〇戦闘機の操縦席（空中）
　　日本・関東上空
NATO長官「日本政府の許可は不要だ」
NATO長官「撃墜しろ──」
パイロット「了解──」
NATO長官「耽美装甲に通常兵器は効かん」
NATO長官「アンチ・タンビーム兵器を使え！ （耽美反射光線）」

〇雲の上

〇雲の上
鉄甲丸「えーっと」
鉄甲丸「標的のイケメンはあのあたりかな？」
鉄甲丸「なんの光ッ──!?」

〇研究機関の会議室
　　NATO・対耽美防衛局
「日本上空の耽美は撃墜した模様」
エージェント「撃ち落としてよかったのか？」
エージェント「まあ死んではおりますまい」
エージェント「奴らとの全面戦争は避けたい──」
エージェント「日本・・・ いや、正しくは──」

〇黒背景

〇一軒家
「大日本耽美主義人民共和国？」

〇シックなリビング
タツモト「そんな国家は・・・」
タツモト「無いッ！」

〇白
春雨「嘘じゃないよー」
春雨「今日からホームステイに来るみたいでさ」
春雨「その国の子が一人」
春雨「『曇寄　鉄甲丸』 （どんより　てっこうまる）」
春雨「ていう名前の子だってさ」

〇シックなリビング
タツモト「相当ゴツイ男だろソイツ」
タツモト「って、実在するんかその国・・・」
タツモト「・・・」
タツモト「はぁ」
タツモト「いまいちノれねーわ」
タツモト「こっちは失恋したばっかなんだよ」
タツモト「誰かさんのせいで──」

〇高い屋上
　　数時間前
おもち「今日はあっついね〜」
タツモト（よし、俺は聞くぞやるぞ！イくぞ！）
タツモト「おもち先輩っ！」
おもち「なにかなっ」
タツモト「先輩は・・・年下が好きなんですよね？」
おもち「え、 あぁ・・・そう、だよ」
タツモト「俺も年下っ──」
おもち「タツモトくん、気づいちゃったんだ？」
タツモト「え？」
おもち「私の気になる人」
タツモト「ん？」
おもち「彼、キミの幼馴染だもんね」
タツモト「ッ──!?」
おもち「春雨くん」

〇ペットショップの店内
春雨「なぁ、タツモト」
春雨「ふたりで一緒に・・・ネコ育てようぜ」
　　幼馴染の春雨くん

〇高い屋上
タツモト「な、なな・・・」
おもち「内緒にしてね？」
タツモト「ど、どどど、どの辺がが・・・が」
おもち「顔」
タツモト「ぱお・・・」
おもち「キレイめなイケメンが・・・好きっ」
タツモト「・・・」
タツモト「イケ・・・メン・・・」

〇一軒家
「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ッ──!!」
「どぉ゛じでだよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ──!!」

〇空
鉄甲丸「・・・・・・」
鉄甲丸「ぁ──」
鉄甲丸「イケ・・・メン・・・」

〇SHIBUYA SKY
耽美先輩「みなさんっ！」
耽美先輩「今年もこの季節がやってきました！」
耽美先輩「耽美の夏っ！」
「イケメンの夏ッ！」
耽美先輩「この短期留学は遊びではありません」
耽美先輩「神聖なる祖国日本の奪還のため──」
耽美先輩「まずは一人一殺！」
耽美先輩「イケメンを堕とすッ──!!」
耽美先輩「耽美な男の娘の沼に引き摺り込み・・・」
耽美先輩「女性への興味を根絶してやりましょうッ！」
耽美先輩「それが──」
耽美先輩「耽美決戦なのですッ──!!」
「耽美万歳──!!」
「耽美万歳──!!」

〇空
鉄甲丸「くぅ──ッ」
鉄甲丸「制御できないッ──!!」
鉄甲丸「そんな・・・このままじゃ・・・」
鉄甲丸「イケメンを見失って──」

〇畳敷きの大広間
兄上「鉄甲丸」
兄上「出来の悪い弟・・・」
兄上「父上も母上も、 お前には見切りをつけている」
兄上「持っていけ」
兄上「自決用だ」
兄上「イケメンを堕とせぬ時は・・・」
兄上「生きて帰ることは許さん」

〇空
鉄甲丸「自決・・・」
鉄甲丸「イケメンの・・・ために・・・？」
鉄甲丸「・・・」
鉄甲丸「なにが・・・！」

〇シックなリビング
タツモト「なにが・・・！」
タツモト「イケメン・・・イケメンって・・・！」

〇空
鉄甲丸「イケメンなんて・・・！」

〇一軒家
タツモト「イケメンなんて・・・！」

〇地球
「消えちまえぇぇぇええッ──!!」

〇一軒家

〇街の全景

〇地球

〇黒


〇黒

〇一軒家
　　後編へ続く──