エピソード4(脚本)
〇野営地
二人をキャンプに連れてくると、ケンスケが食事の準備をしていた。
天沢 剣助「やはりキャンプと言えば・・・」
天沢 剣助「カレーだな」
ブラッド・サッカー「材料余ったなー 鍋が小さすぎたかな?」
天沢 剣助「明日、別の料理に使うよ クーラーボックスも用意したし、 肉も保存できる」
ブラッド・サッカー「それは良かったよ、でも 俺が先に頂いても良いのかな」
天沢 剣助「あのデパートの探索も荷物運びも手伝ってくれたじゃないか、誰も文句は言わない・・・」
トキオ「なんで貴様がここに居るんだ?クサレ吸血鬼」
ブラッド・サッカー「あー!あの性格の悪いイケメン野郎じゃねーか! お前らのキャンプってここ!?」
天沢 剣助「待ってくれ、 カレーは彼が 手伝ってくれたから・・・」
トキオ「カレだかカレーだかカレイだか知らねーが、なんなのぜ?凄い臭いなのぜ」
ハルカ「カレーライスなんて よく準備できたね」
トキオ「かれーらいすぅ?」
龍宮 慈久「なんや? 随分と気が効いてるな ケンスケ!」
嶽酉 加護明「ケンスケ先輩のくせに」
天沢 剣助「お前らなー 俺だって申し訳ないと思ってるんだぞ こんな世界に来たのも 俺が原因でもあるんだし」
阿久津 沙也加「卒業記念に肝試しにホラースポットに行って 異世界に来たらゾンビを目撃して一目散に逃げちゃったのよね?」
天沢 剣助「だってビックリしたんだもん」
ブラッド・サッカー「その割には、俺見ても逃げなかったな」
天沢 剣助「状況が・・・状況だったし・・・俺もなんだかんだ慣れてきたよ・・・」
ハルカ「何があったんだい?」
ブラッド・サッカー「屋敷が盛の付いたゾンビ達に乗っ取られた・・・もうラブホテルみたいになっちゃったの・・・」
天沢 剣助「あれを見たら、もうゾンビに叫んだりビビったりは出来なくなるぞ・・・俺が保証する」
ハルカ「た・・・大変だったね・・・」
トキオ「ダッセぇぇぇのぜ! ダメな奴は何やっても ダメだって本当なのな!」
ブラッド・サッカー「ダダダうっせーわカス野郎め」
ブラッド・サッカー「それより、ケンスケも言ってたけど、人間にやる事があるんだろ?」
トキオ「おっ、そうなのぜー」
トキオ「はい、1名様ご案内なのぜ」
龍宮 慈久「なんや?」
龍宮 慈久「すぅーとするな? なんのマジナイや?」
トキオ「今のはお前の魔力を吸い取っただけなのぜ、オマジナイはここからなのぜ」
嶽酉 加護明(先輩から・・・吸い取った?)
トキオ「・・・アーケオス・マナリオム・スィール・ギネヴァ・・・」
トキオ「サラサヴリィース!!」
龍宮 慈久「誰や?何処に・・・」
龍宮 慈久「消えおった?」
トキオ「よし、次は・・・」
嶽酉 加護明「お前ぇ・・・」
トキオ「なのぜぇぇぇ!?!?」
トキオ「気でも狂ったか! 貴様!!」
嶽酉 加護明「先輩から何かしら吸い取って良いのは俺だけなんだよっ!このタワケめっ!生かしてはおけない!」
トキオ「シャラクセェ! お前もやってやるから大人しくしろ! するんだ!」
嶽酉 加護明「なっ何だコレ・・・」
トキオ「・・・アーケオス・マナリオム・スィール・ギネヴァ・・・」
トキオ「シルフィーワイト!」
嶽酉 加護明「だっ誰!?」
トキオ「コレで4人目・・・」
阿久津 沙也加(あと、6人か・・・ 本当なら止めるべきなのでしょうが・・・怪物化を食い止める必要もあったし・・・)
嶽酉 加護明「プンスカ!プンスカ!」
龍宮 慈久「その辺にしとき、カグヤ お前助けて貰って置いて打ち込むとは・・・」
嶽酉 加護明「先輩!それとコレとは話が違います!」
トキオ「二人の魔力を貰って、ついでに怪物化しないよう取り計らっただけの話しだよ、なんなんだまったく・・・」
嶽酉 加護明「二人の魔力を?」
龍宮 慈久「今度はどないしたん?」
嶽酉 加護明「先輩と・・・俺のが・・・アイツのナカで・・・混ざり合っている?」
嶽酉 加護明「先輩のと、俺のとが・・・」
トキオ「オレから5メートル以上離れるのぜ! 気色悪すぎてカンベンなのぜ!」
天沢 剣助(ソレはお前が一番 言ってはいけないセリフだよ・・・ あらゆる意味で)
ハルカ「配膳終わったよー」
天沢 剣助「お、ありがとう 盛り付けも完璧だな」
天沢 剣助「俺より慣れてそうだな 料理とかするの?」
ハルカ「してたようなしてないような・・・」
こうして、無事にケンスケのクラスメイトらと合流できた、食事を終えるとそれぞれ用意されたテントへ入る。
〇テントの仮眠エリア
そろそろ夜明けだろうか、星空が白んで来た。
ハルカ「んー、誰?」
テントの外で気配がする。
ブラッド・サッカー「すぴー・・・すぴー・・・」
トキオ「・・・・・・・・・」
ハルカ「トキオ?」
トキオ「・・・・・・・・・」
ハルカ(寝ている!? 目を開けたままに!?)
