エピソード3(脚本)
〇野営地
キャンプに帰ってきた僕たちは、ケンスケが用意した食事を囲む。
天沢 剣助「探せば見つかるものだ、俺の力だと食べ物や木材は生み出せないからな」
トキオ「出来ないのぜ?」
天沢 剣助「試してみたが、 金属か家電製品くらいが精々だ」
トキオ「なるほど」
トキオ(オレが使う分には火薬の生成等は出来たが、逆にケンスケは難しいのかもな)
天沢 剣助「デパートにあった菓子折りの山だがな」
阿久津 沙也加「コレは泥棒ですね 間違いない」
阿久津 沙也加「もぐもぐ」
天沢 剣助「よく食いながら批判できるよなお前」
阿久津 沙也加「背に腹は代えられないと言う言葉があるのを知らないとは驚きね」
天沢 剣助「相変わらずで何よりだよ どの道異世界の食べ物で無人だし・・・」
ハルカ「トキオは食べないの?」
トキオ「どうしようかなー」
阿久津 沙也加「あら要らないの? なら貰うけど、ビーム出し過ぎて カロリー不足だし」
トキオ「なんかそう言われると無性に奪ってでも食いたくなるオレのサガっ! ぱくっ」
トキオ「ほ〜♡」
トキオ(これが・・・ 『甘い』 なのぜ〜♡)
阿久津 沙也加「まったく、意地汚い人ね!」
ハルカ(どうしよう、お前が言うなってツッコんだ方が良いのかな?)
天沢 剣助「俺を見るな」
談笑も特に無く、
黙々と空になっていく菓子箱。
トキオ「さて、そろそろ・・・ そっちの魔力も頂きますか」
阿久津 沙也加「なっなに? まさかケンスケ君と一緒になって私に乱暴しようと? エォス☆同人みたいに」
トキオ「そんなわけ・・・なんでハルカを盾にするんだよ、ソイツが乱暴する可能性だってあるだろ」
ハルカ「無いよ・・・」
阿久津 沙也加「えっコイツ私でチ○コ勃つ可能性あるの!?」
ハルカ「無いよ・・・ 直球に失礼だよ君」
天沢 剣助「だから俺を見るな、お前より親しいはずの俺すらこんな扱いなんだぞ・・・」
阿久津 沙也加「まあ冗談はさておき、話しはケンスケ君から聞いてるわ、さっさとやって頂戴」
トキオ「お前が話しをこじらせたんだよね?」
阿久津 沙也加「なんか、肩コリが取れたみたいね」
トキオ「それは良かったのぜ でもまだ終わりじゃないぜ」
トキオ「・・・アーケオス・マナリオム・スィール・ギネヴァ・・・」
トキオ「ライブラリェン!!」
阿久津 沙也加「コレは・・・ 誰かが・・・」
阿久津 沙也加(本? 目の前に突然 現れたわ・・・)
トキオ「ん?どうした?」
阿久津 沙也加「あ、いえ、よく見たら イケメンだなぁと思って・・・」
トキオ「・・・本当に変な奴だな」
阿久津 沙也加「・・・コレは・・・ 異世界の物語? 歴史をおとぎ話にしたような本ね」
阿久津 沙也加「ライブラリェン・・・ 十柱神・・・ そして、魔王・・・」
トキオ「あと8人なのぜ」
ハルカ「他のクラスメイトも見かけたんだ、建物の外を走っていた」
ハルカ(そして、あの女たちも)
阿久津 沙也加「・・・これ」
ハルカ「鍵?」
阿久津 沙也加「あのデパートの先は、霊園・・・私達はあそこからデパートに行ったの、ジグ君とカゴメ君は霊園に引き返したハズ」
阿久津 沙也加「あの怪物女の二人組に襲われて、眼鏡を破壊され、私の能力は暴走した」
阿久津 沙也加「いっそあの怪物女を倒せればと思い、屋上で対決してたんだけど、取り逃した」
阿久津 沙也加「その鍵で霊園に進めるわ 二人を、助けてあげて」
ハルカ「分かった、霊園に急ごう」
トキオ「応なのぜ!」
阿久津 沙也加「・・・・・・・・・」
天沢 剣助「サヤカ? なんだその本」
阿久津 沙也加「・・・・・・ ケンスケ君、私達は かなりマズい状況かもしれないわ」
阿久津 沙也加「魔王ゲフィリォの封印 この世界は・・・」
〇墓石
開いた・・・
田所さんの鍵だと
開かなかった錠が。
ハルカ「この先に、居るのか」
あの女どもが
T-48号、M-23号
僕の・・・僕の?
