仮想世界のサンタクロース

ばんばんぶう

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〇研究所の中枢
博士「どうだい、AIのサンタクロースの設定は?順調に進んでいるかい?」
博士「いよいよ、明日はクリスマス・イブだ」
助手「あっ、博士、お疲れ様です。それが思った以上にサンタクロースの設定に苦戦しておりまして・・・」
博士「それは、まずいね・・・」
博士「例えば、どんなところに苦戦しているんだい?」
助手「はい、夜気付かれずに部屋に入って、プレゼントを枕元に置く、といった設定をAIに教え始める所までは順調でした」
博士「うん、それで課題とは・・・?」
助手「仮想世界の中でも治安悪化が危惧されており、家のセキュリティシステムのレベルが日々上がっているのはご存知ですか?」
博士「その話は、私も社内のセキュリティ担当から聞いたよ」
助手「それで、通常のAI設定のサンタクロースだと、アラームに引っかかり、親や子供見つかってしまうんです」
博士「それは、サンタクロース失格だね・・・」
助手「はい、なので、最新のセキュリティシステムを掻い潜り、部屋に忍び込む設定を最大値にしました」
助手「すると、どういう訳か、AIのサンタクロースが「怪盗」に成長してしまうんです・・・」
助手「プレゼントを置いてくるはずが、プレゼントとして人の物を勝手に持って帰って来てしまうようになりました」
博士「うーん、それは大問題だ・・・」
助手「それで、一旦、AIのサンタクロースの開発は凍結しています」
博士「おいおい、それじゃあ、明日のクリスマス・イブにはプレゼントは配れないってことかい?」
助手「いいえ、大体的に宣伝してしまっている以上、プレゼント配布は中止できません・・・」
博士「じゃあ、どうやってプレゼントを配るつもりだい?」
助手「はい、我々運営スタッフが総出で、各家庭にプレゼントを配布しようかと」
博士「いやいや、一体いくつ家庭があると思っているんだい?」
博士「しかも、セキュリティシステムもレベルが上がっているさっき言ってたじゃないか!」
助手「そうですよね・・・」
博士「うーん、是非、仮想世界のユーザーにも、我々が子供の頃感じたクリスマス・イブのワクワクを感じて欲しかったんだが・・・」
博士「やっぱり、諦めるしかないかな・・・」
助手「あっ、教授っ!」
助手「そうですよ、配ってもらうんですよ!」
助手「現実世界と同じように、親御さんに!」
助手「そうすれば、人手の心配も、セキュリティシステムの心配もありません!」
博士「ん?えーっと・・・」
博士「つまり、仮想空間で親ユーザーに、子供ユーザーの枕元にプレゼントを置いてもらうと・・・」
助手「そうです!親ユーザーにサンタクロースになって貰うんですよ!」
博士「結局、サンタクロースは現実世界も仮想世界も親が担ってもらわないとってことか・・・」
博士「では、プレゼント用のポイントを親ユーザーに無料配布を急いでくれ!」
博士「これぐらいは、我々でもサポートできる」
助手「了解しました。直ぐにポイントを無料配布を進めます!」
助手「(実は、現実世界も親にプレゼント代を配っている秘密組織があったりして・・・)」

コメント

  • はたしてこの作戦がうまくいくのか、続きが気になります♪この感じでいくと、仮想世界と現実世界と子どもたちは2回プレゼントをもらえることになるのかな、、いいなぁ♪

  • 仮想世界の話なのに、結局現実世界と同じようになる。
    オンラインゲームとかも似てますよね。
    ルールを作って、より快適に遊べるように…。

  • 仮想世界においても、頼みの綱は親御さんなんですね。もしサンタクロースが実在していても結局は親頼みの現実世界の皮肉っぽく感じて面白いです。

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