トキオ「ふふ・・・フフフ・・・」
トキオ「あと・・・6人・・・ フフフ・・・フフ・・・」
トキオ「・・・・・・・・・」
ハルカ(寝言か・・・ 目が冴えちゃった・・・ 外出よう)
〇野営地
テントを出ると。
ジグはケンスケが生成したと思われる黒い剣を振るっていた、素振りの練習だろうか。
龍宮 慈久「なんや?起きとったんか?」
ハルカ「いや、ちょっと目覚めちゃって・・・練習?」
龍宮 慈久「まあな、竹刀が無くなってしもうて、そこらに落ちてた剣を拾ったんや」
ハルカ(そう言えば散らかってたなぁ)
龍宮 慈久「俺とカグヤは剣道部、俺が卒業したらアイツが次期部長・・・」
龍宮 慈久「卒業前に、肝試し、そうして4人集まったんや、そしてこの世界に来てしまいましたってワケやな」
ハルカ「なんで肝試しなんて?」
まて、知ってる・・・
僕も、僕とトキオもそうだ、肝試し!
卒業前に肝試しをして・・・。
ハルカ「卒業して、離れ離れになっても、また一緒になれるって噂の・・・ほた・・・火垂澤トンネル・・・」
龍宮 慈久「なんや、知っとったんか? そうや・・・また一緒になれるようにな」
龍宮 慈久「火垂澤トンネル、確かにそんな名前のトンネルやったな、もう使われてなかった道や」
僕もトキオも、卒業
そんな中、トキオがそのトンネルへ行こうと・・・そして・・・僕は?
龍宮 慈久「顔色悪いな? どうした?」
ハルカ「いや・・・僕も、その噂は知ってる、高校卒業を間近に、トキオは施設から離れ、プロ野球選手の道にスカウトされたんだ」
龍宮 慈久「トキオ・・・」
龍宮 慈久「青葉 時結! トキオは高校野球の選手やった!そうや! 間違いない、俺も試合見たで!」
ハルカ「トキオが・・・いや待って・・・」
そうだよ、僕はトキオと同じ学校、そして野球部のマネージャーをしていた、でも高校卒業後は施設の職員に就職する気で・・・。
ハルカ「それで、トキオと離れることに・・・」
龍宮 慈久「しかし、友人と行方不明になってしまったんやな、警察も動いていたな」
龍宮 慈久「トンネル付近にも、警察が調べていた痕跡もあったし、トキオの足取りを追って来たんやろうな」
龍宮 慈久「そして一緒に行方不明になった友人と言うのは・・・」
僕、なのだろうか?
いや・・・間違いない
僕だ。
だんだんと高校の記憶が蘇ってきたぞ。
僕とサクラは両親を失い、児童養護施設に引き取られたんだ、トキオもそうだ。
僕たち3人は、家族のような関係だった、両親を失い悲しみに暮れていたトキオの、新しい家族に・・・。
だが、トキオはスカウトされ、プロ野球選手にデビュー、僕たちから離れ離れになることになった。
龍宮 慈久「やはり、ハルカなんか?」
ハルカ「そうみたい こんなになっちゃったけど」
龍宮 慈久「俺には野球選手が魔法やらなにやら使えるのも不思議な話しやが・・・ トキオは何者なんや?」
ハルカ「わ・・・分からない・・・」
僕の中に、記憶と心が二つある、ハルカの記憶と心、誰かの記憶と心が。
お互い違う気持ちになる。
ハルカは、トキオを信じてる、でも・・・もう一つの心は、トキオを警戒しているようだ。
龍宮 慈久「・・・なあハルカ、俺と闘ってくれへんか?」
ハルカ「え?」
龍宮 慈久「お前と、手合わせ願いたいんや」
どうして?