違う、ハルカは知らない、見たこともない、ハルカの世界じゃない。
じゃあ、この記憶は・・・なに?、なんで僕は、あの女どもを知ってる?。
ハルカ(いや、考えるな、進まないと)
時間が惜しい、二人を助けないと。
トキオ(ハァ・・・ 美味しかったな、アレ 味覚なんて知識としては知ってたけど、文字通り味わうのは初めてだな・・・)
トキオ(帰ったら また食べたいなぁ)
〇壁
墓石が積み重なって組み合わさり、もう石壁にしか見えないくらいだ、霊園がどんどん歪んでいる。
ハルカ「これじゃ墓参りが大変だな、墓石の違法建築みたい、空中に埋葬されたら土地問題も解消されるかもだけど」
トキオ「でも、来てる連中も居るのぜ」
田所 陽一「お?久しぶりだな こっちに来てたのか ルーキー」
ハルカ「その人達は?」
田所 陽一「地下に居た、死んでいた連中だな、だが地球人じゃないみたいだ、俺たちと違って普通にゾンビしてるぜ?」
顔色の悪い研究員「あァァァんァァアァ」
田所 陽一「やかましい!」
田所 陽一「気の毒な連中だよ 実験に失敗して皆殺しにされていたようだ・・・」
田所 陽一「あるいは、裏切られたのかも、な?」
田所 陽一「どう思う? ルーキー お前、コイツらと同じ場所から来たんだろ?」
ハルカ「僕が?」
そんなハズはない、僕は・・・ハルカだ、ハルカだったはずだ。
地下の研究施設でイジられてた怪物なんかじゃない、きっと・・・僕は・・・。
田所 陽一「へへっ 少しは混乱したか?」
ハルカ「しま・・・」
囲まれた!
田所ぉ!!。
ハルカ「トキオ!」
顔色の悪い研究員「アアアアアアア・・・」
トキオ「チッ・・・ゾロゾロと・・・」
トキオ(まあ、コレこそゾンビどもの本来あるべき姿なんだがな)
まだあんなに・・・。
トキオ「ほらよっ」
ゾンビ達が吹っ飛んだ。
トキオ「ほらハルカっ 駆け足駆け足」
顔色の悪い研究員「うぁ・・・うう・・・」
トキオ「このままじゃこの便所みたいな墓石の塊が 終の棲家になっちまうぞ?」
ハルカ「わ・・・分かってる・・・」
そうだ、立ち止まっては・・・いられない。
〇洞窟の入口(看板無し)
田村さんから逃れ、墓石が融合しトンネル化した場所。
・・・トンネルの岩肌が、まるで人の顔のように見え、こっちを睨んでるようだ。
トキオ「捲けたみたいのぜ、まあ入り組んだ迷路みたいな場所だしな」
トキオはピストルの弾を補充しつつ、警戒してる。
ハルカ「ありがとう、助かったよ」
ハルカ「少し、気が動転していた」
トキオ「あんなゾンビにビビるなんてらしくないのぜ」
ハルカ「それも・・・そうだな・・・」
僕はいったい何者なんだ、トキオは知ってるんだろ?何か隠してるなら答えてくれ。
そう、言えたら良い、言ったら良い、言ったほうが良い・・・だけど。
トキオは言っていた
どっちのハルカか分からない、こうも言っていた、記憶を失ったのは僕のせい。
ハルカ「トキオ、僕の記憶が無いのは、どうして僕のせいなの?」
その一瞬の凄まじい、殺意。
トキオの瞳に映る怪物の僕。
トキオ「・・・ハルカのせいなのぜ、オレにはどうしても理解できないのぜ、オレは完ぺきにお前を蘇生し、再生し、その上・・・力も与えた」
トキオ「なのに、なんで、 お前はソイツを見捨てなかったの?」
ハルカ「ソイツ?」
トキオ「ソイツだよ、ソイツさえ居なければ、ハルカはハルカのまま、完ぺきなハルカだったハズなのに」
トキオ「お前はソイツを 見捨てなかった だから、記憶がごちゃまぜになって、自分を見失った・・・?」
ハルカ「トキオ?」
トキオ「あるいは・・・最初から? お前は?オレを見越して・・・?」
トキオ(そんなハズは、無い たかが人間が、そこまで先を見るなんて、いや、ならば奴の肉体を得た際に?何らかの能力を?ありえない!)
