇淵雅子「わっ何? 」
蛇淵雅子「貴女、近寄り過ぎじゃない?」
  周囲がだんだんと明るくなっていく。
松山紫苑「はい、こちらをお渡ししますね」
蛇淵雅子「わっ、眩しい!」
松山紫苑「5、6、7、8」

〇白
  次の瞬間、三人の視界には大勢の観客たちとペンライトの光が広がっていた。

〇コンサート会場
  曲の伴奏が流れ始め、観客は二人の登場を心待ちにしていた。
  キィーーーン
  ハウリング音が響いたかと思うと、スピーカーから声が漏れ出てくる。
  キャーーー!
  えっ?
  演出か?
  ここなら誰も見ていないからね、刑法第ナンジュウ条『殺人罪』を犯したって世間に犯人がバレることも無いんじゃないかしら
  いいえ、法は必ず貴女を裁きます
  カッコイイこと言うじゃない。
  でもね、あの資料が外に出た方が私はマズいの
  こっちの後ろには闇の世界の人間もついているの!
  物騒な話に観客がザワつき始めたとき、ステージ中央にスポットライトが当たった。

〇コンサート会場
  三人の登場に客席から大きな歓声が沸く。
蛇淵雅子「ええええ!?」

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