りたーんぴりおど!(脚本)
〇研究所の中枢
広大な研究所に天才が2人いた。
1人はAIの分野で、もう1人は脳科学の分野で才能を遺憾なく発揮している。
石井「お前たちは本当に研究熱心だな。 優秀な部下を持てて幸せだ」
日向「石井さん、これが僕の趣味ですから」
石井「そうかね? まあたまには休みたまえよ」
〇高級マンションの一室
暦「ただいま」
琥珀「おかえりなさい。疲れたでしょう」
暦「あぁ、君がいるから頑張れるんだ」
暦「明日は一緒にショッピング行こうか、君の欲しいものなんでも買うよ」
琥珀「あなたとの時間より欲しいものなんてないわよ」
しかし翌日のことだった。
琥珀が何者かに刺殺されたのは。
〇研究所の中枢
日向「その、気の毒だったね・・・」
暦「琥珀は、妻は俺の生き甲斐だった・・・」
暦「俺は妻を殺した奴を許せそうにもない・・・!」
暦「だが犯人は捕まろうともしてないんだ。 ・・・何が天才だ、こんなに無力で・・・」
日向「暦・・・」
日向「もし、奥さんを助けられるかもしれないと言ったら?」
暦「何を言ってる? 妻を助けるなど、過去でも変えない限り・・・」
暦「! まさか!」
日向「そう、君に手伝わせたのはタイムマシンの作成なんだ。隠しててすまなかった」
日向「僕はアインシュタインの脳を解析する機会を得た。 結果タイムマシンの基礎理論を入手したんだ」
日向「それが3日前完成した。まだ実験はしてないから危険だけど・・・」
暦「なら早速俺に使わせてくれないか! 最初の実験台にしてくれ!」
日向「そのつもりだ。ただタイムパラドックスが起きたら何がどうなるか分からない。 くれぐれも気をつけてくれ」
日向「君の奥さんが亡くなったのは3日前だったね。それに時空の座標を合わせる」
そして日向はマイクロコンピュータを操作しタイムマシンを暦に渡す。
暦は意を決して起動する。
〇公園のベンチ
暦「ここは・・・?」
暦はスマートフォンを取り出して日付を確認する。
3日前になっていた。
暦(成功したか・・・ だが妻が殺される時間まで残り5分しかない・・・!)
慌てて公園内を探し回る。
琥珀「・・・」
琥珀はベンチに座り、本を読んでいた。
暦「! 琥珀!」
琥珀「あれ? あなた、どうしたの?」
暦「逃げるぞ。ここは危険だ」
琥珀「え、えぇ?」
琥珀の手を引き、走る。その時だった。
銃声が響いた。
馬鹿な、前回は刺殺だったはず。
銃まで用意していたというのか?
暦は慌てて妻を庇おうとするが・・・
琥珀「・・・ごほっ」
琥珀は口から血を流し、倒れた。
ほぼ即死だった。
暦「馬鹿な! 琥珀! 目を開けてくれ!」
〇研究所の中枢
暦「くそ、もう一度だ!」
日向「待ってくれ! 過去には4回・・・あと3回しか戻れない!」
暦「次こそ俺は・・・!」
〇公園のベンチ
しかし、暦はまたしても妻を救うことが出来なかった。
暦は慌てて警察を呼び、妻を庇った。
これで大丈夫だろう、と思ったら今度は地震が起き、一瞬分かれたその拍子に撃たれた。
同僚の日向が言うには、琥珀が死ぬことではなく犯人が殺人をすることが確定しているのかもしれないとのことだった。
そこで次に暦が取ったのは、犯人を見つけることだった。
暦(犯人を見つけるには琥珀が殺されるのを放置して見張るしかない)
暦(すまない、琥珀。君を助けるために一回だけ見殺しにさせてくれ)
そして5分後、1人の男が琥珀に歩み寄る。
上司の石井だった。
石井「道を訪ねていいかな。 駅に行きたいんだ」
琥珀「あぁ、それなら左に行けば・・・」
石井「ありがとう、礼をさせてくれないか」
石井はバッグをごそごそと漁る。
そして取り出したのは──
暦「! やめろ!」
しかし石井は琥珀の胸を素早く貫い──
マキ「そこまでにゃ!」
石井「な、何だ、お前は!」
なんだ、と言われてもこちらの台詞だった。
マキ「よーーーやく私の出番だにゃ! みんな待ちくたびれたんじゃないにゃ?」
マキ「まったく、この世界は何度繰り返していることか・・・」