そんなことを?
いや、そんな事を聞くのは、無粋にほかならないだろうね。
ハルカ「いいよ、闘ろう」
僕自身も、ジグと闘いたい。
そんな闘争心が溢れてくる。
ハルカ「ここでやると、みんなが起きちゃうから、ついてきて」
龍宮 慈久「ああ、頼むわ」
僕は知ってる、僕じゃない僕の記憶が知ってる。
闘いに、相応しい場所。
〇地下広場
悩みがあったら、不安があったら、とりあえず身体を動かすと良い。
そんな話しなんだろう。
ジグは、僕を気遣いつつも、きっとジグ自身にも、何か悩みや思う所があるようだ。
彼とぶつかれば、なにか分かったり、変わったり、するのだろうか?
違う、違うな。
ハルカ「じゃあ、行くよ」
龍宮 慈久「おうっ!」
闘いたいんだ、きっとハルカじゃない方の僕が。
あの二人を倒したジグと、力比べをしたい、そう思ってるんだろう。
龍宮 慈久「やるな、ハルカ」
ハルカ「そっちこそ、 とても高校生の戦闘力じゃないね」
龍宮 慈久「まだまだ、そろそろ暖まってきたところや」
ハルカ「炎だね、知ってるよ」
ハルカ「消えた・・・」
ハルカ「驚いたな」
龍宮 慈久「コレ、受けれるとは相当な腕前やな」
龍宮 慈久「気づいてたんか?」
ハルカ「なんとなく」
闘争、どちらが上か。
朝日が登るまで続いたのだろう。
結局、決着はつかなかった、お互いスタミナ切れでもあったけど。
「ふー、休憩休憩」
ハルカ「な、何?」
龍宮 慈久「誰や?ケンスケか?」
奥から声が・・・。
〇地下空間の戦艦
な・・・何これ・・・。
龍宮 慈久「なんじゃこ・・・むぐっ」
ジグの口を塞ぐ。
ハルカ「だめ〜・・・静かに・・・ 敵かも・・・」
身を隠しながら、ゆっくりと進むと。
天沢 剣助「ようやくここまでこれた」
ケンスケが・・・そう言えばアイツ、前もここで・・・。
天沢 剣助「脱出できないなら、飛行船を作れば良いじゃない計画(仮称) も最終段階だ、でもこれからが長いぞー」
天沢 剣助「動力炉は核融合炉より・・・できればSFではお馴染みの相転移炉にして永久機関にしたいな・・・宇宙に行くかもだし」
天沢 剣助「相転移に相応しいジオ・クリスタルは異世界なら存在するだろうか?素材や備品探しのついでに見つけられるか・・・」
宇宙船を作ってる・・・。
龍宮 慈久「マジか・・・ 正直、言葉が見つからん・・・」
ハルカ「そう・・・だね、 うん、そろそろ朝だし、帰ろうか」
龍宮 慈久「せやな、汗もかいたし、風呂にでも入るか」
ハルカ「お湯の準備しなきゃ、水を用意するから、火の準備よろしく」
龍宮 慈久「ハルカも入るか?」
ハルカ「入る入る」
今は見なかった事にしとこう、後でケンスケに話しを聞くべきだな。
〇野営地
簡易的に作られた風呂だったが、なかなか良い湯だったな。
ハルカ「これから他の生存者を探す予定だけど、ジグちゃんはどうする?」
龍宮 慈久「俺も同じ事を考えとったわ、他にもこの世界に落ちた人も居るし、痕跡もあったな」
龍宮 慈久「ハルちゃんはどこを調べるんか?」
ハルカ「トキオと相談かな、とりあえずあのデパート周辺をもう少し、ジグちゃん達はあそこら辺はどこまで調べたの?」
龍宮 慈久「襲撃があったからなぁ ケンスケの方が詳しそうやな、 後で話しを聞いてみよ?」
ハルカ「そうだね」
「イーライライライライラ・・・」
トキオ(何なのだ、あの二人 距離近くない?近いよね? 何で?何で?)
嶽酉 加護明(あのトカゲ野郎め 事もあろうに先輩と 朝シャンだとォォォォォォ怨・・・ こここ殺してやるぅぅ!?!?)
