神様からの三行半

金平 旺大

第13話(脚本)

神様からの三行半

金平 旺大

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〇広い和室
ツクヨミ「うめぇ、うめぇ」
淡雪「・・・そんなに、美味しいですか?」
ツクヨミ「味のない卵焼きがこんなに美味しいとは 俺は知らなかった」
コマ「オホン、それは失礼かと・・」
淡雪「良かったー。 こんなに喜んで食べてもらえるなんて 光栄です」
ツクヨミ「誰かに作りたくなったら言いな。 俺がコツを教えてやる」
淡雪「ありがとうございます」
ツクヨミ「ん?どうした? 顔色が変わったように見えたけど、 何かあったか、コマ」
コマ「いえ、何もありません」
コマ「どうせ、晩御飯は食べられませんので、 ちょっと散歩に行ってきます」
ツクヨミ「さっき、小さい地震があったからさ。 気を付けて行けよ」
コマ「・・そうですか。 お気遣いありがとうございます」
淡雪「あれ? 最後、なんか変じゃなかったですか? 言葉が少し暗くなったような気がしましたけど」
ツクヨミ「そうか? おそらくスーパー皮膚感覚を持っている 俺しか気づかないほどの小さな地震だったから、」
ツクヨミ「狛犬の自分が感覚で負けたのが嫌だったんじゃないか。 まあ、俺ならこの近くにある震源地ですら何となくわかるけどな」
淡雪「へぇー」
ツクヨミ「おい、そこはもうちょっと 興味を持ってくれよ」

〇森の中
コマ「ここら辺、 何かを感じたんですが、 気のせいだったでしょうか・・」
コマ「・・出てきましたか」
マガツ「我が名はマガツ。 人の怒りを食って生きている」
マガツ「最近、人間の怒りが減ってきててな。 その原因がここにあると聞いてる。 おまえが願いを叶えているのか?」
マガツ「願いを何も考えなしに叶えられると 楽しみがなくなるんだよ」
マガツ「この世の中を不信感だらけにして、 生まれてくる怒りをつまみ食いするのが 生きがいでなぁ」
マガツ「願いを叶えることで 世の中が安定してもらっては 困るんだよ」
コマ「勝手なことを言いますね」
マガツ「前の男は もう何の感情も起きないくらい 寝たきりになったから、」
マガツ「そろそろ違う人間に憑依しようと思っていたんだが、 ・・おまえは人間ではなかったか」
コマ「その通り。 あなたを退治しに来たヒーローです」
コマ「グルルルル」
マガツ「フッ、そんな牙が届くものか」
マガツ「つまらん。 一気に殺すか くらえっ」
コマ「ぐはっ」
淡雪「コマさん、大丈夫ですか?」
淡雪「コマさーん」
マガツ「おまえは誰だ」
淡雪「誰でもいいでしょ。 あんたなんかこのお札で・・」
マガツ「ふん、その札に力はあるようだが、 わざわざそれを貼れる位置に おまえを近づけるわけがなかろう」
マガツ「ハーーーーーッ」
淡雪「キャーーーー」
マガツ「くそ、 あの札のせいで致命傷は つけられなかったか」
マガツ「しかし、これなら・・・」
ツクヨミ「危ないっ」
ツクヨミ「大丈夫か、淡雪」
マガツ「何? あの札が・・ 私の攻撃を・・・」
淡雪「私は・・大丈夫・・ でも、お札が・・」
ツクヨミ「確かに、 半分燃えちまったな。 これじゃ次の一撃は耐えられないか・・」
  ツクヨミ様・・・
  首の勾玉を・・
  私に押し付けて、ください
コマ「グル」
ツクヨミ「これか? これをおまえに返せばいいんだな」
ツクヨミ「頼んだぞ」
ツクヨミ「勾玉が・・ 吸い込まれていく」
ツクヨミ「・・・!? えっ、俺の手も吸い込まれてる」
ツクヨミ「俺の腕も、 俺の肩も・・・ わぁああぁぁぁ」
マガツ「・・・どういうことだ」
マガツ「・・まさか、おまえの器を使って、 人間を取り込んだというのか?」
マガツ「ありえん、ありえんぞ そんなことは神も悪魔も許さんぞ」
コマ「まるで効かないようだな」
マガツ「なに?」
コマ「今度はこちらから いかせてもらうぞ」
マガツ「ぐあーーーー」
コマ「やったか・・・ 淡雪さん、大丈夫ですか」
淡雪「私は、大丈夫。 一体何が起こったの?」
コマ「私の勾玉を返してもらって 完全体で挑もうと思っていたのですが、 ツクヨミ様が身体に入ってきてしまいました」
コマ「ツクヨミ様は私に入った瞬間に 気絶してしまいました。 おそらく私はツクヨミ様の力を借りて、 力を増幅させたのでしょう」
淡雪「・・・そんな話、 会社でも聞いたことがありません」
コマ「私も知りませんでした。 知っていれば近づけさえしなかったでしょう。 危険ですからね」
コマ「今回のことはツクヨミ様に 内緒でお願いします。 おそらく今日のことは 覚えていないでしょう」
コマ「しかし、念には念を入れて。 淡雪さん、お願いがあります」
淡雪「なんでしょう?」
コマ「では、耳打ちをさせてください」
  ごにょごにょごにょ
淡雪「えっ、そんなこと・・」
コマ「それが好きなようですし、 ツクヨミ様がいなかったら 私たちは死んでいたかもしれません。 そのご褒美ということで・・」
淡雪「・・・わかりました。 私にできることはやってみます」
コマ「ありがとうございます。 では、ツクヨミ様のベッドの上で 合体を解除しますので、 明日はよろしくお願いします」
淡雪「・・・・・はい」

次のエピソード:第15話

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