101通目のメール ~葉桜と魔笛~

YO-SUKE

第2話 恋愛厳禁(脚本)

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〇病室
  凛が鼻歌を歌いながら、
  ノートパソコンに何かを打ち込んでいる。
  その横でリンゴを剥きながら、
  凛の顔を覗き込む奈々子。
北澤奈々子「ずいぶん楽しそうね」
北澤凛「へへへ。そうかな~」
北澤奈々子「病人とは思えないくらい」
北澤凛「お姉ちゃんのほうがいつもどんよりして 病人っぽい顔してるもんね」
北澤奈々子「こら。凛!」
北澤凛「はーい。言いすぎました!」

〇黒
北澤奈々子「凛は、医師から余命100日の宣告を受けた」
北澤奈々子「だがこの頃は、それが信じられないほど元気だった」
北澤奈々子「凛がM・Tという男性と付き合っている・・・その衝撃を私はずっと忘れられずにいた」

〇新緑
  第二話「恋愛厳禁」

〇黒
北澤奈々子「母が早くに他界したため、私は父と妹、 そして家政婦のキクさんの四人で暮らしていた」
北澤奈々子「だが妹が入院してからは三人になってしまった」

〇シックなリビング
  英二と奈々子が食事をしている。
北澤英二「奈々子。大学はどうなんだ?」
北澤奈々子「普通かな。勉強はしっかりついていってると思うけど」
キク「奈々子さん美人だから、 キャンパスでモテそうですよね~」
  英二がキクをきつく睨みつける。
北澤英二「うちは、学生の間は恋愛を認めない」
北澤奈々子「キクさん。お父さんの前でそういう話は NGって前に言ったでしょ・・・!」
キク「あ、すみません」
北澤英二「奈々子。凛も前より調子が良さそうだし、お前はしっかり勉強頑張れ。 大学生の本分は勉強なんだから」
北澤奈々子「うん・・・」
北澤奈々子「凛に恋人が出来たかもしれないなんて言ったら・・・お父さん腰抜かしそうだなぁ・・・」

〇中庭
  凛がベンチに座って本を読んでいる。
遠山将司 「待った?」
北澤凛「遅いです。十分も遅刻です」
遠山将司 「大学の授業が延びたんだ。ほんとごめん!」
北澤凛「謝ってくれれば・・・忘れます」
遠山将司 「ありがとね」
  将司は許しを得た子どものようにイタズラっぽくに笑うと、凛の隣に座る。
  頬を赤らめる凛。
  将司は空を見上げて口笛を吹く。
北澤凛「その口笛って・・・なんていう曲ですか?」
遠山将司 「ああ、知らないよね。昔の曲だもん。 おじいちゃんが好きだったんだ」
北澤凛「昔の・・・確かにどっかで聴いたことあるような気はしたんですけど・・・」
遠山将司 「【葉桜の頃に】ていう曲なんだ。戦時中、日本兵だったおじいちゃんが弱気になったとき、これを聞くと元気になれたんだって」
北澤凛「じゃあ、今は弱気ってことか・・・」
遠山将司 「え?」
北澤凛「将司さん、ちょっと悩んでいることあるような顔に見えたんです」
遠山将司 「・・・凛ちゃんには敵わないなぁ」
  そう言うと、
  将司は鞄からノートパソコンを取り出す。
遠山将司 「来月、小説のコンクールが締め切りなんだ」
遠山将司 「だけど、どうしても最後がうまく書けなくて・・・」
北澤凛「良かったら、私に読ませてくれませんか?」
遠山将司 「え? でもまだ完成してないんだよ?」
北澤凛「構わないです。私、素人ですけど、 本は好きだし、一生懸命読みます!」
遠山将司 「でも・・・恥ずかしいなぁ。今書いているのは、その・・・不倫の話なんだ」
北澤凛「どんな話だっていいです。 将司さんが書くものを読んでみたい」
遠山将司 「うーん」
北澤凛「私たち、付き合ってるんですよね? 恋人なら頼ってくれてもいいと思います」
遠山将司 「・・・わかった! じゃあ凛ちゃんのパソコンにデータで送るね!」

〇病室
北澤奈々子「あ、あの──」

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