「だけど! なんかチョッカイ出せない! なんか!ムリ!」
ハルカ「あ、トキオ! おはよう」
トキオ「ぐっともーにんぐ! なのぜ〜」
龍宮 慈久「なんや?起きたんか?」
嶽酉 加護明「あ、先輩! 朝練ですか?なんだよー 俺も一緒に・・・ (お風呂入りたかったわ)」
嶽酉 加護明(待て!俺よ! 残り湯があるではない・・・)
阿久津 沙也加「あ、カグヤ君 ジグの残り湯は無いわよ? 私が入るからケンスケに捨ててもらって新しいお湯にしたから」
天沢 剣助「て・・・徹夜の作業の後に・・・お湯張り・・・死ぬ・・・」
嶽酉 加護明「はう・・・はうはう・・・」
それぞれのモーニングルーティンを済ませ、作戦会議のため集まることに。
〇テントの中
全員一同に集まると。
ブラッド・サッカー「粗茶ですが」
ハルカ「ありがとう」
ブラッド・サッカー「現状では、生存者の確保が最優先です、脱出のプランは人数がそろってからになります」
ブラッド・サッカー「しかし、怪物化した生存者は十分に驚異的であり、また魔物の活発化も確認がとれました」
ブラッド・サッカー「単独行動は控え、必ず二組以上で行動するべきでしょう」
ブラッド・サッカー「他の生存者の目撃情報はありませんが、 過去に・・・」
トキオ「お前が仕切るのぜ!?」
ブラッド・サッカー「なんか文句あっかよ!」
トキオ「だってなんだか!だってだってなんだもん!? みんなは異論無し?」
ハルカ「ブラ君で問題ないよ」
トキオ(ブラ君!?)
天沢 剣助「俺もブラ君で文句はない 異世界に詳しいし、物質も運んでくれたしな」
阿久津 沙也加「頼りにしてるわ!ブラ君!」
龍宮 慈久「みんなが信頼してるなら かまへんよ?」
嶽酉 加護明「先輩がそう言うなら 俺からは何もないな」
トキオ「乗っ取られたーのぜー!」
ブラッド・サッカー「では、話しを戻して・・・ 過去に目撃例があったのは」
ブラッド・サッカー「行方不明だった小学生の女の子、 真坂ミカちゃん」
ブラッド・サッカー「行方不明届けが異世界に流れ着き、ゾンビ化した人間も彼女を目撃したそうです」
ブラッド・サッカー「しばらく時間が経過しており、生存は絶望的でしょうが・・・」
ハルカ(心配だな・・・ そう言えば、お墓の周辺におままごとをした痕跡があったが・・・)
ハルカ「ブラ君、霊園近くに、紅茶を淹れてた人間が居たみたいなんだ、人形相手にお茶会ごっこをしてたみたい」
ブラッド・サッカー「え?やだ?怖い・・・ オバケの話し?」
ハルカ「ちがうよ・・・ もしかしたらこの子じゃないかい?」
ハルカ「お茶は温かかった・・・ まだ生きてるかも」
ブラッド・サッカー「それなら、皆さんも気に留めて置きましょう、彼女を救えるかもしれません」
ブラッド・サッカー「続きましては・・・」
ブラッド・サッカー「この人は俺が発見しました、飯降 知賭競 (いいぶる チトセ) 検死解剖医だそうです」
ブラッド・サッカー「名刺貰ってました」
ハルカ「なんだって検死解剖医が・・・」
ブラッド・サッカー「同僚の刑事と 行方不明になった少年少女を探してたらしい・・・ 火垂澤トンネルで」
ブラッド・サッカー「ミイラ取りがミイラになるパターンでしょうね、ゾンビに興味津々でしたから、町の方に向かいましたよ」
ブラッド・サッカー「同僚の刑事さんも含めると、 コレで3人ですね」
トキオ「上々だぜ さっそく調査して取っ捕まえるのぜ」
ブラッド・サッカー「キャンプには俺が留守をして、見張っております 皆さんも注意して、探索を進めてください」
探索を続けよう。
ハルカ「とりあえず、 僕とトキオはデパート周に向かうよ」
阿久津 沙也加「私はケンスケと一緒に、物資を集めつつ生存者を探すわ、線路の別ルートを辿ってみようかしら」
龍宮 慈久「俺とカグヤは 地下施設を中心に調べるわ」
ブラッド・サッカー「物資はマーキングしてくれたら、ゾンビ達を使ってキャンプに運ばせるよ、ビーコンを置いておいてくれ」
ブラッド・サッカー「俺の手作り魔眼だ!」
ブラッド・サッカー「この魔眼レーダーで 一目瞭然だよ」
ブラ君はみんなに
魔眼とレーダーを配った。
ブラッド・サッカー「気をつけてな! それでは探索開始!」
こうして、生存者の探索が始まった、無事に見つかるだろうか、いや・・・助けよう、絶対。