二人、どうやら同じ幻覚を見ているようです?

歯車

エピソード3 ティアル神話の光と闇(脚本)

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〇ヨーロッパの街並み
  廃教会があった遺跡から森の中を少し歩くとシロサキの視界に賑やかな街が広がった。
  大通りの道の先には立派な城が建っている。
シロサキ「もしかして・・・あのお城まで行くの?」
ソム「・・・ああ」
シロサキ(このひとほんとに王様なんだなぁ・・・)
  二人が歩いているアルディナの街は沢山の露店や屋台が並びお祭りのような雰囲気だった。
  気になるものが多く、シロサキは純粋な子供に戻ったように目を輝かせた。
シロサキ(初めて見る果物! 知らない鳥さん! 不思議な動物! めっちゃ好みのアクセサリー!)
シロサキ(普通に観光したかったな・・・)

〇西洋の城
  アルディナ城の前まで来たシロサキは昔の自分のユメをふと思い出した。
シロサキ(小学生)「わたしの将来のユメはお姫様!」
シロサキ(今の私って、お姫様みたいじゃない・・・?)
ソム「・・・どうした?」
シロサキ「な、なんでも・・・ないよ」
シロサキ「てか、凄いお城!ソム、この城に住んでいるの!?」
ソム「・・・ああ、そうだが?凄いことなのか?」
シロサキ(もう〜〜〜生まれた環境ギャップすごすぎておかしくなりそう!)
シロサキ「ソムにとっての「当たり前」は私にとってすっごく特別なんだよ。あ〜あ、写真、撮りたかったな・・・」
シロサキ(アサノくん・・・スマホだけ置いてった)

〇貴族の応接間
ソム「シロサキ、この部屋で待っていてくれ 情報屋を呼んでくる」
シロサキ「うん・・・分かった」
シロサキ(また名前、呼んでくれた・・・)
シロサキ(ちょっとは気を使ってくれるようになったのかしら・・・?)
トリック「君、凄いね・・・白の王と普通に話せるなんて」
トリック「オレ、怖くてさ〜」
シロサキ「えーと、あなたは・・・?」
トリック「あ。馴れ馴れしくてごめん!オレ、トリック・スターライト。最近入学したばかりで友達居なくて・・・」
シロサキ「入学・・・って、このお城ってガッコーなの!?」
トリック「うん、そうだよ!それから、チェスの駒の擬人種の家でもあるんだ〜」
シロサキ「ということは、あなたも?」
トリック「オレは白のビショップだよ、最近知って自分でも驚いた!少し前まではジャスパ国の工場で働いてたんだ!君はどこから来たの?」
シロサキ「えーと、別の世界から・・・飛ばされてきた、迷子です・・・」
トリック「ええ〜!? 凄い人だ〜〜〜」
シロサキ「そうでもないよ。私も向こうの世界ではフツーの学生。名前はシロサキ ミキ・・・ シロサキって呼んで!」
トリック「よろしく!シロサキ!」
シロサキ(超フレンドリーな人だなあ〜)
ビショップクラスの先生「待たせたね、トリック」
トリック「あ、先生!結果どうでした?オレは何属性の魔素を持ってるのか早く教えてよ!」
ビショップクラスの先生「大事な話ですし場所を変えましょうかね?」
トリック「オッケー! シロサキ、今日は話せて良かったよ!ありがとう!」
ビショップクラスの先生「客人の方、トリックの話を聞いてくれてありがとうございました・・・ では、行きましょうか」
トリック「またね!」
シロサキ「うん・・・!」
  それから数分後
アダン「待たせたな!」
シロサキ「誰ですか・・・!?」
シロサキ「ソム・・・着替えてきたのね」
アダン「俺はアダン・ロレーラ 白の王に、あんなボロボロの服で出歩くのは寄せって説得して貴族服を着せてきたぜ!なかなかイイだろ?」
ソム「こういう服は動きにくくて苦手なのだが・・・」
シロサキ「めっちゃいいじゃん!」
ソム「そうか・・・?」
シロサキ「ソムはカッコイイんだから、そのほうが良いよ!」
アダン「ハッハハハ!褒められたな〜〜〜良かったじゃないの?白の王よ」
ソム「おい・・・そろそろ話を戻すぞ」
「はーい!」

