ある勇者と魔王の物語

パロレイ

第二話:決意、そして旅立ち(脚本)

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〇屋敷の書斎
  トファス村、【占いの館】
占い師「・・・さて、何から話したものか」
占い師「まず、あんたたちが生きていてよかった。 それだけは安心したよ」
アレン「マダム、あの大量の魔物は・・・?」
占い師「あれはただのゴブリンの群れだよ」
シャルル「ゴブリンの・・・群れ?」
占い師「あぁそうさ」
占い師「しかも、魔王の力にあてられて活性化しただけの・・・なんの変哲もないゴブリンの群れだ」
占い師「村に来たやつは、たまたま強いやつがいて勝手に無双していったから事なきを得たけど・・・」
シャルル(勝手に無双・・・??)
アレン「やっぱり魔王の影響が・・・?」
占い師「そうだろうね」
占い師「・・・シャルル」
シャルル「は、はい!」
占い師「占いにより、“勇者”と“魔王”が雌雄を決する未来が視えた」
シャルル「・・・!」
占い師「魔王ニルと戦っていたのは・・・」
占い師「あんただよ、アレン」
アレン「・・・え?」
アレン「お、俺が・・・魔王と!?」
占い師「この未来視はシャルルも見ている。 だから確実な事だろう」
アレン「本当なのか、シャルル?」
シャルル「・・・えぇ」
シャルル「何度も水晶を覗いたけれど・・・ 視えるものはいつも同じだった」
シャルル「貴方が・・・魔王と思われる相手と戦っているところよ」
シャルル「私だけでは確信が持てなかったけど・・・」
シャルル「お師匠様も同じものを視たから、 貴方だと分かったの」
占い師「シャルルは目が見えないのはあんたも理解してるだろう?」
アレン「・・・あぁ」
占い師「だから、未来視で見たものが分からなかった。 だから私に相談してきた」
占い師「・・・皮肉なもんさ 二人揃って同じ未来を視たんだから」
占い師「二人が同じものを視たからと言って、 あんたがそれに縛られることはない」
占い師「一晩、じっくりと考えな」
アレン「はい・・・」

〇寂れた村
アレン「・・・」
アレン「俺が勇者、か・・・」
アレン(いきなりそんな事言われても・・・ 整理がつかない)
アレン(でも、マダムやシャルルの占いは当たる・・・)
アレン(それはつまり、)
シャルル「アレン・・・?」
アレン「!」
シャルル「・・・夜風にあたってたの?」
アレン「・・・そう、だな」
アレン「あと、昼間言われてたことも考えてた」
シャルル「・・・そう」
アレン「正直信じられないけど・・・ なんとなく腑に落ちたんだ」
アレン「俺は勇者なんだって・・・」
シャルル「・・・」
アレン「・・・」
アレン「なぁ、シャルル」
アレン「俺、村を出るよ」
シャルル「・・・え?」
アレン「二人の占いでそれが見えたってことは、 遅かれ早かれ村をでるって事だろ?」
アレン「だったら、善は急げだ」
シャルル「・・・!」
アレン「だから、明日からはできるだけ準備をするつもりだ」
アレン「それが終わり次第出発して・・・」
アレン「・・・シャルル?」
シャルル「・・・て」
アレン「?」
シャルル「私も、つれてって!」
アレン「・・・!?」
シャルル「・・・ダメ?」
アレン「でも、お前・・・目ぇ見えないだろ」
シャルル「貴方と一緒なら、きっと大丈夫」
シャルル「それに私には占いがある。だから・・・」
シャルル「・・・だから、きっと役に立つわ・・・!」
アレン「・・・」
  ここまで必死なシャルルを見るのは
  初めてだった
  幼い頃に視力を失ってから、
  彼女は大人しくなった
  ・・・その前まではとても活発だったのに、
  感情を表に出さなくなった
アレン(・・・そう言えば、 占いの素質が出始めたのもその頃だった)
アレン(まだ修行もしてなかったのに、 的中率がとんでもなく高くて・・・)
シャルル「・・・アレン?」
アレン「・・・」
アレン「シャルル、俺と一緒に旅に出ないか?」
  彼女がそこまで言うなら、
  確かになにかあるのだろう
  ならば、そうするべきだと思ったのだ
シャルル「・・・!」
シャルル「えぇ、えぇ!」
シャルル「ありがとうアレン! 私、頑張るわ!」

  占い師 シャルルが仲間に加わった

〇寂れた村
  数日後・・・
「気を付けろよー!」
「頑張れよ、アレン!」
アレン「あぁ」
「シャルルも気を付けてね」
シャルル「はい、頑張ってきます」
占い師「シャルル、アレン」
シャルル「お師匠様!」
占い師「・・・二人とも、よくお聞き」
占い師「二人のゆく道には、 何度も試練が立ちはだかるだろう」
占い師「その苦しさ、その辛さで 何度も心が折れそうになるかもしれない」
アレン「・・・!」
占い師「でもね、挫けるんじゃないよ ・・・あんたらは一人じゃない」
占い師「努々(ゆめゆめ)、 それを忘れるんじゃないよ」
  はい!
アレン「では、行ってきます!」
  こうして二人は旅立った
  生まれ育った故郷、小さな村を飛び出して
  まずは王都へと向かうために
  ・・・二人にどんな試練がふりかかるかは、
  マダム·フォーチュンと言えども知らない
  それでも、ただ・・・
  村人全員で二人の帰還を、
  いつか来る帰還を待つのだった・・・

次のエピソード:第三話:センドガへ

コメント

  • 素敵な展開!!😆これからの彼らの冒険が楽しみです🌟

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