グレイテストワンデック勝利への願いと絆 - 妹を救える唯一の道 -

ぽむ

エピソード1 -妹はどこへ行った-(脚本)

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〇川沿いの道
  妹「お兄ちゃん!」
  犬「ワン!」
  
  妹「お兄ちゃんてば!」
  
  犬「ワンワン!」
  妹「お兄ちゃん!聞いてる!?」
  
  俺「あぁ聞いてるよ。」
  
  妹「ホントにぃ~!?」
  毎朝の日課、
  妹ユリと飼い犬ペコと河川敷での散歩。
  
  妹は自転車、俺はトレーニングウェア。
  ペコは、俺のハンズフリーの
  ジョギング用リードに繋がってる。
  
  土手から見える朝焼けが、
  今朝はとても眩しい。
  妹「お兄ちゃん、
    面白いゲームのショップが
    できたんだって!」
  妹「ここなんだけどさ。」
  妹は自転車を一時止め、
  俺に一枚の名刺を差し出した。
  妹「友達のナオに誘われて
    今日、行くんだ!
    お兄ちゃんも一緒にどう?」
  俺「面白そうだけど、
    今日は、ダメなんだ。」
  俺「今日は前からエントリーしてた
    ゲーム試合があるからさ。
    また今度な、楽しんでこいよ。」
  俺は、素っ気ない態度。
  
  だって、
  妹やその友達と一緒って
  
  なんか、
  恥ずかしいじゃん!
  それに、
  俺が今日の試合に
  必ず参加する理由がある。
  それは、
  妹の医療費を稼ぐため。
  
  幼少期から
  心臓に重い病気を抱えている。
  大会主催の財団から
  ランクに応じ
  多額の賞金が出る異例の大会
  
  財団の提示する金額があれば
  妹に充分な医療を施せる。
  もちろん、
  妹にはナイショ。
  
  だって可愛い妹のために、なんて
  恥ずかしいじゃないか。
  俺「ユリ、最近、
    体調はどう?」
  妹「だいぶいいよ。
    心配してくれるの?
  
    ありがとうお兄ちゃん。」
  だいぶ元気に見えるが、
  いつ発作が起きるかわからず、
  激しい運動は控えている。
  妹「ナオちゃんがお兄ちゃんに
    会いたがってたよ!
    公開してた動画!
    凄い面白かったって!」
  俺「あー、俺とマサキの対決か。
    アイツが撮るって。」
  俺「マサキの奴が
    勝手に動画あげたんだぜ。
    ウケてたけどな。」
  妹「もう有名人じゃん、
    すごいねって言ってた!」
  俺「そうか?
    ただのゲームプレイ動画だよ。
  
    ナオちゃんには、
    よろしく言って。」
  妹「わかった!
  
    試合、頑張ってね!」
  俺「そうだ。
  
    これやるよ。
    お前、欲しがってただろ。」
  俺は妹に一枚のカードを渡した。
  妹「えー!めっちゃ嬉しい!
    これスッゴイ欲しかった!
    超レアなやつ!
   
    お兄ちゃんありがとう!」
  妹(やっぱりお兄ちゃん!
    なんだかんだ言って
    優しいんだから)
  2つ違いの妹だが、わりと仲がいい。
  主にゲームの話とかだけど。
  ただ、なんとなく
  
  俺が恥ずかしい年頃になったって
  だけさ。
  妹は、相変わらず明るい。

〇おしゃれなリビングダイニング
  犬「ワン!ワンワン!」
  妹「ただいまー!」
  俺「お前は元気だな。」
  犬「ワン!」
  母「おかえり、朝食が出来てるわよ。」
  妹「先にシャワー浴びてくるね!」
  母が作ってくれた朝食が、
  テーブルに並べられている。
  
  ごはん、味噌汁、漬物、
  サラダと焼き魚。
  いつもの朝食。
  母が、なんだか深刻そうな顔で、
  俺に近づいてきた。
  母「ユキト、ちょっと話があるんだけど」
  俺「なんだい母さん。」
  母「最近、お父さんの様子がおかしいの。
    何か知らない?」
  俺「いいや、別に。
    おかしいって、どんな風に?」
  母「帰ってくるのが遅いのは、
    いつもなんだけど、
    そっけなくて。
  母「この間も、
    見慣れない服を着てると
    思って聞いてみたら、
  母「新品のスーツやシャツを
    私の知らないうちに
    買ったみたい。」
  母「どうしたの?って聞いたら、
    上の人が買ってくれたとかで。
    なんか、変じゃない?」
  俺「よくわかんないけど、
    親父がそう言うなら、
    そうなんだろ?
  俺「昨日も、
    母さんやユリの好きなケーキ
    買ってきてくれてたじゃん。」
  俺「それより、
    親父の好きなものでも
    出して機嫌とったら?」
  母「・・・そうね、そうするわ。
    考えても、しかたないものね。
  
    ありがと。」
  妹「わー、遅くなっちゃう!
    いただきまーす!」

〇通学路
  妹「じゃ、お兄ちゃん行ってくるね!」
  俺「あぁ、じゃあな」
  
  犬「ワン!ワン!」
  「いってきます」
  妹は、笑顔で手を振っていた。
  ・・・
  まさか、それが
  妹を見た最後になると
  
  誰も思わないだろう!?