〇貴族の応接間
  ソムが呼んできた情報屋のアダン・ロレーラはシロサキから謎の黒服集団の話を聞くと困った顔をした。
アダン「そいつら多分、ウェルペルト帝国に居る邪教徒どもですよ」
シロサキ「邪教徒・・・?」
ソム「アルディナ国では創造神ティアルを信仰する者が多いが・・・ウェルペルト帝国には邪神を信仰する者たちも居ると聞いたことがある」
シロサキ「あ!さっきの神話の話の事ね。世界を滅ぼした邪神を信仰しているから邪教徒って呼ばれているのね・・・」
アダン「予想だが、君の友達はウェルペルト帝国の城に連れて行かれたと思う・・・」
アダン「早く助けに行かないと、奴らの破滅思考に洗脳されてしまうかもしれない!」
シロサキ「アサノくん・・・大丈夫かな」
ソム「・・・助けたいのだろう?」
シロサキ「・・・うん」
アダン「俺はただの情報屋だから、力にはなれないが・・・知り合いにすげーやつが居る。そいつと会ってみないか?」
シロサキ「はい!そのすげーやつに会ってみたいです!」
アダン「名前はルドルフ・レーガンっていうんだが、潜水艦で世界中を旅している変わり者だよ」
  アダンはスマホによく似た端末を操作して世界地図を見せてくれた。
シロサキ「これが、異世界ティアルディーブル・・・知らない名前の国ばかりある・・・」
アダン「あんたラッキーだな!ルドルフのやつちょうどアルディナ国へ向かっているようだぜ。俺から連絡しておくから到着するまで休んでな」
シロサキ「ありがとうございます!」
アダン「白の王、城内の案内は任せたぜ」
ソム「分かった・・・シロサキ、着いてこい」
シロサキ「はーい!」

〇城の客室
ソム「・・・空いている部屋だ、好きに使ってくれ。鍵も渡しておこう」
シロサキ「ありがとう・・・」
シロサキ「あ。そうだ!私、このドレス気に入ってるけど、ちょっと目立つよね・・・」
シロサキ「着替えがほしいわ・・・」
ソム「・・・分かった、暫く待っていてくれ」
シロサキ(ソム・・・素っ気ないけど、意外と私の為に動いてくれてる・・・)
  暫くすると、コンコンとドアを叩く音がした。
ラヴィデ「失礼します!あら、かわいいお姫様!」
シロサキ「・・・え、と、シロサキです。ありがとうございます・・・」
ラヴィデ「私はラヴィデ・マナリア。よろしくね! 今日は白の王に頼まれてあなたの為に服を持ってきたの」
シロサキ「あら、そうだったの!ありがとうございます!」
シロサキ(ソム、気を使ってくれたんだ・・・・・・)
ラヴィデ「どれがいいかな?好きなの選んでね」
シロサキ「これにします・・・あまり目立たないようにしないと」
シロサキ「あと、これね!作戦準備!黒系の服を何着か借りてもいい?」
ラヴィデ「何のためか分からないけど、良いわ・・・どうぞ!」
シロサキ「・・・ありがとうございました!」

〇貴族の応接間
  部屋から出て応接間に戻ったシロサキはソムを呼んだ。
シロサキ「ソム!・・・あれ?居ない?」
  シロサキが応接間を見渡すと、ソファーの上で眠っているソムを見つけた。
シロサキ「・・・寝てる?」
ラヴィデ「白の王、普段めったに人と話さないのに今日は、あなたの為に慣れないことをして疲れちゃったのかも・・・」
シロサキ「ソム・・・振り回してごめんね」
ラヴィデ「あなた達、お似合いだと思うのだけど・・・シロサキさんにはもう大切な人が居そうね」
シロサキ(もしかして・・・アサノくんのこと・・・?でも好きって訳じゃなくて・・・なんだろう?一緒に居ると落ち着く相棒みたいな・・?)
シロサキ(そうだ!・・・それがしっくりくる!アサノくんは私の相棒なんだ!)
シロサキ「実は、大切な相棒が誘拐されてしまって・・・私、助けに行くつもりなんです!」
ラヴィデ「ええ!?そうだったの・・・」
ラヴィデ「白の王・・・シロサキさんをしっかり護るのよ」
ソム「・・・・・・そのつもりだ」
シロサキ「あっ、起きてた・・・!」

