倉庫編パート2(脚本)
〇大学病院
〇病院の診察室
青野健次郎「・・・・・・・・・」
池谷ミツコ「先生?どうかなされたんですか?」
青野健次郎「ああ、これが気になってな・・・」
池谷ミツコ「これは・・・ここにいる人達の身体能力データですよね?トレーニングの時に記録してる」
青野健次郎「そう・・・そして問題は彼だ」
池谷ミツコ「たしか、橘宏美さん・・・ですよね」
青野健次郎「最初の記録時は平均にすら届かない、運動不足そのものだった・・・」
青野健次郎「それが今では・・・ほら」
池谷ミツコ「・・・えっ!?」
池谷ミツコ「な、何なんですか!?これ・・・!?」
青野健次郎「正直驚いたよ、この短期間で彼の身体能力はオリンピックのアスリート並に上昇している」
青野健次郎「それに彼は、誰しも最初は戸惑う・・・そうでなくとも、そんなに直ぐに慣れるハズのないゾンビの殺害」
青野健次郎「これに対する忌避感がまったく無い。本人からも相談されたが、ゾンビ相手に引き金を引く事に躊躇が無いんだ」
青野健次郎「・・・まるで三流のネット小説の主人公だ。戦闘への適応、成長速度が異常すぎる」
青野健次郎「だが彼は、妄想ではなく現実の人間として、この場に存在している・・・」
池谷ミツコ「青野先生、これは・・・」
青野健次郎「・・・・・・」
青野健次郎「・・・・時に池谷先生、キャリー事件を知っているか?」
池谷ミツコ「は、はい。確か、親からの虐待と学校でのイジメで追い詰められたアメリカの女子高生が──」
池谷ミツコ「プラムパーティーの際に学校に放火して、自分をいじめた生徒ごと焼け死んだ事件でしたっけ・・・」
池谷ミツコ「・・・そして、妙な噂が流れてるって」
青野健次郎「”その女子高生は、超能力を使って事件を起こした”と」
池谷ミツコ「・・・・・」
青野健次郎「それ自体は噂話の粋を出ぬ。だが、限界まで追い詰められた人間が超人的な力を発揮する事例はいくつもある」
青野健次郎「津山三十人殺し事件の都井睦雄、戦争中もシモ・ヘイヘやハンス・ウルリッヒ・ルーデルといった前列がある」
青野健次郎「まして、”火事場の馬鹿力”なんて諺があるぐらいだ。そういった人間は過去何人も居たんだろう」
池谷ミツコ「では、橘さんもその一人。と・・・?」
青野健次郎「・・・全ては憶測に過ぎんが、な」
〇港の倉庫
職員「よし、着きましたよ」
職員「では我々が先頭に立って鍵を開けますので、皆様は十分気をつけてついてきてください」
柳生摩耶「花梨ちゃん、羽佐間さんから貰った鍵は?」
柳生花凛「ちゃんと持ってるよっ♪じゃ、失礼しまして・・・」
〇ボロい倉庫
柳生花凛「あったあった、ここが七番倉庫だ!!」
柳生花凛「それでは、鍵を明けまして・・・」
柳生花凛「おめでとうっ!!じゃ、失礼しまーす」
柳生摩耶「・・・・・・・・・」
〇警察署の廊下
柳生花凛「わぉ、中々雰囲気あるじゃん」
柳生摩耶「・・・そうね」
柳生花凛「地図によると、目的の宿直室はこの先かぁ」
柳生花凛「じゃあ、あたしの後ろから離れないようについてきてね、ママ!!」
柳生摩耶「・・・・・・」
〇黒
柳生花凛「じゃあママは、オニーサンが取られちゃってもいいの!?」
橘宏美「摩耶さんも、今の関係ならまだしも俺が娘さんを恋愛対象として見てたら母親として許せないでしょう?」
アンナベル羽佐間「・・・・・本当に、母親としてかい?」
柳生摩耶(・・・・・・・・・)
柳生摩耶(私は・・・・・・・・・)
〇警察署の廊下
柳生摩耶「・・・・・・」
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