〇古い本
  妹が突然、いなくなった。
  今朝、一緒に散歩して
  話してたじゃん!
  朝ごはんも一緒に食べたし
  
  「行ってきます!」って元気に
   言ってたじゃんか!
  どうして、どうして・・・

〇L字キッチン
  キッチンには
  妹が朝飲んだカップが
  置きっぱなしになっている。
  俺はカップを
  しばらく見つめていた。
  家族旅行の時に、
  皆で陶芸して、
  お揃いでカップを作った。
  妹は、そのカップを
  気に入って使っている。
  俺も色違いで同じもの。
  俺「アイツ、作る時に失敗して
    指の跡がついたって
    大騒ぎしてたっけ。
    懐かしいな。
  どこに行っちまったんだ・・・

〇おしゃれなリビングダイニング
  居間では、父が母を支えるように
  ソファに座っていた。
  
  警察へは連絡済み、なんの進展もない。
  最後に見かけたのは、
  友達ナオと別れた時、だという。
  そういえば!
  「これだ。」
  俺は名刺を取り出した。
  今朝、ここに行くって
  アイツ言ってたよな。
  母「どこへ行くの?」
  俺「母ちゃん、俺、アイツ探してくるわ。」
  母「アナタも行ってしまうの?」
  俺「心配するなよ、
    すぐ戻ってくるさ。」
  父「ユキト。」
  
  俺「なに?父さん。」
  父「これを持っていけ。
    俺の手帳だ。
    困った時の連絡先が書いてある。」
  父「スマンな、ユキト。
  
    身体だけは、気をつけてくれ。」
  俺「?気をつけるよ、
    ありがとう父さん。」
  
  
  バタン

〇一戸建て
  俺「変な父さん。
    謝らなくてもいいのに。」
  「ワン!」
  
  「ペコ!お前も行きたいのか?」
  「クゥーン」
  「しょうがないな」

〇海岸線の道路
  俺はペコと一緒に
  街頭だけが光る暗闇を走った。
  犬「ワン!ワンワン!」
  ペコは紅茶好きの妹がつけた名前だ。
  オレンジペコ。ペコが小さい頃、オレンジ色のツヤやかな毛並みが綺麗で、そうつけたらしい。
  もうかなり大きくなってしまったけどな。
  妹が迷子になった時、
  手を引いて、この道を
  歩いたこともあったっけ。
  妹やペコとの思い出、好きなこと、
  不安を抑えるように、
  そんな事を考えながら、
  俺は、夜道を走っていた。

〇寂れた雑居ビル
  例のビルは、
  そう遠くもなく
  
  もう暗闇の街に
  人はほとんどいない。
  俺「このビルだな。」
  犬「ワン」
  
  雑居ビルの一室、4階か。

〇雑居ビルの入口
  ビルにエレベーターが無く、
  階段を登るしかない。
  四階までって結構キツイ、
  そんなところに店があるのか?
  妹も、ここを登ったのか?

〇会議室のドア
  階段を登ると、
  つきあたりにドアを見つけた。
  鍵は、何故か開いてる。
  
  ドアノブを回して中を覗くが、
  真っ暗だ。
  「失礼します・・・」
  
  どうも習慣で、
  礼儀正しく答えてしまう。
  サッ
  
  「あっバカ!入ったらダメって」
  ペコがドアの隙間から
  部屋に入ってしまった。

〇血まみれの部屋
  あれはなんだ?
  手を伸ばそうとすると、
  ゴッ
  
  鈍い音が部屋に響く。
  「うぅ・・・。」
  
  
  バタッ
  俺は、後ろの影に気づかなかった。
  後頭部に、痛みが走る。
  
  その場に倒れた俺の、薄れる記憶。
  ペコの顔が近くにあった。
  「クウ〜ン」

〇黒背景
  つづく

〇闇カジノ
  次回予告
  
  襲われたユキト!心配するペコ!
  行方不明の妹ユリの運命は!
  次回、誘惑のカジノルーム!
  
  お楽しみに!

コメント

  • キャラクタービジュアルとBGMが無い分、言葉がダイレクトに入ってきますね!お兄ちゃんの人柄が、とても誠実で魅力的ですね!

  • わわっ!ぽむ様いつも立ち絵使われるのに、今回一切使ってないのですね!!なんでしょう??後からつけるのでしょうか??それとも、色々検討中なのでしょうか??

    ノベルゲームしているような気持ちになりました✨😊

  • ミステリー小説風のストーリー展開なのに、ジャンルはバトルなのには、意味があるんだろうと期待しております。
    きっと妹思いの恥ずかしがりのお兄ちゃんなのに、突然妹が消えて、初めて大切さが分かったみたいで切ないです。
    次回予告もカジノ!?ってなりました。続きが気になる!

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