〇闇の要塞
  シロサキがアルディナ城の人々と交流を深めている頃、アサノはウェルペルト帝国にある不気味な城に連れてこられていた。
アサノ(うわあ・・・見るからにやばそうな所だな)
黒服の男「ジャミラス様、連れてきました!」
ジャミラス「ご苦労。・・・異界から来た者よ、どうやってこの世界へ来た?」
アサノ「俺も分からなくて困ってるんです!」
アサノ「帰る方法知りませんかーー!?!?」
ジャミラス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ジャミラス「・・・地下牢へ連れて行け」
アサノ(こいつ使えねーやつって思われたな・・・)
黒服の男「来い・・・」
黒服の女「さっさと歩け」
アサノ(困ったな・・・・・・スマホも落としちまったし。電源入らないから意味ないけど無いってだけで不安になってきた・・・)
アサノ(これからどうなる、俺・・・・・・)

〇牢獄
黒服の男「呼ばれるまでそこに居ろ」
アサノ「はい・・・」
  地下牢に連れてこられたアサノは黒服集団に誘拐されて来た人々と出会った。
  そしてヤバい噂も耳にした。
  呼ばれたら最後、死よりも恐ろしいことが待ち受けているのだと。
レイベル「俺のユメは世界を旅することだったんだけど、スダージュ国の占いの館に立ち寄ったらそのまま誘拐されてしまったんだ・・・」
アサノ「許せねー!こんな場所に閉じ込めて人の貴重な時間を奪いやがって!ユメまで奪うなんて!」
レイベル「そういう君はどこから?」
アサノ「たしか、アルディナ・・・って国から誘拐されて来た」
レイベル「アルディナ国か、行ってみたかったな・・・ティアル神話発祥の地。この世界の中心・・・」
レイベル「早くここから出て自由になりたいけど、呼ばれたら最後と言われると怖くてしかたない・・・」
アサノ「俺は、ぜったい生きて脱出する!皆を助けたいし!」
レイベル「君は、勇敢なんだね・・・」
アサノ「いや、怖いよ・・・だけど、こんな所で負けてたまるか!って思うんだ」
アサノ「だからお前も、気持ちで負けんなよ!」
レイベル「あんたみたいなガッツがある人に出会ったの久しぶりだよ・・・ 俺、レイベル・テヴォルガ あんたは?」
アサノ「俺はアサノ クロオ つい熱が入って偉そうなこと言ってごめん・・・」
レイベル「いや、好印象だよ!こんなことになって落ち込んでたけど元気もらえた気がする! ありがとうアサノ!」
  黒服集団がやって来た。
  集団はアサノとレイベルの前で止まった。
黒服の女「レイベル・テヴォルガ・・・出て来い!」
レイベル「よ、呼ばれた・・・」
レイベル「嫌だ・・・」
黒服の男「抵抗するな!」
アサノ「おい、待てよ!」
アサノ「俺も一緒に連れて行け!」
黒服の女「「儀式の間」には一人ずつ連れて行くのが約束だ!そいつを黙らせろ!」
アサノ「クソ!放せ! レイベル・・・死ぬなよ!」
レイベル「アサノ・・・短い間だったけど話せて良かった!ありがとな!」
レイベル(俺、どうなるんだ?嫌な予感しかしない・・・ああ、もっと色々な世界を見てみたかったなあ・・・)
  レイベルはアサノに感謝の言葉を伝え、涙を流しながら黒服集団に連れられて行った。

次のエピソード:エピソード4 その男、ルドルフ

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