トキオ「もう、オレの方がお前に聞きたいのぜ、ギリギリ計画が進んでいるから良いものの・・・」
トキオ「ソコにお前が居ないのでは、 意味が無いではないか・・・」
ハルカ「記憶を失ったのは 僕が、誰かを見捨てなかったせい?」
トキオ「現状ではそうとしか言えない、だけどお前が何者になったとしても、だったとしても、オレにとってはハルカなのぜ」
トキオ「でっ、 なにニヤケてんだよ・・・」
ハルカ「なんだか不思議な気分なんだよね、よくわからないけど、僕の中の誰かが喜んでるような気がしてる」
ハルカ「僕はソイツを見捨てなかった、それはきっと 間違いでも過ちでも無かったって、 実感してる」
トキオ(お前のそう言う所、きっと数世界前だったら大嫌いだったのに・・・)
トキオ(今は、なんか嫌じゃない)
トキオ(でも、だからこそ やっぱり嫌い)
トキオ「馬鹿は死んでも治らないのぜー、何度蘇ったとしても馬鹿なままなのぜー」
ハルカ「なにおうっ」
トキオ「だから、ハルカはどんなになってもハルカのままなのぜ、心配ないぜ」
ハルカ「トキオ・・・」
トキオ「いつか、時が来たら 知ってることを全て話しましょう」
トキオ(オレの心の準備ってコトなんだけどな)
トキオ「この洞窟の先に、人間の気配がある、行こうぜ」
洞穴が、嫌な風を吹かしてる。
〇洞窟の深部
龍宮 慈久「ケッタイな連中やな 女だからとて容赦しないで?」
タスク「マキねーちゃん、コイツ一人だよ」
マキナ「また自分を犠牲にして逃がした?パターンは把握している」
タスク「二手に分かれる、だね!」
龍宮 慈久「なめんなや・・・」
龍宮 慈久「お前らなんぞ このその辺で拾った棒で十分や」
タスク「棒って言うか・・・ それボーンだよ、お兄さん?」
龍宮 慈久「ボーンやなっ!?」
タスク「ボーンでしょ?」
マキナ「タスクぅー、お姉ちゃんそう言うのよくわからないの、ボーンがなんだってんだよ」
マキナ「その男は任せたわ、私は別ルートを検索し、残りの人間を探すとします」
龍宮 慈久「まっ待てぇ! そんな事をしたら・・・」
タスク「マキねーちゃん! まって・・・」
嶽酉 加護明「多勢に無勢、なんだな!」
タスク「コイツ! どこから!?」
龍宮 慈久「ガラ空きやっ!」
タスク「ずっズリーよー 二人してぇー」
タスク「素人に攻撃防がれるとか、けっこうショックなんだけども」
嶽酉 加護明「そこっ!」
タスク「刃がない剣なんて・・・ってけっこう痛いじゃないの!」
タスク「消えたっ!?」
龍宮 慈久「これで終いや! 合わせろカゴメ!」
嶽酉 加護明「ハイ!先輩!」
タスク「きゃあ!?」
龍宮 慈久「殺ったか?」
嶽酉 加護明「先輩!」
龍宮 慈久「なっ・・・」
龍宮 慈久「カゴメっ!? 貴様!何時から・・・」
マキナ「敵を騙すなら味方からってね」
マキナ(迷って戻って来たらごらんの有様だよ)
タスク「マキねーちゃん・・・私がぶち殺される寸前まで隠れて見てたの? がくっ・・・」
マキナ「ハッ・・・妹に非ぬ誤解を」
マキナ「全部お前らのせいだ! 本当なら生け捕りと仰せでしたが、ムカつくから死んでもらいます」
龍宮 慈久「ふざけんなや!よくもカゴメを・・・消し炭にしたるっ!」
マキナ「ふっ・・・あまいっ!」
龍宮 慈久「な・・・なんや? 普通に命中して普通にダメージを負ってるようにしか見えんが・・・」
マキナ「ハーッハッハッハッ! その通り!めちゃくちゃ痛いわぁー!」
マキナ「肉を斬らせて骨を断つつもりだったけど、自分でも驚くほどのダメージと威力に何も出来なかったのだわ!」
龍宮 慈久「死に晒せボケっ!!」
マキナ「ぎゃふん」
龍宮 慈久「くっ・・・カゴメ! しっかりせい!カゴメ!」
嶽酉 加護明「せ・・・先輩・・・」
龍宮 慈久「くっ・・・血が・・・ なんで血が止まらんのやっ!」
嶽酉 加護明「もう・・・ダメみたいです・・・先輩・・・」
龍宮 慈久「喋るなカゴメ!まだ・・・」
嶽酉 加護明「先輩・・・最後に・・・最後に・・・ お願いを・・・」
龍宮 慈久「カゴメ?」
嶽酉 加護明「最後に・・・俺と・・・キ・・・」
トキオ「へい!らっしゃいなのぜ!」
嶽酉 加護明「すぅ・・・」
嶽酉 加護明「あれ?」
龍宮 慈久「怪我が治っておる!?」
トキオ「ふー、間に合ってよかったのぜ・・・」
嶽酉 加護明「あっ!ありがとうだこんちくしょう!!よくも命を救ってくれやがったなこの野郎ー!!」
トキオ「なんで怒ってるのぜ?」
龍宮 慈久「おいカゴメ・・・」
なんとか無事に二人を救出することが出来ました、キャンプに戻るとしよう。
ハルカ「し・・・死んでる・・・ まあ・・・手間が省けて良かった・・・ のか?」
エピソード・3
終