マキ「暦、お前は琥珀を救うことには確かに成功するにゃ。 でも代わりにお前が命を落とし、今度は琥珀がお前を救うために死ぬ・・・」
マキ「つまりこの世界はループしているんだにゃ」
暦「どういうことだ? まるで〝知っている〟かのように・・・」
マキ「この世界の暦と琥珀は悲惨すぎて目も当てられないにゃ」
暦「この世界? 他にもいるのか?」
マキ「うじゃうじゃいるにゃ! 作者はスターシステムとか言ってるけど絶対手抜きだにゃ!」
石井「・・・よく分からんが私はお嬢さんにお礼をしようとしただけだ。 時間の無駄なら去っていいかな」
暦「いや、あんたは紛れもなく妻を刺そうとした! あんたの鞄を調べれば銃だって出てくるはずだ」
マキ「殺意の塊過ぎて引くにゃ・・・.」
石井「ふん、さてはタイムマシンでも作ったか? だがこれで動けるか?」
そう言うと石井は素早く銃を取り出し、琥珀に向ける。
琥珀「あ、あなた・・・」
暦「琥珀! くそっ!」
そう、BGMは緊張感に欠けるがピンチであった。
マキ「暦、この世界は石井が誰かを殺すことが確定しているにゃ」
暦「なんだと? やはりどうしようもないって言うのか!」
マキ「これを使うにゃ」
暦「これは?」
何やら音声らしい。
暦は再生する。
石井「『そのためにお前の妻を始末した。 そうすれば死に物狂いで作ってくれると思ってな』」
石井「! さては前の世界の録音か!」
暦「! そうか、証拠が先にあれば手が出せない!」
マキ「そもそも今さら琥珀に銃を向けても手遅れじゃないかにゃ?」
石井「だ、だまれ! 私が作るクローンは脳に欠陥が生じるのだ・・・ その代替となるAIを作らせるにはこれしかなかったんだ!」
石井「おかげで私は研究機関からも冷遇され、才の劣る者に従事せねばならなかった・・・ この屈辱が分かるか!」
マキ「この屈辱が分かるか!」
マキ「だってにゃwww 知らんがにゃwww」
マキ「そもそも大事なところを人任せかにゃwww それにこんなチープな殺人計画企ててる時点でお里が知れるにゃwww」
石井「ぐぬぬ・・・」
石井「その音声を消せ! さもないと撃つぞ!」
マキ「暦、警察は呼んであるよにゃ?」
暦「え? 今回は見殺しにするつもりだったから呼んでないが・・・」
マキ「なにやってんだにゃああああああ!」
石井「ふ、ふふふ・・・ 形勢逆転だな!」
マキ「なんてにゃ! お巡りさん、そろそろ着きそうかにゃ? ちゃんと話聞いてたよにゃ?」
石井「馬鹿な、最初から警察と通話していたというのか──」
パトカーが来たのだろう、サイレンの音が近づいてくる。
石井「あ、あぁ・・・ 私の完璧な計画が・・・」
マキ「あれあれ? 形勢逆転だな! とかほざいてたのはどこのアホだったかにゃ?」
そして石井は連行された。
暦「石井が誰かを殺すことは確定している・・・ だが奴は社会的に自分を殺したわけか」
琥珀「・・・あなた。 よく分からないけど助かったのね」
暦「あぁ、やっと君を救うことが出来た・・・」
抱いて喜び合う二人。
悲劇に終止符が打たれたのだ。
マキ「私はクールに去るぜにゃ」
〇高級マンションの一室
暦「あぁ、なんだか長い間夢を見ていた気分だ」
琥珀「不思議ね、私もよ」
暦「琥珀、君の温もりをもっと感じたい」
琥珀「私も・・・」
マキ「おっ、ベッドシーンかにゃ?」
暦「なっ! 君は一体どこから・・・」
マキ「お邪魔虫は去るにゃ〜」
暦「待ってくれ。 君は何者なんだ?」
マキ「ただのハッピーエンド主義者にゃ」
暦「君はあまりにも何でも知っている。 まるでこの世界の・・・」
マキ「おぉっと、時間切れにゃ! 去るにゃ!」
暦(彼女は一体・・・ だがもし、俺の憶測が正しければ・・・)
マキ「シリアス禁止!」
暦「うわ!」
こうしてまたしても世界が1つ救われた。
マキの活躍はまだまだ続く!
のだろうか。
バッドエンドを変えるには、やはり外部からのパワーが必須ですね!
ハッピーエンドを手に入れた夫婦をもう一晩見守りたい気持ちもありますが、彼女に次なる使命があるならばやむ無し🤤